• 新しいお知らせ
    ×
    • 構造化特集「歓楽街の若者支援」始まりました!

      歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっています。そんな困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けていますが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在しています。記事はこちらから。

      2026/9/3(木)
構造化特集
歓楽街の若者支援
公開日: 2026/9/3(木)
更新日: 2026/9/4(金)

【歓楽街の若者支援】奮闘する現場と、支援を阻む構造

公開日: 2026/9/3(木)
更新日: 2026/9/4(金)
構造化特集
歓楽街の若者支援
公開日: 2026/9/3(木)
更新日: 2026/9/4(金)

【歓楽街の若者支援】奮闘する現場と、支援を阻む構造

公開日: 2026/9/3(木)
更新日: 2026/9/4(金)
構造化特集 : 歓楽街の若者支援
構造化の視点

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園—&m

・・・もっと見る

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。


オーディオブック(ベータ版)

※本記事には、暴力や性的搾取、自傷など、深刻な困難に関する記述が含まれています。読むことで精神的な負担を感じたり、過去のつらい記憶がよみがえったりする可能性があります。ご自身の状態を優先し、無理のない範囲でお読みください。

 

過去に歓楽街で深刻な困難に直面した元当事者のAさん

 

過去に歓楽街で深刻な困難に直面した元当事者のAさん(仮名)は、10代の頃の経験を淡々と語ってくれた。

 

身分証を撮影されてばらまくぞと脅されたこと、寝ている間に財布のお金を抜かれたこと、知らない場所に連れ込まれて暴力を受けたこと、凄惨な性的搾取——。

 

歓楽街に集まる困難を抱えた若者の中には、搾取や犯罪に巻き込まれたり、OD(オーバードーズ)や自傷など心身の危機に直面したりする人もいる。

 

歓楽街を訪れたこと自体がこうした状況を生むわけではない。もともと抱えていた困難や、街の中にある人間関係、搾取する側との接触など、いくつもの要因が重なることで過酷な状況に陥る若者がいる。

 

そんな彼らを支援するため、相談員たちは夜の街に立ち続けている。一方で、中小規模の支援団体では、本人との関係を築く難しさに加え、人手・資金の不足など、さまざまな課題を抱えている。

 

相談員という「支える人」を支える仕組みが、社会に十分に整備されていないのではないか——。本特集は、そんな問いから出発している。

 

この問いに向き合ううえで、避けて通れない出来事がある。
 

公益社団法人日本駆け込み寺 入り口

出典:2024年3月22日 公益社団法人日本駆け込み寺プレスリリース

 

2025年5月、歌舞伎町で相談支援を行う公益社団法人日本駆け込み寺の元事務局長が、相談者とされる女性と共に麻薬取締法違反(コカインの所持・使用)の容疑で逮捕された。2026年3月12日には、東京地裁で懲役2年・執行猶予4年の有罪判決が言い渡されている。

 

東京地裁で開かれた田中芳秀被告の公判の様子

東京地裁で開かれた田中芳秀被告の公判の様子(イラスト:遠山怜(Addiction Report)) 

 

この事態を受け、内閣府の公益認定等委員会は同法人に対し、経緯の分析と再発防止策の策定を勧告した。同法人は勤怠管理や私的連絡の禁止、相談者への周知、ガバナンス委員会の設置などの再発防止策を講じ、2026年2月25日付で行政庁の確認を経た報告書を公表している(※1)。

 

起きた事象自体は看過できるものではない。被害を受けた当事者がいる以上、その罪は罰せられるべきである。

 

そのうえで編集部は、この出来事を個人の資質の問題として片付けるのではなく、構造の問題として見る必要があると考えている。

 

実際、今回の取材では、相談員が相談者と共依存のような状態に陥ったケースや、相談員による相談者への性加害が過去にあったとの話を聞いた。

 

もちろん、こうした事例は一部であり、ほとんどの相談支援団体においては起こっていない。多くの団体がリスクを踏まえてガバナンス体制を整備している。

 

それでも、相談員個人の善意や判断だけに負荷を集中させない仕組みをどうつくるかは、特にリソースが限られる中小規模の支援団体に共通する問いである。

 

本特集は、個々の出来事を免罪することが目的ではない。困難を抱えた若者に適切な支援が届く社会のあり方を考えるために、中小規模の相談支援団体が直面する困難や、相談業務の構造的な難しさを明らかにする必要がある
 


 

リディラバジャーナル構造化特集、今回のテーマは「歓楽街の若者支援〜奮闘する現場と、支援を阻む構造〜」。

 

2026年4月、歌舞伎町で今年何回目かの一斉補導が行われた。報道(※2)によると、5年でトー横周辺の補導人員は10倍になった(2020年に69人だったものが、2025年には747人)。

 

相談支援団体の一つ、NPO法人BONDプロジェクトでは、相談件数の増加はもちろんのこと、この数年で小学生からの相談も増えているという。

 

東京都が運営する居場所型の若者相談「きみまも@歌舞伎町」を利用する若者の数も毎月増加している

東京都が運営する居場所型の若者相談「きみまも@歌舞伎町」を利用する若者の数も毎月増加している

 

編集部では心身が危険な状況、犯罪などに巻き込まれる状況にあることを「ハイリスク」と呼んでいる

 

そうした状態にある若者と向き合う相談員という仕事がある。行政の手が届かない場所で、民間の相談員が若者に寄り添う。

 

しかし、歓楽街を取り巻く状況が好転しているとは言えない。相談員たちもまた、正解のない現場でもがいている。

 

本特集では、主に中小規模の相談支援団体や支援者への取材を通じて、歓楽街の中にいる困難を抱えた若者の現実と、彼らに向き合う相談員たちが置かれている構造を見ていく。

相談員の葛藤——支援現場で何が起きているのか

2026年2月の土曜日、夜20時。筆者は歌舞伎町の支援団体が行うアウトリーチ活動にボランティアとして参加した。活動エリアには売春目的(客待ち)の女の子が何人も道端に立ち、その傍らでは彼女らを物色する男性が複数うろついていた。

 

歌舞伎町の風景
筆者撮影

 

アウトリーチは、カゴいっぱいにウェットティッシュや化粧水、化粧落とし、ホッカイロ、ビスコなどを入れ、「何か欲しいものない?」と声をかけることから始まる。そして、「ご飯もあるし、充電もできるし、温かいから、よかったら遊びにおいで」と支援団体の施設を紹介する。

 

顔を背ける子もいれば、「ホッカイロ助かる」「ビスコもう一個ちょうだい」「今日、ご飯食べに行ったよ」と気さくに反応してくれる子もいる。「病気になりたくないからコンドームも配って」という若者もいた。

 

アウトリーチで配っている食品や日用品

筆者撮影

 

筆者が参加したアウトリーチにはルールがあった。男性との会話中(客引き中)には声をかけないこと。たとえその場で売春を防げたとしても、本人が「邪魔をされた」と感じれば、数分後には別の男性と交渉を始める。そして、支援者との関係が途切れてしまう可能性がある。

 

歓楽街でアウトリーチ活動を行うNPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんは、若者とつながる難しさについてこう語る。
 

NPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさん

橘ジュン(タチバナ・ジュン)
NPO法人BONDプロジェクト代表、ルポライター。2006年に雑誌『VOICES』を創刊。2009年、10代・20代の生きづらさを抱える女の子を支える同法人を設立。虐待や貧困などの困難を抱える少女のため、全国の歓楽街を回りパトロールや保護を行う「動く相談窓口」として活動。著書に『漂流少女』等がある。

 

「彼女らが逃げ出したいとか思うタイミングじゃないと、私たちとはつながりづらいんですよ。でも本当に逃げたくなったら連絡してねって、言い続けるしかない」

 

中には明らかに様子の違う子もいた。シネシティ広場のセブン‐イレブン前。路上に座り込んだ10代と思われるその女の子は、言葉を出すことも動くことも億劫そうに、筆者が差し出したカゴからゆっくりとウェットティッシュを取った。その目は虚ろだった。

 

その数十分前、ゴミ拾いで同じ場所を通ったとき、その子は歩道の縁石に乗り、若い男性らとはしゃいでいた。「このゴミどうぞ!きゃはは」と筆者にも話しかけてきたので記憶に刻まれていた。

 

しかし、1時間もしないうちに、別人のようになっていた。足元には500mLの缶チューハイの空き缶が転がっていたが、その様子は酒に酔っているのとはまるで違った。

 

筆者がその場を離れると、中年男性が「ウェットティッシュの袋、開けてあげようか?」と近づいた。

 

目の前に気がかりな若者がいても、本人が支援を求めていなければ介入できない——そうしたもどかしさを、橘さんも感じている。

 

「どうにかしたいとか、今すぐこの場所から離れてもらいたいとか、そういう状況の女の子っていっぱいいるんですよ、街の中に。だけど私たち何もできないんですよ」

 

歓楽街の中にはハイリスク状態の若者がいる。

 

歌舞伎町で出会った先輩たちに「売春すれば金になる」と教えられ、15歳で体を売るようになったBさん。ストレスがかかると解離してリストカットを繰り返し、気づけばシーツが血まみれになっていたことも一度や二度ではない。

 

本人の意に反したまま特殊詐欺に巻き込まれたCさん。抜け出したいと思ったときにはもう、自分の意思だけではどうにもならない場所に立たされていた。
(NPO法人レスキュー・ハブの支援記録より。名前は仮名) 

 

歓楽街で過ごしている若者すべてが支援を必要とする状態にあるわけではない。だが、家庭や学校での孤立、経済的な困難、大人への不信などを抱えたまま街に入り、犯罪や搾取に巻き込まれてしまう若者もいる。


そして、その入り口はSNSを通して誰にでも開いている——。スマホ1台さえあれば、自分の子に、あるいはかつての自分にも。

 

なぜ困難を抱えた若者は歓楽街に来るのか。その中で、なぜハイリスク状態に陥ってしまうのか。

 

その問いの先には、現場で若者に向き合い続ける相談員たちの姿があった。

相談員は何と闘っているのか

困難を抱えた若者に、相談員はどう向き合っているのか。

 

本特集で取材した中小規模の支援団体において、相談員は幅広い役割を担っていた。

 

相談員は、来所や電話、メール、HP、SNSなどを通じて寄せられる相談に対応する。単発で終わる相談から、金銭的・精神的問題、住居の確保、就労支援、生活保護や障害年金の受給、DVや虐待からの避難といった、数ヶ月から時に1年以上かかる継続的な相談まで、内容はさまざまだ。

 

相談を受けた後は、状況に応じて弁護士や役所、医療機関といった公的支援へつなぐ。

 

歓楽街の一角に気軽に立ち寄れる相談所を構える支援団体も少なくない。それでも、特に若い世代にとって相談所のドアを開けること自体のハードルは高いため、食事の提供やスマホの充電ができる環境を用意し、まずは気軽に足を運んでもらうことで職員やボランティアとの関係を築いている団体もある。

 

歌舞伎町にある夜間相談室(提供:NPO法人レスキュー・ハブ)

 

さらに、歓楽街のゴミ拾いをしたり、若者にアメニティグッズや食べ物を手渡したりするアウトリーチ活動でも若者との接点を生み出しているところもある。

 

筆者が参加したのも、まさにこの活動である。顔を覚えてもらい、「ご飯食べに来ない?」と声をかける。

 

同じく歓楽街で行われているアウトリーチ活動の様子(提供:NPO法人レスキュー・ハブ)

同じく歓楽街で行われているアウトリーチ活動の様子(提供:NPO法人レスキュー・ハブ)

 

こうして次第に関係性を築いていくことで相談へとつながることもある。

 

ある相談員は、顔を知った職員だからこそ、若者が打ち明けてくれるのだと振り返る。もともと食堂に通っていた少女は「妊娠した、これからどうすればいいかわからない」と打ち明け、その後職員のサポートを経て無事に母子寮で出産できたという。

 

若者を支援する道のりは、平坦ではない。 

 

歌舞伎町で女性の支援を行うNPO法人レスキュー・ハブ代表の坂本新さんは、明け方3時・4時に若者から連絡が入っても、必要と判断すればすぐに車で向かう。BONDプロジェクトの橘さんも「相談って、相談者が相談したいタイミングでいつでも頼れる存在でないといけない」と言い切る。

 

しかし、これほど支援者が手を尽くしても、そもそも若者とつながること自体が簡単ではない。福岡の歓楽街で若者支援を行うNPO法人あいむ代表の藤野荘子さんによると、アウトリーチで2,000人に出会って面談につながるのは250人。

 

2,000人すべてが支援を必要としているわけではないが、面談につながらなかった若者の中にも、支援者から見てリスクが高く、アプローチしても相談や面談に応じない人がいるという。

 

さらに、行政の支援につなげる際も難しさがある。大阪ミナミの歓楽街がある大阪市中央区保健福祉センター 保健福祉課(取材当時)の柴田大樹さんは明かす。
 

大阪市中央区保健福祉センター 保健福祉課(取材当時)の柴田大樹さん

柴田大樹(シバタ・ダイキ)
大阪市中央区役所保健福祉課長代理(当時)。入庁から20年以上行政の最前線で福祉業務に携わっており、生活困窮者支援の所管という立場で「グリ下」に集まる若者の支援に関わっている。また、若者支援の現状と課題などについて、現場の知見と政策法務の観点を融合させた論文を複数執筆しており、さまざまな領域への積極的な発信にも努めている。

 

「支援団体さんの支援した延べ人数でいうとすごい数字が挙がっている一方で、公的な支援を受けたいですって、我々につながってくる若者は、月1件未満というのが実態」

 

すべての当事者に行政対応が求められるわけではない。しかし、この数字は少ない。現場は奮闘しているにもかかわらず、なぜ支援につながりづらいのか。

支える仕組みを考えるために、相談員にスポットを当てる

歓楽街でハイリスクな状態にある若者に支援が届きづらいのは、当事者本人の意思や選択の問題ではない。

 

取材を進めると、そもそも自ら助けを求めることが難しい状態にある若者もいることが見えてきた。そのとき重要になるのが、支援につながる手前で関わる相談員の存在だ。

 

しかし、相談員は現場でさまざまな困難に直面している。

 

「支援を求めづらい当事者がいること」「違法・悪質な行為を行う側との力やスピードの差」「つながりの難しさ」「団体間の連携不足」「運営資金と人手の不足」「活動のリスク」「共依存のリスク」。

 

これはほんの一例だ。中小規模の支援団体が抱える課題は多い。

 

相談員を取り巻く構造的な困難が幾重にも重なれば、どれだけ懸命に動いても、支援の機能を十分に発揮できなくなる可能性がある。支援が回らなくなるだけではない。その状態は、冒頭のケースのように、時に支える側が加害の側に転じてしまうリスクさえはらんでいる。

 

本当に若者に必要な支援を届けることができるのか——。その問いは決して大げさではない。

 

そして、問われているのは、相談員が機能するための仕組みを整備できていない社会でもある。

 

構造的な困難があるからといって一部で起きた加害が許されるわけではない。だが、相談員が十分に機能できなくなれば、その先にいる若者に支援が届きづらくなり、困難がさらに深刻化する可能性もある。

 

だからこそ本特集では、相談員の視点から問題構造を解き明かし、「支える人を支える仕組み」の課題を見ていく。

各記事の紹介

ここまで見てきた現実の根っこには、大きく4つの構造がある。本特集では、その一つひとつを全8回にわたって解き明かしていく。

 

「歓楽街の若者支援」構造化マップ

※編集注:本特集ではこの後も日本駆け込み寺を相談支援団体として取材・参照していく。今回の件によってその活動の意義が失われたわけではなく、むしろ相談現場が抱えるリスクの大きさを示す出来事として位置づけている。

 

【1章 歓楽街の中にある、当事者の困難を深刻化させる構造】

 

<1回 なぜ居場所を失った若者は、歓楽街に惹きつけられるのか——匿名性と承認の引力

 

ここなら否定されない——。若者が歓楽街に集まる理由

 

過去をリセットできる「匿名性」、福祉にはない「性的・恋愛的な承認」——。歓楽街には、家庭や学校に居場所を失った若者を惹きつける引力がある。

 

「ここなら否定されない」。そう感じる若者が歓楽街に集まる構造を、相談員と元当事者の証言から解き明かす。

 

<2回 なぜ居場所を失った若者は、歓楽街に惹きつけられるのか——経済とSNSの引力>

 

「学歴も職歴も犯罪歴も関係ない」という経済的機能と、スマートフォン1台で誰でもたどり着けるSNSの導線——。歓楽街への門戸は、想像以上に広く開かれている。「有名人に会いに来る」感覚で気軽に足を踏み入れた若者が、気づけば困難な状況に陥ることもある。その構造を追う。

 

<3回 歓楽街に潜む闇が、若者の困難をさらに深める——搾取と自己破壊の「3つの罠」>

 

同調圧力、生きるための代償、悪質な色恋商売——。歓楽街の中には、すでに「種」を持っている若者が危険な行動に踏み出す壁を低くし、悪意を持った大人から搾取されやすい環境が存在している。一方で、その空間が当事者にとっては今も「自分の居場所」であり続ける場合もある。その複雑な構造を追う。

 

<4回 歓楽街に潜む闇が、若者の困難をさらに深める——すぐそばにある犯罪リスク>

 

歓楽街の中では、組織的な搾取が行われているケースがある。そして、それは女性だけの話ではない。若年男性は被害が見えづらく、犯罪に巻き込まれるリスクにもさらされている。見えにくいがゆえに深刻な、若年男性を取り巻く課題を追う。

 

【2章 当事者への支援を阻む構造】

 

<5回 つながりを阻む「3つの見えない壁」>

 

2,000人に出会い、面談につながるのは250人。支援者を信頼してよいのかわからない「認知の壁」、大人への不信感やトラウマから生まれる「心理の壁」、路上から消える若者を捕捉しづらい「物理の壁」。3つの見えない壁が、支援者と若者の間に立ちはだかっている。

 

<6回 相談業務の苦悩——つながり続けること、支え続けることの難しさ>

 

違法・悪質な仕事や人間関係が即座に提供するお金と承認の前では、支援は物理的に劣勢にならざるを得ない。支援者は関わろうとし続けているが、「この街の中での成功」を望む若者もいる。ゴールの違い、出口の欠如、そして共依存のリスク。相談員たちの葛藤を追う。

 

【3章 中小規模の支援団体が、相談支援を広げる・深めることが難しい構造】

 

<7回 支援者は今日も懸命に動いている——支援を広げる・深めることの難しさ>

 

「支援につながっている若者は氷山の一角かもしれない」——。東京や福岡の歓楽街で活動している中小規模の支援団体は、街の中にいる若者の状況をつかみきれない中でも、支援を続けている。一方で、団体同士の連携は簡単ではなく、若者が大人や行政に抱く不信感もつながりを阻む。支援を広げ、深めることを阻む構造を追う。

 

【4章 中小規模の支援団体が、安定的に活動を続けることが難しい構造】

 

<8回 中小規模の支援団体は、なぜ安定的に活動を続けにくいのか——運営を支える仕組みの課題>
 

資金と人材の不足、組織ガバナンスの難易度の高さ、そして行政の限界。最前線で若者と向き合う中小規模の支援団体は、不安定な運営環境に置かれている。共依存を防ぐルールを作りながら、それを実効性のあるものにするためのリソースをどう確保するのか。善意で動く支援者に「見過ごせ」とは言えない——。中小規模の支援団体を取り巻く課題と、支援者個人に負荷が集中することで組織的なリスクが生まれたケースに迫る。

 

【特別対談】「事件の後で」

 

<リディラバジャーナル編集長 安部敏樹 × 駆け込み寺・清水葵(元)代表>

 

「去年は死ぬかと思いましたね」。2025年に起きた事件から9ヶ月。事件後に組織を引き継いだ日本駆け込み寺・清水代表(取材時)に、リディラバジャーナル編集長の安部敏樹が聞く特別対談。距離感の管理、依存を生む構造、善意が罠になる組織の論理——。支援に構造的に潜むリスクと、「支援者が加害者になるとき」に向き合う。


脚注
※1:日本駆け込み寺公式サイト「勧告に係る措置状況報告書」(2026年2月25日)
※2:朝日新聞「『トー横』周辺の補導747人、5年で10倍 警視庁などが一斉対策」(2026年4月25日)

 

※以下の箇所に誤記が認められたため修正いたしました。

・2026年9月4日
SECTION1 本文

修正前:「このゴミどうぞ!きゃはは」と筆者にも話しかけてきたので記憶に刻まれていた。缶

修正後:「このゴミどうぞ!きゃはは」と筆者にも話しかけてきたので記憶に刻まれていた。

 



取材・執筆:伊藤真二
編集・文責:リディラバジャーナル編集部

リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
イシューから探す
×
CONTENTS
intro
歓楽街の中にある、当事者の困難を深刻化させる構造
no.
1