「我慢ではやめられない」万引き依存症を患った女性の苦悩 | Ridilover Journal(リディラバジャーナル)
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「我慢ではやめられない」万引き依存症を患った女性の苦悩

被害総額1日13億円、年間5000億円、日本一発生件数の多い犯罪である万引き。

 

万引きが行われる原因はさまざまだが、一般的にイメージされやすい貧困によるものではなく、むしろ経済的には恵まれているにもかかわらず、万引きという行為そのものに耽溺する人たちがいる。

 

2018年に刊行された『万引き依存症』(イースト・プレス)の担当編集者であるフリー編集者の三浦ゆえさんがモデレーターを務め、これまで数多の万引き依存症の人たちの治療にあたってきた大森榎本クリニック精神保健福祉部長で精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんと、かつて万引き依存症だった女性のMさんが、その病の実態を語った。

 

※本記事は、リディラバが主催する社会課題カンファレンス R-SIC 2019のセッション「当事者が語る、万引き依存症の実態」を記事にした中編です(前編)。

摂食障害だから万引きをやめられている

 三浦ゆえ  Mさんの万引き依存症はいまは治まっているとのことですが、どのようにして治療につながったんですか。

 

 M   元夫に、もうどうにもならないからと、あるクリニックに連れて行かれたんです。それ以来、ずっと治療にかかっているという感じで。

 

 三浦  当事者が治療につながるのは、やはりご家族がつなげるケースが多いんですか。あるいは、本人自らつながるケースもありますか。

 

 

 斉藤章佳  ご本人から連絡があるケースは少ないです。逮捕、勾留されていることも結構ありますから。

 

多いのは、やはり家族が調べて相談に来るのと、刑事事件になると弁護人から相談依頼の連絡がきます。

 

治療につながるまでに、平均5~6回逮捕されている人が多い。最初の裁判では大体執行猶予になることが多いのですが、その執行猶予期間中に再犯してしまい、これはいよいよ本気で向き合わないとやめられないとなって専門治療につながるんです。

 

 三浦  Mさんも一度逮捕された経験があるということでしたが。

 

 M   逮捕されたのは昨年末で、留置施設で過ごした時間や検察の取り調べは、相当堪えました。

 

それを通じて、なんというか、私には万引きをしたことに対する責任をとれないなと思ったんです。それが、いま万引きが止まっている理由の一つかもしれません。...