キーワードは「well-being」と「社会参画」 マスメディアなき時代、新しいメディアに求められるもの 「リディフェス」セッション紹介vol.4
キーワードは「well-being」と「社会参画」 マスメディアなき時代、新しいメディアに求められるもの 「リディフェス」セッション紹介vol.4
11月23日(水・祝)に東京都新宿三角広場で開催される、リディラバ主催のカンファレンス「リディフェス」
社会課題をテーマにした日本最大級のカンファレンスでは、課題解決に取り組む先駆者たちによる10本のセッションを通して、社会課題のいまとこれからを学ぶことができます。
当日開催されるセッションの魅力を、リディラバ代表安部が熱量たっぷりに語るセッション紹介企画。
第4回となる今回のテーマは、「マスメディアなき時代の社会参画〜つながりが生み出すwell-being〜」です。
セッション紹介3分動画
「みんなが見ているメディア」
が無くなった弊害
新聞やテレビといったマスメディアが情報のチャネルを独占していた時代において、人々はマスメディアさえ見ておけば、社会の動向を掴むことができ、物事をその人なりに判断する基準を手に入れることができていました。
言うならば、マスメディアを見るという方法で、国民の多くが社会参画をしていた時代があったわけです。
しかし、WebメディアやSNSが興隆した現代においては、「マスメディア」の機能は弱体化し、一人ひとりがそれぞれの趣味嗜好や思想に合わせて、メディアを選ぶようになりました。
マスメディア側も、SNSで人気の話題を利用したりと、時にSNSと協業関係を構築しながらコンテンツのあり方を変容させています。
SNSは個人が自由に発信できる場ですが、裏を返せばネガティブな言葉が無制限にあふれる「無法地帯」でもあります。
他者を傷つけたり、公共性を持たない発信が行われたりするのは日常茶飯事ですが、多くの人が「無法地帯」から取捨選択をして、情報収集をおこなっているのが現代と言えます。
これまでは、マスメディアがある種の「公器」として、社会の事象を議論の俎上にあげ、マスメディアを見ている人はその議論に自分なりの形で参加することで、公共性を持った社会参画が実現してきました。
しかし、誰しもが見ているマスメディアが存在しなくなったいま、「これさえ見ておけば、社会と繋がれる。みんなと同じテーマで、同じ土俵で議論ができる」という社会参画ができなくなっています。
マスメディアなき今、多くの人が社会や公共への参画を実感できる場を、どう作ればいいのでしょうか。
また、マスメディアの消失によってもうひとつ大きな課題が生まれたと思っています。
それは、一人ひとりが自分で情報を取捨選択しなければならない時代において、意思決定をする「余裕」はどこにあるのか、という課題です。
身体的、精神的、経済的、様々な意味での「余裕」がないと、何かを主体的に選ぶことは難しくなります。
セッションのサブテーマを「well-being」としたのは、人々がwell-beingであることが、自らメディアを選び、社会参画をしていく上での前提条件になるからです。
マスメディアなき時代に、再び人々の社会参画を促すメディアの仕組みをどう作るのか。
そして、個人の側に、主体的なメディア選びができるような「well-being」をどう実現するか。
このふたつは不可分であり、両立ができて初めて、メディアが個人と社会の間を繋ぐことができます。
社会参画とwell-being。このセッションでは、「メディア」を社会と個人を媒介するものとして広く捉えた上で、コミュニティなども含めた「マスメディアなき時代の社会参画」を議論していけたらと思っています。
マスメディアと小さな熱狂を
往復してきた2人の登壇者
今回のセッションには、2名の登壇者をお招きしています。
まずは、株式会社NEWPEACE代表取締役CEO/ Creative Directorの高木新平さん。
新卒で入社した博報堂を退職した後、「よるヒルズ」や「リバ邸」などのシェアハウスを展開し、NEWPEACEを創業。「ビジョニング(VISIONING)」という手法を用いながら現代の社会参画の場を作ってきました。
もう1人は、認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事の鈴木美穂さん。
鈴木さんは、日本テレビキャスター時代に、乳がんを患い、闘病生活を強いられました。
その時の経験を基に、がんの当事者や家族が、気軽に訪れることのできる場所「マギーズ東京」を運営し、がん当事者・関係者の社会参画に寄与してきました。
この2人をお呼びしたのは、キャスター・代理店時代に数十万人〜数千万人に影響を与えてきた経験と、より小規模で手触り感のあるコミュニティ(メディア)を運営している経験の両方を持っているからです。
マスメディアなき時代の社会参画を考えるにあたって、マスを相手にする広く届ける体験と、少人数を相手に深く届ける体験の両方を持つ2人だからこそ、語れるものがあるのではと思っています。
そして、モデレーターは私、安部敏樹が務めます。
リディラバの挑戦のひとつは、新しいメディアづくりだと、創業当初から考えてきました。
メディアとは、単にニュースを発信する媒体を意味するわけではありません。
何かのテーマに対して、人々の合意形成をしたり、認識を揃えたりするためのコンテンツを提供するのがメディアの役割です。
リディラバの場合は、社会課題の現場を訪れる「スタディツアー」をメディアとして、参加する人と社会課題の橋渡しをしてきました。
私自身も新しいメディアに挑む立場として、2人と一緒に議論を深めていけたらと思っています。
(登壇するリディラバ安部、高木さん、鈴木さん)
おすすめは、「今日、テレビかSNSを見た全ての人」
1億総当事者のメディア論
今回議論する「メディアと社会参画」は、民主主義のあり方にも大きな影響を与えるテーマだと思っています。
民主主義の社会において、参加する人数の規模が大きくなればなるほど、自分が社会に参画している実感を覚えにくくなります。
実際、いま自分の声や1票が、政治に影響を与えていると感じている人は決して多くないと思います。
大人数での民主主義を維持するためには、「自分が主体的に社会参画できているという実感」「参画によって社会が変わっているという実感」を醸成する機能が、メディアに求められます。
マスメディアなき今、どうやって1億人と民主主義を繋げる多様なメディアを作っていくのか、議論していきます。
このセッションは「今日、テレビかSNSを見たすべての人」におすすめしたいと思えるほど、誰しもが当事者であり、私たちの生活に深く関わるテーマです。
皆さんも、メディアから情報を受け取る当事者として、また社会参画をする当事者として、議論に参加してもらえると嬉しいです。
ご紹介した「マスメディアなき時代の社会参画〜つながりが生み出すwell-being〜」を含め、全10セッションで社会課題のいまとこれからを考える「リディフェス」は11月23日(水・祝)東京都新宿で開催します!
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