教育は、どんな力を育むのか――“評価”と“環境”から、教育のあり方を問い直す
教育は、どんな力を育むのか――“評価”と“環境”から、教育のあり方を問い直す
これからの時代には、こんな力が必要だ――。
教育について考えるとき、私たちはしばしば、育てるべき「力」を探そうとする。では、その力は誰が決め、誰のために育てるものなのだろうか。
2026年8月6日(木)、自由学園明日館(東京都豊島区)で開かれた「リディフェス2026」。その教育分科会では、「どんな力を育てるのか」という問いの先に、評価や環境をめぐる問題が浮かび上がった。
テストでは測りにくい力を評価すれば、教育はよりよくなるのか。その力は本人だけが育てたものなのか。そもそも、教育が「望ましい力」を決め、全員に求めることは正しいことなのか。
本記事では、“評価”と“環境”から教育のあり方を考える。
【登壇者・モデレーター】
五十嵐立青(イガラシ・タツオ)
つくば市長。1978年つくば市生まれ。筑波大学国際総合学類、ロンドン大学UCL公共政策研究所修士課程を経て、筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(国際政治経済学)。つくば市議を経て、2016年よりつくば市長。
大黒達也(ダイコク・タツヤ)
東京大学次世代知能科学研究センター准教授。博士(医学)。創造性、音楽、言語、認知科学、神経科学、機械学習を研究し、音楽の身体知や創造性の神経科学的・計算論的基盤などの研究に取り組む。
中室牧子(ナカムロ・マキコ)
慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は教育経済学。慶應義塾大学卒業後、日本銀行、世界銀行などを経て、コロンビア大学大学院で博士号を取得。著書に『「学力」の経済学』などがある。
矢島里佳(ヤジマ・リカ)【モデレーター】
株式会社和える代表取締役。19歳の頃から全国の職人を訪ね、大学時代に日本の伝統文化・産業の情報発信を始める。2011年、大学4年時に株式会社和えるを創業。“0歳からの伝統ブランドaeru”や、地場産業を次世代につなぐ伴走型リブランディング事業などを展開する。
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※本記事は、「リディフェス2026」で行われた「教育」分科会の内容をもとに記事化したものです。発言は意味を変えない範囲で整理し、読みやすさのため、一部の発言や議論の順序を前後させて再構成しています。
「社会に価値を出せる人」を育てるのか――教育が目指す人間像を問い直す
「教育で育てたい力」を考えるとき、その先にはしばしば「望ましい人」の姿が置かれる。では、その「望ましさ」は、誰が、何のために決めるのだろうか。
五十嵐立青「市長という立場から見て、成果を出せる人、社会に価値を生み出せる人とはどのような人か」というお題をいただきました。それを見て、「これ、問いが悪いな」と思ったんです。
人は社会に対して価値を出さないといけないのか、というところを真剣に考えた方がいい。政治家は二言目には「グローバル人材を育成せよ」「イノベーション人材を育成せよ」と言いますが、そんなものは余計なお世話だと思っています。
何か社会に価値を出すために、「君たちはこういうことをしなくちゃいけない」と言っていたら、本当にこの国は終わってしまうんじゃないかと思うんです。
だからこそ、つくば市で教育大綱を作ったとき、その最上位の目標として「一人ひとりが幸せな人生を送ること」を掲げました。「グローバル人材」といった言葉は一言も書いていません。

五十嵐立青さん
教育を「社会で活躍できる人を育てるもの」と捉えるのか、それとも「一人ひとりの人生を支えるもの」と捉えるのか。教育の目的をどこに置くかによって、「育てるべき力」の見え方そのものが変わってくる。

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