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公開日: 2019/7/31(水)

困っている人がSOSを出しにくい社会に変化を

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困っている人がSOSを出しにくい社会に変化を

公開日: 2019/7/31(水)
オーディオブック(ベータ版)
読者インタビュー第3弾は、ソーシャルワーカーの根本真紀さんのインタビューをお届けする。国家公務員を辞めて、福祉の領域に飛び込み、以降さまざまな社会問題の現場で活動をしてきた根本さん。根本さんはなぜリディラバジャーナルを読み、どのように活かしているのか。

 

光の当たりづらい問題に着目するメディア

――リディラバジャーナルを読み始めたきっかけは何でしょうか。

 

リディラバジャーナルで取り上げた最初の特集テーマが、ホームレスでしたよね。

 

私自身、15年ほどホームレス支援に携わっているので、支援者の方々がリディラバジャーナルという新しいオンラインメディアで取材を受けたとSNSで投稿しているのを目にして購読を始めました。

 

なぜホームレスになるのか、ホームレスの生活はどんなものなのか、なぜホームレスから抜け出せないのか……。まさにホームレス問題の構造が描かれていて。

 

今まで長らく活動してきたなかで見えてきたことが、整理されてまとまっていると思いました。

 

こうした社会の隅っこに追いやられて、置き去りにされてきた人々を最初に取り上げるなんて、とがったメディアに違いないとも思いました(笑)。

 

リディラバジャーナル最初の特集「ホームレス〜彼・彼女らが失い、取り戻すもの〜」

 

――リディラバジャーナルのどんなところにおもしろさを感じてくださっていますか。

 

大手メディアがあまり報じない、光の当たらない問題についても、多面的に取り上げているところが、おもしろいと思います。

 

先日特集していた「生活保護バッシング」の問題もそうですが、不正受給に対するバッシングばかりが報道されていますよね。でも、その件数は2パーセントほどということや、悪意なく不正受給となってしまう実態については、あまり知られていません。

 

知らないことによるスティグマや、ある一面だけを過剰に報道することによる断片的な情報が社会全体に広まってしまっているなと感じます。

 

そうすると、本当に困っている人たちがSOSを出しにくい社会になってしまいますよね。そうした雰囲気が変わっていくといいですね。

加害者にも目を背けずにいたい

――今までの特集のなかで、とくに関心を持った特集はありますか。

 

もともと関心が高かったホームレスの特集のほかに、「痴漢大国ニッポン」の特集が印象に残っています。

 

因果関係ははっきりしていないということでしたが、痴漢の加害者側も、被害を受けた経験があったという話は衝撃的でした。痴漢をした人の話を聞くことはないので、貴重な情報だと思います。

 

痴漢に限らず、罪を犯してしまった人や、コミュニケーションがうまく取れない人などは、福祉の対象からもはみ出してしまうことがあります。

 

ですが、臭いものにふたをして見ないふりをしたり、排除しただけでは問題は解決しないので、どうしてそうなってしまうのかをもっと考えていきたいと思っています。

 

――いろんなテーマがありますが、それを知ろうと思うのはどうしてでしょうか。

 

人間の生活を構成するものはいろいろありますよね。人間の営みという観点からは、すべての問題がつながっているはずなので、その全体像を理解していきたいという関心が強いですね。

 

問題の構造を地域の人たちに知ってほしい

――リディラバジャーナルをどのように活用していますか。

 

私はいま、文京区の社会福祉協議会で働いています。

 

住民同士のつながりをつくり、地域の問題を解決していくことをバックアップすることが、役割のひとつです。

 

なので、まずは住民に向けていまどんな問題が生じていて、それがなぜ起こってしまっているのかということを、もっと伝えていきたいと思っていたんです。

 

それを一から自分たちでやろうと思うと大変ですが、リディラバジャーナルが既にやっているということで、読書会を開催しました。

 

参加者の方からは、「記事の内容をさらに深めたリアルなエピソードを聴くことが出来て勉強になった」「一つの問題の原因がまた別の問題と関わっているなど広く問題を捉えることができた」といった感想をいただきました。

 

こうして記事を読んで関心を持った人が、問題を理解したあとの導線がリディラバジャーナルにあるとさらにいいなと思います。知ってから、どう行動に移すか分からない人も多いと思いますので。

 

 

――最後に、根本さんの今後の展望を教えてください。

 

内閣府の調査によると、社会貢献意欲がある人は多いですが、実際になにかをやっている人は少ない。

 

時間がないという理由を筆頭に、「情報がない」「何をしたらいいかわからない」という回答も多く、自分なりの関わり方が見つかれば、もっと行動に移す人が増えると思います。

 

私はいま、間口の広い「地域福祉」と言われる領域で活動しています。

 

なので、人と人とのつながりをつくることや、関わり方の選択肢を広げることで、「異質なもの」を排除してきた障壁を溶かしていきたいと思っています。障害などのレッテルを貼られて分離されてきた人々を、包摂していける地域をつくっていきたいですね。

編集後記

来週からは先日開催した、社会問題を語るカンファレンス「R-SIC2019」のセッションのダイジェストをお届けします。お楽しみに!

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リディラバジャーナル編集部
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