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公開日: 2021/3/16(火)

取材や報道の「切り取り方」が分断を生むこともある――人気報道番組制作者と考える「これからのメディアのありかた」(前編)

公開日: 2021/3/16(火)
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取材や報道の「切り取り方」が分断を生むこともある――人気報道番組制作者と考える「これからのメディアのありかた」(前編)

公開日: 2021/3/16(火)
オーディオブック(ベータ版)

メディアが社会問題を取り上げて発信することは、多くの人がその実態や真実を知ったり意識を変えるきっかけとなったり、結果として解決のための行動を促したりすることにもつながっている。

 

一方で、当事者の意図とは異なる形で取材内容が報道されたことで分断が生まれ、メディアという存在が嫌われたり批判の対象とされたりすることもある。また、視聴者側が報道の一部を切り取り、間違った解釈をもって拡散してしまうこともある。

 

今回はリディラバジャーナル3周年記念として、社会問題解決のために必要なことは何かを出演者や視聴者とともに考える報道番組『ABEMA Prime』チーフプロデューサーの郭晃彰さんと、リディラバ代表の安部敏樹のスペシャル対談を実施。社会問題をメディアを通じて伝える立場として、メディアが社会にもたらす影響や、テレビとウェブメディアの取材手法の違いなどについて語った。

 

 

<郭晃彰さん>

1987年12月31日生まれ。株式会社テレビ朝日に2010年に入社。早朝帯番組でAD、Dを3年間務めた後、社会部に異動。国土交通省、海上保安庁、気象庁を担当。東日本大震災から5年の節目では、ドキュメンタリー番組「その時、『テレビ』は逃げた~黙殺されたSOS~」を制作。同番組は、NewYorkFilmFestivalに入賞。2016年の「ABEMA」開局に参加、夜帯のニュース番組『ABEMA Prime』のチーフプロデューサーを務める。

メディアが社会問題解決のきっかけに

 安部敏樹  郭さんは、僕も毎週コメンテーターとして出演させていただいている『ABEMA Prime』(通称、アベプラ)のチーフプロデューサーをされています。これまでの経歴について、あらためて教えていただけますか。

 

 郭晃彰  僕は2010年にテレビ朝日に入社して、最初は朝の情報番組でADやディレクターを経験しました。それから社会部の主に災害担当の記者として、国土交通省や気象庁、海上保安庁などに取材をしていました。

 

その後、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA(アベマ)」に出向することになって、番組を担当することになりました。

 

 安部  番組開始からずっと担当されていますが、世間の反響は変わりましたか。

 

   アベプラは月曜日から金曜日まで毎日放送していますが、生放送の視聴者数そのものは、番組開始当初からそこまで変わっていません。

 

ただここ2年くらいは、「ABEMA」の情報ニュースサイトである『ABEMA TIMES』で番組の内容を記事化したものがヤフーニュースに掲載されたり、番組の一部を載せているYouTubeの再生回数が伸びたりしています。番組を知ってくれている人自体は、増えてきている印象がありますね。

 

安部さんには、番組で「食品ロス」を取り上げたときに、ゲストで来ていただいたのが最初でしたよね。あのときは、リディラバさんのスタディツアーの様子も取材させていただいて。当時はいまほど食品ロスのことが話題になっていなかったので「おもしろいことをやっている人たちがいるな」と思ったことを覚えています。

 

放送終了後に番組の内容をABEMA TIMESに書いたところ、ヤフーニュースのトップに取り上げられて、結果として多くの方に食品ロスの問題を知ってもらうことができました。

 

 安部  当時はまだ「毎年、売れ残った恵方巻きが大量に処分されている」という事実が、世の中にほとんど知られていなかったんですよね。番組に取り上げてもらったことをきっかけに「恵方巻きを余らせて捨てるのはよくないのでは」という認識が広がり、売る側も努力するようになったりして、具体的な行動の変化につながったと思っています。

 

「メディアというのはこんなに世の中にインパクトを与えることもできるんだ」と実感しましたし、「自分たちも社会問題を遠くまで発信できるのではないか」とも思いましたね。あの経験はリディラバジャーナルというメディアを立ち上げたきっかけのひとつにもなっています。

 

(写真 安部敏樹)

 

   僕がリディラバジャーナルをおもしろいメディアだなと思うのは、「振れ幅」があるところだと思っていて。真面目なことを取り上げているんだけれど、けっこう思い切ったこともやっている。

 

僕たちももっといろんなことがしたいなと思っているのですが、やっぱりできないこともあって。

 

たとえばリディラバジャーナルの記事のなかで、在特会の会長さんに、安部さんが直接取材に行った記事がありますよね。こういうテーマだと、テレビだと流せない言葉も飛び交うから、僕たちは手が出せないジャンルなんです。

取材対象者との「対話」の重要性

 安部  リディラバジャーナルはウェブメディアですが、ウェブメディアとそれ以外のメディアって、取材手法にも違いがあると思っていて。

 

たとえば、事前の確認の有無。テレビや新聞などの場合、取材内容がどのように編集されたのか、取材を受けた本人が事前にチェックさせてもらえないことも多いと思います。

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
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リディラバジャーナル編集部
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