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「犯罪者予備軍じゃない人って、この世の中にいるのか」――ひきこもりが話題になる事件について考える
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2020/3/9(月)
「犯罪者予備軍じゃない人って、この世の中にいるのか」――ひきこもりが話題になる事件について考える
2020/3/9(月)

2019年、カリタス小学校の生徒や保護者らが殺傷された川崎殺傷事件や、元農林水産省事務次官が長男を殺害した痛ましい事件が起きた。

 

これらの事件に関連づけて「ひきこもり」についてもメディアで取り上げられることになったが、そのとき当事者たちはどんなことを考えていたのか。また彼・彼女らはなぜひきこもるのか。どのような支援が求められているのか。

 

恩田夏絵さん(一般社団法人ひきこもりUX会議代表理事)をモデレーターに迎え、ひきこもり当事者であり、当事者活動を行う林恭子さん(一般社団法人ひきこもりUX会議代表理事)と、ぼそっと池井多さん(VOSOT(チームぼそっと)代表)、対話による精神療法「オープンダイアローグ」の普及啓発に努める精神科医であり、産業医、臨床心理士の大井 雄一さんにざっくばらんに語ってもらった。

 

※本記事は、リディラバが主催する社会課題カンファレンス R-SIC 2019のセッション「ニュースでは教えてくれない『引きこもり』の真因」を記事にした中編です。

ひきこもり=犯罪者予備軍という認識について

 恩田 夏絵  前回は、ひきこもりになる要因やひきこもりに対するイメージと実際の姿のギャップについてお話してきました。今回は、ひきこもりがフォーカスされた事件について触れたいと思っています。

 

2019年に起きた痛ましい事件に、神奈川県川崎市登戸で起きた殺傷事件と、農林水産省の元事務次官が息子を殺めた事件がありました。いずれも事件の背景の一つとして、ひきこもりという言葉が取り上げられました。

 

(林)恭子さんも、たくさんテレビに出られていましたが、ひきこもり経験者としてこの事件についてどう感じましたか。

 

 

 林 恭子  事件が起きた3日後ぐらいに、私たちは当事者活動をしている「ひきこもりUX会議」(UXは、Unique eXperience=固有の体験を意味する)として声明文を出しました。20年前にひきこもりという言葉が世間に広まったときも、同じような事件があったんですね。

 

そのときに、ひきこもりの人たちは犯罪者予備軍だという偏見が広まってしまった。当事者や経験者は、そうした視線で見られることに辛い思いをしていたので、今回はひきこもりが犯罪に直結するといった取り上げ方をしないでほしいという声明文を出しました。

 

影響は分かりませんが、テレビでは「ひきこもりと犯罪を結びつけるものではありませんが」と冒頭で断りを入れるといった配慮をするようになっていました。ですが、外に出るのがただでさえ辛いひきこもりの当事者たちを追い詰めるような報道もありました。

 

 

相談件数が数十倍などになった支援団体もあったと聞きました。「自分も親に殺されるんじゃないか」とか、「我が子がもしかすると罪をおかしてしまうんじゃないか」というような不安と動揺が走ったんです。

 

 恩田  私は(林)恭子さんと一緒にひきこもりなどの生きづらさを抱えている人たちのお話会や情報発信などをしているのですが、表立って活動している私たちとしてもどう捉えたらいいのか、難しいことでした。

「犯罪者予備軍じゃない人って、この世の中にいるのか」

 恩田  ぼそっと(池井多)さんは、川崎での殺傷事件が起きた時期に、ひきこもり当事者、経験者の声を発信する『ひきポス』というメディアで「私は犯罪者予備軍である。あなたは?」という記事を書かれていますが、どのように捉えていますか。

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