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    • 特集「歓楽街の若者支援」第6回公開。相談業務の苦悩——つながること、支えること

      構造化特集「歓楽街の若者支援」第6回を公開しています。困難を抱える若者がその瞬間に必要としているものと、食事、相談の機会、住まい、医療、公的支援といったものがずれることがあります。支援の非対称性とは何か。記事はこちらから。

      2026/9/16(水)
    • 特集「歓楽街の若者支援」第5回公開。声をかけても、支援はまだ始まらない

      構造化特集「歓楽街の若者支援」第5回を公開しています。現場の相談員たちは、困難を抱える若者とつながることのどこに難しさを抱えているのか。相談員と若者の間に立ちはだかる「認知の壁」「心理の壁」「物理の壁」を明らかにします。記事はこちらから。

      2026/9/15(火)
    • 特集「歓楽街の若者支援」第4回公開。困難を抱える若者が犯罪に巻き込まれるとき

      構造化特集「歓楽街の若者支援」第4回を公開しています。歓楽街の中では、困難を抱えた若者が組織的な行為に巻き込まれるケースがあります。さらに、その過程では若年男性の孤立や困窮が見落とされている場合も。記事はこちらから。

      2026/9/11(金)
    • 特集「歓楽街の若者支援」第1〜第3回公開

      構造化特集「歓楽街の若者支援」第1〜3回を公開しています。なぜ居場所を失った若者は、歓楽街に惹きつけられるのか。そして、歓楽街の中にある、若者の困難をさらに深める構造とは——。記事一覧はこちらから。

      2026/9/9(水)
    • 構造化特集「歓楽街の若者支援」始まりました!

      歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっています。そんな困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けていますが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在しています。記事はこちらから。

      2026/9/3(木)
構造化特集
歓楽街の若者支援 第6回
公開日: 2026/9/16(水)

相談業務の苦悩——つながり続けること、支え続けることの難しさ

公開日: 2026/9/16(水)
構造化特集
歓楽街の若者支援 第6回
公開日: 2026/9/16(水)

相談業務の苦悩——つながり続けること、支え続けることの難しさ

公開日: 2026/9/16(水)
構造化の視点

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園—&m

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歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。


オーディオブック(ベータ版)

リディラバジャーナル構造化特集「歓楽街の若者支援〜奮闘する現場と、支援を阻む構造〜」

 

第6回となる本記事では、第2章「当事者への支援を阻む構造」の核心として、困難を抱える若者とつながった後も支援を続けていくことの難しさを明らかにする。

 

 

「お金が今必要なんだって言われた時に、やっぱちょっと闇の方が満たせる可能性がありますよね。話を聞くよって言っても、いや話を聞いてもらいたいんじゃなくて今金が必要なんだって」——早稲田大学法学部の小西暁和教授は、支援の難しさをこう語る。

 

 

困難を抱える若者が「今日のお金」を求めている時、相談員がその場で現金を渡すことは難しい。食事や相談の機会を提供し、住まいや医療、公的支援などにつなぐことはできても、本人がその瞬間に必要としているものとはズレることがある。

 

このギャップは、構造的になかなか縮まらない。

 

今回は、相談員や元当事者へのインタビューを通じて、こうした支援の非対称性、相談員の見立てと本人の現在地の違い、そして近い関係性を築くからこそ生じるリスクを解き明かす。

闇の引力と支援の非対称性——即時性という罠

前回は、相談員と若者のつながりを阻む「3つの壁」を見てきた。しかし、壁を越えて相談につながれたとしても、再び歓楽街の仕事や人間関係に戻る若者もいる。

 

相談員の熱量の問題ではない。本人がその時必要としているものと、相談員が提供できる支援との間に、構造的なズレが生じることがある

 

東京の歓楽街で女性支援を行うNPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんは語る。

 

橘ジュン(タチバナ・ジュン)
NPO法人BONDプロジェクト代表、ルポライター。2006年に雑誌『VOICES』を創刊。2009年、10代・20代の生きづらさを抱える女の子を支える同法人を設立。虐待や貧困などの困難を抱える少女のため、全国の歓楽街を回りパトロールや保護を行う「動く相談窓口」として活動。著書に『漂流少女』等がある。

 

「心が動いて行動に出せる子と、悩んでそこに留まっちゃう子がいて、圧倒的に留まっちゃう子のほうが多い。私たちなんかよりも、彼女たちを惹きつける危ない人たち、私たちから見たら悪意ある大人たち、その人たちのほうに寄っていくっていうか、そこに留まってしまう。私たちは何もできないんですよ」

 

なぜ、相談員による支援よりも、その時に必要なものをすぐに得られる仕事や人間関係を選ぶことがあるのか。早稲田大学法学部の小西暁和教授は、その理由の一つを端的に表現する。

 

小西暁和(コニシ・トキカズ)
早稲田大学法学学術院教授。専門は刑事政策学・少年法・犯罪者処遇法。東京都青少年問題協議会委員などを歴任し、「トー横」「グリ下」に象徴される繁華街に集まる若者の問題を法学・政策学の視点から研究。各地で講演を行い、現場と政策をつなぐ発信を続けている。編著に『日本の矯正・保護を動かす「外の力」とは』など。

 

「お金が今必要なんだって言われた時に、やっぱ闇のほうが満たせる可能性がありますよね。こっちはお金を渡せない。話を聞くよって言っても、いや話を聞いてもらいたいんじゃなくて今金が必要なんだって」

 

なぜ「今すぐ」が優先されるのか。歓楽街に集まる若年層の事情に詳しい社会福祉士のNさんは、その構造を次のように説明する。

 

窮すれば窮するほど、視界はどんどん狭くなっていくんですよね。たとえば、万引き。とりあえずお腹減ってるから、後先考えられず目の前にあるものを取ってしまった。その後捕まるとか、そんなときには考える余裕がないんですよ。目の前のことしか考えられなくなってしまっているからこそ、相談窓口につながって相談すればいいとかではなく、とりあえず自分の足りないものを手っ取り早くどう補っていくか、と考えてしまう。で、そこに本人が即時的に必要としているものに寄り添ってくれるのが風俗やいわゆる「闇バイト」という側面も大きいのではないでしょうか」

 

本人がその時に求めるものは金銭だけではない。Nさんは続ける。

 

「誰からも気にかけられていない、必要とされていないという孤立感も人を苦しめます。承認欲求は人間の根源的な欲求。実際のところは搾取であっても、対価だとしても『自分が必要とされてる』という感覚が得られる側面もある。福祉的な支援で、制度やサービスにつながって、外面的な最低限度の生活は整えられたとしても、どこか満たされないのもこの部分だったりするのではないでしょうか」

 

金銭や承認といった、その瞬間に本人が求めているものを、支援が同じかたちで提供できるわけではない。お金や承認を「今すぐ」満たす関係に対して、相談支援は構造的に太刀打ちしにくい。そこに一つ目の非対称性がある。

「支援を受けること」が解決策と思いづらい若者も

困難を抱える若者が苦しさをこぼすこともある。しかし、それを「支援を受けて解決しよう」とは思えないことがある。歌舞伎町で女性の支援を行うNPO法人レスキュー・ハブ代表の坂本新さんはその実態を明かす。

 

坂本新(サカモト・アラタ)
NPO法人レスキュー・ハブ代表。大手警備会社に約20年勤務し、日本大使館警備などで海外に約10年駐在。人身取引被害者支援のNPOを経て2020年に同法人を設立。歌舞伎町で夜回りを続け、性風俗に携わる女性や性的搾取・暴力被害者に寄り添い、公的機関や支援団体につなぐ活動をしている。

 

「歌舞伎町の尺度だけで自分を測って生きてる子たちが多い。自分の担当とか推しにいくらの金を使ったかで、女性同士のマウントの取り合いをしている。それで自分の存在意義、アイデンティティがある。閉塞された人間関係の中で同じような価値観の子たちだけで話してるんで、外の価値観が入ってきにくい。だから歌舞伎町の中で自分は頑張らなきゃって視野狭窄を起こしてる

 

長くつきあってる子に『もうやめたらいいじゃん』と言っても、『私がどれだけあの男を育ててやったかが大切なのよ』って。そういう自分が好きで、そこにアイデンティティがある。外部からいくら話をしても刺さらないんですよね」

 

坂本さんが「刺さらない」と語る若者の心理について、歌舞伎町に10年以上関わってきた作家の佐々木チワワさんはその核心を語る。

 

佐々木チワワ(ササキ・チワワ)
作家。15歳で歌舞伎町に足を踏み入れて以来、10年以上にわたりこの街に関わり続けている。慶應義塾大学卒業後、現在は立命館大学大学院で歌舞伎町の社会学を研究。高校時代から歌舞伎町で働く夜職の人々に惹かれ、当事者として街に通うなかで、その経験を後に研究・執筆へとつなげてきた。著書に『歌舞伎町モラトリアム』『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』『歌舞伎町に沼る若者たち』など。

 

「歌舞伎町の外に出たいのではなく、この街の中でドラマを生きたいんです。歌舞伎町でホストとして成功したいとか、この街で誰かと結ばれたいとか、ゴールが『脱出』ではなく、『歌舞伎町での個人の物語の達成』なんですよね。

 

そのゴールとのズレがあるから病んでいるので、だからちょっとまだこのゲームを降りたくないっていう、まだこの街でプレイをしていたいとか、またここでやり直したいとかっていう感覚があるんだと思います」


困っているからこそ、この街で頑張ろうとしている——。そうした若者の中には、支援を受けることが解決策と感じられない人もいる。

 

支援が示す道と、本人がその時に進みたい道は同じとは限らない。

長期的な出口の乏しさ

時間をかけて関係を築き続ける中で、本人が「ここを出たい」と思う瞬間が訪れることもある。早稲田大学の小西教授はこう語る。

 

「最初は闇のほうがお金ももらいやすくていいと思っていても、だんだん『やばいな』って気づくんですよね。やがて歌舞伎町を卒業する時期っていうのが大方あるんです。巣立っていくって言うんですかね。そういうときに、何か心配なことがあったらいつでも相談にのってもらえる、引き返せる、そういうルートにつなげていくっていうことが大事」

 

それは現場の声とも一致する。BONDプロジェクトの橘さんは現場の実感を明かす。

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CONTENTS
intro
歓楽街の中にある、当事者の困難を深刻化させる構造
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3
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当事者への支援を阻む構造
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