「ホストにも社会性を」歌舞伎町の論理を無視し続けた20年 手塚マキが語る森美術館からの協賛拒否
「ホストにも社会性を」歌舞伎町の論理を無視し続けた20年 手塚マキが語る森美術館からの協賛拒否
「ホストにも社会性が大事だと言い続けて、いくら反発されても、水商売の価値観を無視してきた。
でも結局、今回の森ビルの判断によって、水商売は水商売なんだと、烙印を押された気持ちはあります」
新宿・歌舞伎町でホストクラブや飲食店などを展開する「Smappa!Group(スマッパ・グループ)」の会長、手塚マキさんは語る。
震災で被害を受けた被災地への寄付、歌舞伎町のゴミ拾い、高齢者向けデイサービスの運営、本屋の経営と読書の啓発、商店街振興組合への参加…
手塚さんは、独立以来一貫して「ホスト」のイメージとは一線を画する社会的な活動を続けてきた。
言うならば「社会派」ホスト経営者である。
「僕たちって、歌舞伎町の中でも割と大きなグループで、歌舞伎町で3本の指に入ってた時期もあるんです。
だけど周囲は『Smappa!Groupは別だから。真似するところじゃないし、ライバルでもない』って言う。
実際、他のグループからホストが移籍することも、うちのホストが引き抜かれることもほとんど無い。同業者からは、同じ業種だと思われてないんです。
それくらい、歌舞伎町の価値観を無視して、社会に必要とされるホストを目指してきました」
そんなSmappa!Groupは、とある騒動によって「結局、水商売なんだと烙印を押される」経験をすることになった。
(手塚マキさん)
―森美術館がSmappa!Groupからの協賛金受け取りを拒否
2022年2月18日より、六本木ヒルズにある森美術館で、特別展示「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」が開催された。
この特別展の開催にあたって、展示作品を作るアーティスト集団「Chim↑Pom(チンポム)」は、森美術館からの依頼を受け、協賛企業を募った。
アディダスジャパンやパルコなどの企業が協賛として名を寄せる中、Smappa!Groupの協賛だけが、森美術館から拒否されたのだ。
森美術館側は、協賛拒否の理由を次のように回答している。
「六本木ヒルズという『まちづくり』における『ブランディング』」
「森美術館はヒルズという『文化都市』の顔である」
「接客を伴う水商売の会社のロゴは掲載しない」
(Chim↑Pom from Smappa!GroupのTwitterより)
水商売を行っているSmappa!Groupは「文化都市」六本木のブランドにそぐわないため、協賛は受け付けられない、という趣旨だ。
森美術館の決定に対して、アーティスト集団「Chim↑Pom」はグループ名を「Chim↑Pom from Smappa!Group」へと改名。
協賛企業としてSmappa!Groupの名前が使えないのであれば、自らのグループ名にSmappa!Groupを加え、特別展の広報等で名称を使わざるを得ない状況を作った。
協賛拒否に対して、インターネット上では「森美術館にもイメージを作る自由がある」「ホストクラブは危険、健全な場所が少ない。安易に広げていい場所じゃない」という意見や、「森美術館が裏でこんなやりとりをしていたのか」「職業差別だ」と賛否両論が巻き起こった。
ホスト業界の中で社会派という独自路線を歩んできたSmappa!Group。
これまでどんな取り組みを重ね、協賛拒否を受けた今、どんな気持ちを抱いているのか。
手塚さんの声を聞きに、リディラバジャーナル編集長の安部敏樹と編集部が歌舞伎町へと向かった。
日本でうちだけ
異質な光景が拡がるデイサービス
まず手塚さんに案内されたのは、Smappa!Groupの事務所。
ドアを開けると、目に飛び込んできたのは予想もしない光景だった。
2人のホストと2人の高齢者が、麻雀卓を囲んで楽しそうに笑っている。
事務所内に併設されたこの場所は「新宿デイサービス」
Smappa!Group では、ホストクラブや飲食店だけでなく、高齢者向けの介護事業にも取り組んでいるという。
なぜ介護事業に乗り出したのか、手塚さんは次のように語る。
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1月1日、能登半島地震が発生しました。亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われたすべての方にお見舞い申し上げます。
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