被害総額1日約13億円…万引きに耽溺する人々の実態
被害総額1日約13億円…万引きに耽溺する人々の実態
被害総額1日約13億円、年間約5000億円、日本一発生件数の多い犯罪である万引き。
万引きが行われる原因はさまざまだが、一般的にイメージされやすい貧困によるものではなく、むしろ経済的には恵まれているにもかかわらず、万引きという行為そのものに耽溺する人たちがいる。
2018年に刊行された『万引き依存症』(イースト・プレス)の担当編集者であるフリー編集者の三浦ゆえさんがモデレーターを務め、これまで数多の万引き依存症の人たちの治療にあたってきた大森榎本クリニック精神保健福祉部長で精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんと、かつて万引き依存症だった女性のMさんが、その病いの実態を語った。
※本記事は、リディラバが主催する社会課題カンファレンス R-SIC 2019のセッション「当事者が語る、万引き依存症の実態」を記事にした前編です。
そもそも万引き依存症とは何か
斉藤章佳 最初に私から「万引き依存症とは何か」についてお話すると、まず万引きというのは、誰にとっても非常に身近な問題です。
子どもの頃に出来心から万引きをしてしまったことのある人は結構いるんじゃないでしょうか。私自身、小学1年生のときに500円の大きな消しゴムが欲しくて万引きしてしまったことがあります。
子どもの頃にやったことはあるけど、自分は絶対万引き依存症にはならないし、いまも万引きもするわけがないと、皆さん思っていますよね。我々のクリニックに来て治療されている人も、それまで万引きとは無縁な方が多いです。
ところが、仕事や家事、育児のストレス、いわゆるケア労働ですね。または過去のトラウマや孤独などが引き金になって、万引きという行為にハマっていく人がいます。

おそらく、多くの人は昨年、元マラソンランナーの原裕美子さんが万引きを繰り返しているという報道で、「万引きって依存症の問題でもあるんだ」と知ったんじゃないかと思います。
この問題には、2つの大きな特徴があります。一つは反復性。とにかく繰り返すんです。その頻度と回数が半端ないことも万引き依存症の特徴です。
もう一つが不合理性、了解不能性とも言います。財布に10万円の現金が入っているのに、数百円のものを盗ってしまうということです。
執行猶予期間中で、次に万引きしたら刑務所行きになることをわかっていてもやってしまう。Gメンの存在に気付いているのにスイッチが入るととめられなくなる。
つまり、万引きという行為に対する合理的な説明ができないのが不合理性です。

この不合理性で言うと、20年以上万引きを続けている女性がいました。彼女の治療態度は非常に真面目で、やがて万引きも止まったんです。
そのうち娘の結婚が決まり、結婚式を行うことになった。母親であるこの女性にとっても、晴れがましい一日です。ですが、結婚式当日、会場に向かう途中にたまたま立ち寄ったスーパーで、万引きをしてしまったんです。
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ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル
続きをみるこんにちはリディラバジャーナルです。もうすぐ、子どもたちの夏休みが始まります。いまや子どもたちの居場所は、公園や図書館だけではありません。SNSやオンラインゲームを通じて、友達と話したり、学校や家庭とは異なるつながりを得たりする機会も増えています。SNSやゲームそのものが悪いわけではありません。好きなものでつながれる相手に出会えたり、学校や家庭とは違う関係に救われたりすることもあります。ただ、そのつながりが、思わぬ被害の入り口になってしまうこともあります。警察庁の統計では、SNSをきっかけとする性被害は高い水準で推移し、とりわけ小学生の被害は近年増加しています(※1)。
「知らない人とやり取りしなければ、防げるのではないか?」「自分で撮って送ったなら、本人にも責任があるのではないか?」そう感じる人もいるかもしれません。ただ、自画撮り被害の背景には、相手が時間をかけて関係を築き、子どもを断りにくい状況へ追い込んでいく過程があること。そして被害に遭った子どもが、「怒られる」「責められる」と感じて、誰にも言い出せなくなっていくことがあります。この記事では、自画撮り被害を子どもの不注意や自己責任だけで捉えず、その手前で何が起きているのか、そして被害を防ぐために周囲や社会に何ができるのかを考えていきます。
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