
7月の開幕まで残りわずかとなった東京2020オリンピック・パラリンピック。新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれる事態になっているが、オリンピック・パラリンピックが日本社会に与える影響は広く大きい。
経済効果や雇用の増加などのポジティブな側面がある一方、これまで可視化されてこなかった課題が浮き彫りになるなど、いままで知られることのなかった社会問題への関心が高まる契機にもなる。
それらの社会問題に対し、オリンピック・パラリンピック開催国の一人である私たちにはどんなことができるのか。またオリンピック・パラリンピックに携わる業界の視点から見えてくる日本社会の課題とは。
今回はサステナビリティ(持続可能性)という観点から、2020年東京大会だからこそ問われる課題について、環境問題やサステナビリティに詳しいジャーナリストの木村麻紀さんに聞いた。
問われる東京大会ならではのソフトレガシー
――「史上最高の持続可能な大会」と評価された2012年ロンドン大会は、どんな実績が残された大会だったのでしょうか。
私は直接ロンドン大会を取材したわけではないのですが、サスナビリティという意味で注目された初めてのオリンピック・パラリンピックであり、東京大会で行おうとしている一連の取り組みの原型となる大会でもありました。
再生可能エネルギーの活用や省エネルギーの活動、都市の緑化、選手村でのオーガニック食材の提供などです。そのような先駆けた取り組みを実行し、実績を残したのが、ロンドン大会だったんです。
また、開催都市でテレワークやリモートワークと言われる勤務形態が広がったきっかけとなった大会でもありました。
テレワークやリモートワークの導入により、二酸化炭素(CO2)の排出量の抑制や都市部の過密移動、渋滞の緩和、さらには働く人たちの健康やパフォーマンスの向上にもつながると言われています。
現在、新型コロナウイルスの流行が著しい中国では、多くの企業がリモート勤務に切り替えて以降、二酸化炭素(CO2)の排出量が大幅に減少したことが先日ニュースになっていました。
こうしたニュースを見ると、やはりオフィスでの稼働を抑えることで環境負荷を減らすことができるとわかります。...

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