ホームレス:【ホームレス】彼・彼女らが失い、取り戻すもの | リディラバジャーナル
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ホームレスになるとき
2018/1/20(土)
【ホームレス】彼・彼女らが失い、取り戻すもの
2018/1/20(土)
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【ホームレス】彼・彼女らが失い、取り戻すもの
2018/1/20(土)
構造化特集 : ホームレス
構造化の視点
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誰もが一度は見たことがあるホームレスの人々。彼・彼女ら

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誰もが一度は見たことがあるホームレスの人々。彼・彼女らはなぜホームレスになるのか。ホームレスに「なるとき」に失うもの、「なったとき」に抜け出せない仕組み、「脱するとき」のハードルの高さに視点を起き、「構造化」します。

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ホームレス芸人を名乗る、小谷真理さんという男性がいる。


ネット上で1日を50円で売り、その名の通り家を持たず生活しているという。彼のSNSを見ると、非常に充実した日々を過ごしていることがうかがえる。

 

堀江貴文さん。かつて自著で、出所後にマンションの賃貸契約を拒まれて不愉快な思いをしたことなどから、ホテル暮らしをしていると語っている。その暮らしは快適で身軽だという。


この2人の共通点は「家がない」ことーー。


リディラバジャーナルが最初の特集で取り上げるテーマは「ホームレス」。

 

多くの人の「ホームレス像」はいつまでもアップデートされず、「路上で暮らすおじさん、おじいさん」という単純なラベリングのままになっているのではないか。

 

そもそも、なぜホームレスになるのか、ホームレスであり続けるのかについて、深い理解が進んでいないのではないか。そういった問題意識により、このテーマが選ばれた。

 

「日本においてホームレス問題が深刻化してから、いまは23、24年というところですよね」


そう語るのは、大学生の頃からホームレスの支援活動を続ける立教大学大学院特任准教授・稲葉剛さん。稲葉さんの言うように、1990年代前半のバブル崩壊後、社会問題として大きく取り上げられるようになった。

 

ホームレス問題の歴史について語る稲葉さん(左)と編集長・安部。


このとき、ホームレス問題とは景気や雇用の問題だった。

 

もう少し時代は下って2008年。リーマン・ショックに端を発する世界的な不況が起こった際、派遣労働者の解雇や雇い止めが発生。職と住まいを失った人々がホームレス化した。このときのホームレス問題もやはり、景気と雇用の問題だった。


では、ホームレス問題とはつねに経済や労働の文脈で語れる問題なのか。最新のデータである2017年11月の完全失業率は2.7%で、24年ぶりの低さとなっている。


景気が上向いている現在、景気や雇用が主要因でないことは明らか。今、働ける人はホームレスを脱している。むしろ、年齢や健康などの事情で働けない人が取り残されており、景気・雇用の問題というより福祉の問題となっている。


とくに、最近の調査・研究で、知的障害や精神障害のある人がホームレスとなっていることもわかってきている。

 

また、ホームレスになる背景には借金だなんだと一人ひとりバラバラの問題があると思われがちだが、取材を進めていくと、ホームレスとなるまでの流れや、ホームレスから脱するのが難しい理由には共通点があることがわかってきた。

 

ホームレス構造化マップ

 

今回、リディラバジャーナルでは、ホームレス問題を上の図のような切り口で見ていく。


取材を通して、一度ホームレスになると抜け出せない、蟻地獄のような構図が見えてきた。入口は一つではなく、ホームレスになる前の条件から2パターンに大別できる。


そん2パターンとは、図にある「『資産』の多い人」「障害者を含む『資産』の少ない人」のこと。


ここでいう「資産」とは、なにも「金銭」「家」などの財産に限った話ではない。「家族」「友人」といった人間関係、「学歴」「職」「自尊心」といった目に見えないものも含まれる。


この「資産」については、これまでのホームレス研究でもしばしば言及されており、社会活動家の湯浅誠さんは「溜め」という言葉で表現。長年、貧困やホームレス問題研究に従事してきた日本女子大名誉教授・岩田正美さんは「抵抗力」と呼んでいる。


ホームレスという言葉自体も、路上生活を送る人々だけを指す言葉ではない。そもそも、ホームレスとは貧困の一つの、そして最も極まった状態だ。

 

つまり、ホームレスとは特別な特定の種類の人間を指し示す言葉ではなく、「家がない状態にある」ことを指す。


路上で暮らす人は、たしかに家がないのでホームレス。だが、ネットカフェ難民、カプセルホテルやドヤと呼ばれる簡易宿所で暮らす人、友人の家を転々としている人などもみなホームレスとされる。

ホームレスという状態の中でもっとも極まった状態が、路上生活なのだ。


ホームレスになったからといって、誰もが路上生活に至るわけではない。図を見てわかるように、「『資産』の多い人」は比較的抜け出しやすく、比例して路上に至る前にホームレスを脱する可能性も高まる。


一方、ホームレスになってからも、様々な理由でどんどん「資産」を失った結果、路上に至る人もいる。


これまでの説明の通り、取材を通してホームレス問題には普遍的なものがあることがわかった。

 

それは、ホームレスに「なるとき」に失うもの。「なったとき」に抜け出せない仕組み、「脱するとき」のハードルの高さだ。


では、「なるとき」「なったとき」「脱するとき」の普遍的な問題点とは何なのか。


第一回「結婚できると思わなかった。ホームレスが失った『資産』とは」では、「『資産』の多い人」「『資産』の少ない人」のそれぞれが、どのように貧困、そしてホームレスに至ってしまうのか。研究者への取材をもとに紹介する。

 

 

第二回は「あらゆる人を引きずり込む。ホームレスを生む日本特有の構造」。実は日本には、「資産」の多さに関わらず、あらゆる人が貧困、ホームレス陥りやすくなってしまう社会システムがあることがわかった。

 

 

第三回「筋トレからケータイへ。ホームレスの就職対策」は、「なぜホームレスは働かないのか」との問いへのアンサー。働きたくても働けない。その原因が社会の側にあった。

 

 

第四回の「熟睡なんてできるわけない。ホームレスの宿命」では、第三回に引き続きホームレスが働けない理由を紹介。過酷なホームレス生活に、働けなくなる理由がある。

 

 

第五回は「スナックに代わる人間関係を。住まいの次に必要なもの」。ホームレスを脱しようとするとき、必要なものは無数にある。だが近年、優先して回復すべき「資産」が何なのかがわかってきた。「ハウジングファースト」をキーワードに、優先すべき「資産」について紹介する。

 

 

第六回は「家族からもむしりとられる。ある障害者が家を失った話」。景気も回復している今、ホームレス、とくに路上生活を送っている人の中に、知的障害や精神障害のある人が多くいることがわかってきた。なぜ障害のある人が路上生活に至ってしまうのか。元当事者の声を踏まえ解説する。

 

 

第七回の「ひとりはつらいよ。ホームレスだからこそ重要な人間関係」。知的障害や精神障害のある人が路上生活を送るのは困難を極める。抜け出したくても抜け出せない。そんな障害のあるホームレスの実情に迫った。

 

 

第八回は「路上じゃない時代もロクでもなかった——ホームレスを選ぶ人々」。路上生活を送る知的障害や精神障害のある人の中には、路上生活を続けることを望む人もいると言う。どうしてそのような心境に至ったのか。

 

 

第九回「障害がある人にこそ『まず住まいを』。ハウジングファーストという手法」では、「ハウジングファースト」が知的障害や精神障害のある人にこそ効果的な理由を、支援者や研究者の声から見ていく。

 

 

第十回「日本の『しんどい人』を救う。ベーシックインカムより必要なもの」では、知的障害や精神障害のある人に「住居」以外で必要な支援を見ていくとともに、相対的貧困率がじわじわ上昇する日本において「ハウジングファースト」はホームレス以外にも必要な考え方である理由を解説する。

 

 

※「ホームレス」とは文字通り「家がない状態」であり、路上生活を送る人以外にも、ネットカフェで寝泊まりする人(ネットカフェ難民)、カプセルホテルやドヤ、友人宅を転々として暮らしている人なども「ホームレス」だ。路上や駅で見かける人々だけがホームレスだと思いがちだが、実は可視化されていないホームレスも存在する。つまり「ホームレス」「路上生活」というのは、その人が今置かれた「状態」を指し示す。リディラバジャーナルでは便宜上、記事中では「状態」を除いたかたちで使用している。

 

※また、「障がい者」は「障害者」と表記する。「障がい者」という表記の場合、音声読み上げソフト等で読み上げる際、「さわりがいしゃ」と読み上げられる場合がある。そのため、音声読み上げを利用される方のアクセシビリティに配慮して「障害者」という表記を利用する。


構造化特集 : ホームレス

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