「合わない」は、弱みなのか——“はぐれた先”で見つかった、起業だけではないアントレプレナーシップ
「合わない」は、弱みなのか——“はぐれた先”で見つかった、起業だけではないアントレプレナーシップ
うまく馴染めない。自分だけ評価されていないと感じる。そうしたとき、周囲と合わない理由を自分の中に探し、それを自分の弱みだと思ってしまうこともある――。
2026年8月6日(木)、自由学園明日館(東京都豊島区)で開かれた「リディフェス2026」。「アントレプレナーシップ」分科会では、3人の登壇者が社会や周囲と「合わない」と感じた経験、さらにはその後の歩みを振り返った。
3人に共通するのは、周囲と「合わない」と感じた経験が、後の仕事や挑戦に生きていることだ。ただ、最初から新しい挑戦を目指し、その経験を生かそうとしていたわけではない。悩みながら自分なりの生き方を探し、選択を重ねた先に、今の仕事や挑戦がある。
一般にアントレプレナーシップは「起業家精神」と訳されるが、「新しいことを起こしていく力」と捉えれば、その意味はもう少し広がる。その視点から3人の歩みをたどると、周囲と「合わない」中で選んだ道が、やがて「ことを起こす力」としてのアントレプレナーシップへつながっていったことが見えてくる。
乙武洋匡(オトタケ・ヒロタダ)
作家。早稲田大学在学中に著書『五体不満足』を発表し、卒業後はスポーツライターや小学校教諭として活動。現在は執筆・発信に加え、政治活動にも携わる。
坂口菊恵(サカグチ・キクエ)
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構教授。高等教育の質保証に携わるほか、学校外で得た学びを可視化するマイクロクレデンシャルの社会実装にも取り組む。
小泉文明(コイズミ・フミアキ)
株式会社メルカリ取締役 President(会長)兼株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長。大和証券SMBC、ミクシィを経てメルカリに参画し、経営や事業づくりに携わる。
浜田敬子(ハマダ・ケイコ)【モデレーター】
ジャーナリスト。朝日新聞社で『AERA』編集長を務めた後、Business Insider Japan統括編集長などを経て独立。働き方やジェンダー、企業・組織の課題を取材・発信している。
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https://youtu.be/EU1BcQczqXA
※本記事は、「リディフェス2026」で行われた「アントレプレナーシップ」分科会の内容をもとに記事化したものです。発言は意味を変えない範囲で整理し、読みやすさのため、一部を省略しています。
自分一人がきれいな形にならなくてもいい——自分がピタッとはまる小さなコミュニティを探すということ
乙武洋匡さんは、家族に愛情を注がれ、地域の学校で学んだ幼少期には、社会からはぐれているという感覚はあまりなかったという。だが、成長して社会との接点が増えるにつれ、「合わない」経験を重ねていった。
乙武洋匡高校卒業後に一浪することになり、予備校へ通おうとしたところ、高田馬場にあった予備校からは全部門前払いでした。「車椅子は責任を持てない。何かあったら困る」と言われたんです。車椅子に乗っているというだけで、勉強することさえ断られてしまう。そんな時代だったんです。
その後、早稲田大学へ進学して、今度はアルバイトをしようと思ったんです。引っ越しやコンビニは難しくても、テレアポならできるだろうと。ところが、3社続けて落ちた。「いや、俺、話すの得意なんだけどな」って思いましたよ。
予備校にも、アルバイトにも断られて、「障害者って、社会でどうやって生きていくんだ」と思いました。
一方で、僕は性格もちょっと変わっているんですよ。そうした経験を重ねるうちに、周囲に溶け込もうと我慢して自分が疲弊するより、「変わってます」と突き抜けたほうが楽なんじゃないかと思うようになり、少しずつ割り切れるようになりました。

乙武洋匡さん

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル
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