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公開日: 2018/11/20(火)

読者に聞く 「リディラバジャーナル」活用法

公開日: 2018/11/20(火)
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読者に聞く 「リディラバジャーナル」活用法

公開日: 2018/11/20(火)
2018年1月にリディラバジャーナルがローンチしたタイミングで読者になったという一般社団法人ホワイトハンズ代表の坂爪真吾さん。日々リディラバジャーナルをどのように読み、どのように自身の活動に活かしているのか。坂爪さん自身も「障がい者の性」問題の解決、風俗と福祉の連携など、新しい「性の公共」をつくるために活動するとともに、『「身体を売る彼女たち」の事情——自立と依存の性風俗』『パパ活の社会学——援助交際、愛人契約と何が違う?』などの書籍を通じて情報発信を行っている。そんな坂爪さんに、リディラバジャーナルの活用について聞いた。

なぜリディラバジャーナルを購読しているのか

 ——坂爪さんは、どのような理由でリディラバジャーナルを購読されていますか。

 

リディラバジャーナルが発信する記事を読みたいのと、メディアとしても応援したいからですね。多くのメディアで社会問題が日常的に報じられていますけど、リディラバジャーナルのように「構造化」というところまで踏み込んでいるメディアはほとんどないんじゃないでしょうか。

 

 

既存のメディアの多くは、時間や字数といった制約の問題もあり、どうしても表面的な報道にとどまってしまっているように思います。それは仕方ないことでもありますが、イデオロギーを取っ払い、問題の全体像を捉えた上で構造化していくメディアは必要だと思うんですよね。そうした意味でもリディラバジャーナルは貴重な存在だなと。

 

毎朝届くリディラバジャーナルの記事を読むのはほとんど習慣になっていますし、たぶん、これまでの記事はほぼすべて読んでいると思います。

 

——では、これまでの特集でとくに印象に残っているのはどんな特集ですか。

 

なかなか選べないですが、とくに「アルコール依存症」の特集は面白かったですね。「否認の病」というフレームワークは、アルコール依存症に限らず、さまざまな依存症にも適用できるものだと思いました。

 

依存症状態にある人は自分が依存症だと認めないし、入院してもまだ認められない。それが当事者の話から浮き彫りになっていく。ちなみに、特集に登場されていた精神科医の阿部大樹さんとはリディラバが主催するソーシャルイシューカンファレンスの「R-SIC」でお会いして、いろいろとお話をさせていただきました。それもまたすごく面白かったんですよね。

 

あとはやっぱり「起業家のメンタルヘルス」。起業家は基本的にバッシングの対象じゃないですか。労働者と対峙する立場だし、叩かれやすい。でも実はほとんどの起業家が悩みを抱えている。成功者と言われる起業家でも家庭は意外とぐちゃぐちゃだったりしますしね。

 

そうした一見して社会的強者に見える人たちの裏側に何があるのかということにスポットライトをあてる着眼点がいいなと。社会問題というと、どうしても社会的に弱い立場にいる人たちに焦点が当たりがちですが、強い立場にいると思われている人にフォーカスをあててみると、そこにも社会の歪みがあるのだと気付かされました。 

リディラバジャーナルはこう活用せよ

 ——坂爪さんはリディラバジャーナルをどのように活用されていますか。

 

リディラバジャーナルはさまざまな問題を構造化してくれるので、読んでいると勉強になります。とくにソーシャルセクターの人たちにとっては、記事を読むことで自分たちが取り組んでいることについて相対化して考える機会になるんじゃないかと思います。

 

これは僕自身、痛感していることですが、同じ領域のことばかりに取り組んでいるとどうしても視野が狭くなってしまう。でも他の領域に目を向けると、解決へのヒントになる事例があったり、角度や切り口によって自分が関わっている問題の見え方が変わったりすることもあります。

 

リディラバジャーナルでは、取り上げる社会問題がそれぞれ構造化されている。なので、読者自身が取り組む課題にあてはめて考えるだけでも、何らかのヒントは得られるんじゃないかと思います。

 

ちなみに、最近刊行した『「身体を売る彼女たち」の事情——自立と依存の性風俗』(ちくま新書)という本の第2章は、実はリディラバジャーナルを参考にしている部分があるんです。なぜ性風俗に女性が入ってきて、どういう状況に陥るかという、問題の構造化や問題意識の持ち方を参考にさせてもらいました。

 

無関心の打破と社会問題の構造化は成立するか

 ——坂爪さん自身、広く「性」という領域で社会問題の現場に携わりながら情報発信をされていますが、社会問題を情報発信する難しさをどのように感じていますか。

 

このテーマだったら1時間は語れます(笑)。リディラバジャーナルを見ていて最も感じるのは、メディアのコンセプトにもなっている「社会の無関心の打破」と記事をつくるときに意識されている「社会問題を構造化する」というジレンマですよね。

 

単に関心を持ってもらうとすれば、わかりやすいストーリーがあったほうがいいじゃないですか。とくに二元論などと言われるものは人を動員しやすい。はっきりとした敵がいて、それを叩けば解決するといったストーリーが示されたほうが、受け手のモチベーションも上がりやすいですよね。

 

一つ一つの記事も、「こんな闇が詰まっている」「こんな物騒で危ない問題」みたいにセンセーショナルなことを書いたほうが読まれやすいと思います。それによって一時的には無関心の打破はできてしまうのかもしれません。

 

ただ多くの社会問題はわかりやすいストーリーをつくって問題が理解できるというほど単純ではないし、むしろ複雑です。それはリディラバジャーナルを読んでいるとわかりますよね。結局、何かの社会問題を本気で解決しようと思ったら、まずは問題そのものを構造化する必要があると思うんです。構造化しないと議論も進まないですし。

 

ただ構造化された記事は、その問題を知らない人からすると、やっぱりハードルが高い。その複雑さに対して難しいとか重いと感じ、問題についてもっと知りたいというモチベーションが下がってしまう人もいると思います。構造化の重要性がわかっている人はより深く共感するでしょうが、逆に関心を持ってもらいづらいといったジレンマがある。

 

 

これはとても難しい問題だと思います。「社会の無関心の打破」と「社会問題を構造化する」というジレンマは難しい分、モヤモヤしますよね。でもそのモヤモヤときちんと向き合うメディアであり続けてほしいなと思います。

 

そして、まだ社会問題についてあまり触れていない若い世代には、わかりやすいストーリーに引き寄せられて二元論などに振り回されてしまう前に、リディラバジャーナルの読者になっていく流れをつくれるといいですよね。そして、社会問題の解決のためには構造化こそが大事なんだというアプローチをする人が増えていくといいなと思います。

 

——最後に、リディラバジャーナルには今後どんなことを期待したいですか。

 

社会問題への関心の入口はつくれているので、出口もつくってもらえるといいのかなと思います。イメージとしては、読者が次につながるファーストアクションをとれるような情報があるといったことでしょうか。

 

もちろん中立性の問題などもあって難しいとは思うんですが、この社会問題に興味を持った人にはこんな取り組みや団体、こんな本があるといった情報があれば、読者もより積極的にアクションをとれるんじゃないかと思います。

 

これからの展開も楽しみにしています!

編集後記

次回の特集は、「ドメスティック・バイオレンス~家庭に潜む暴力の構造~」です。

 

親密な関係性にあるからこそ生じ、日常と化してしまう家庭内の暴力。

 

特集では、主に配偶者間の暴力「ドメスティック・バイオレンス」に焦点を当て、被害の実態やその構造を紐解いていきます。

 

DV被害者・DV加害者ともに自覚がないことがあります。また、DVについての無理解がDV被害者を無自覚のうちに苦しめている可能性もあります。

 

ぜひ本特集を機に、みずからの言動を振り返るとともに、DV被害を生まないためにできることを考えていただければ幸いです。

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リディラバジャーナル編集部
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