地域、学校、親族——。社会的つ
地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。
地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。
地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。
リディラバジャーナル構造化特集「若者の孤独孤立〜つながり無き自立の壁〜」。
第7回となる本記事では、自立につまづいた先の困難(4章)として、孤独孤立状態の若者が闇バイト等を通じて犯罪組織につながる背景を探る。
深刻な孤独孤立状態にある若者は、住居の確保や就労に困難を抱えることがあり、民間団体による支援や行政の制度にアクセスしづらい状況に置かれている。
そうした中で、自立につまづいた若者が半グレなどの集団につながり、特殊詐欺や強盗などの犯罪・闇バイトに手を出してしまうケースが相次いでいる。
「地元の悪いつながりや、ネット・SNSを経由して犯罪組織に近づく若者がいます。“そこにしか居場所がなかった”から所属するも、一度入ったら恐怖心から抜け出しにくいという構造があります」
そう話すのは、「闇バイト 凶悪化する若者のリアル」の著者であり、龍谷大学犯罪学研究センターで嘱託研究員を務める廣末登さんだ。
1970 年、福岡市生まれ。社会学者、博士(学術)。専門は犯罪社会学。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、久留米大学非常勤講師(社会病理学)、法務省・保護司。2001 年北九州市立大学法学部卒業、08 年同大学大学院社会システム研究科地域社会研究科博士後期課程修了。国会議員政策担当秘書、熊本大学イノベーション推進機構助教、福岡県更生保護就労支援事業所長等を経て、現職。裏社会の実態を科学的調査法に基づいた取材を重ね、一次情報をもとに解説する。著書に『ヤクザになる理由』『だからヤクザを辞められない』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに角川新書)、『闇バイト』(祥伝社新書)等がある。
自立につまづいた若者は、なぜ犯罪組織とつながる可能性があるのか。その背景にある要因とは何か。
廣末さんや民間団体の声をもとに、孤独孤立状態の若者が犯罪組織につながる背景を探る。
地域の悪いつながりに逆らえない。
地縁から犯罪組織につながる背景
近年、闇バイトに応募し、犯罪行為を行った若者が逮捕される事件が発生している。
昨年(22年)12月の広島での強盗殺人未遂事件や、今年(23年)4月~5月に表参道、上野、銀座で起きた強盗事件などは、いずれも闇バイトに応募した若者が実行犯として逮捕されている。
闇バイトとは、短時間で高額な報酬を受け取る代わりに、犯罪行為を代行するアルバイトのこと。応募すると、半グレといった犯罪組織の手先として、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯などを担わされる。
では、孤独孤立状態の若者が自立につまづいた際、どのようにして闇バイトや犯罪組織につながるのか。
法務省福岡県更生保護就労支援事業所長として、2018年から2019年に年間100人以上の保護観察対象者(少年を含む)や満期出所者と面談。2020年には実際に半グレとコンタクトをとり、犯罪傾向や構成員の特性を直接聴取したという廣末さんは、こう話す。
「あくまで私が当事者や保護観察官から聞いたことがベースになりますが、闇バイトや半グレにつながるパターンの一つには“悪い地縁”があると考えられます。友人や先輩から闇バイトを紹介される……といったケースですね。
特にどこにも居場所がない若者は、嫌だと言ったらそのコミュニティにいられなくなるため、逆らえない。不安や恐怖心からイエスと言わざるを得ないことがあります」
特殊詐欺のケースに限るが、警察庁が今年(23年)10月に発表した「特殊詐欺に犯行利用された番号種別件数の推移及び受け子等になった経緯について」の調査結果によれば、受け子等になった経緯を「知人等の紹介」と答えた割合は27.5%だった。
特に10代は同項目が「56.9%」と、全年齢層別で最も高い割合となっている。
貧困家庭の高校生にプログラム学習支援やキャリア支援を届ける平井大輝さん(NPO法人CLACK理事長)は、自身が経済的困窮により孤独孤立状態に陥った経験も踏まえ、犯罪組織に走ってしまう可能性をこう話す。
1995年、大阪府生まれ。中学時代に両親の自営業の倒産と離婚を経験し、経済的な困難に直面。国公立大学に進学し、困難を抱える中高生の学習支援のNPOで3年間活動したのちNPO法人CLACKを設立。シチズン・オブ・ザ・イヤー2021受賞。FORBES JAPAN 30 UNDER 30 2023受賞。
「頼れるつながりがなく、弱っているとき、お金に困っているときなどに、行政よりも“身近で優しく声をかけてくれた人”に頼ることは少なくありません。
ただし、声をかけてくれる人が必ずしもいい人ばかりとも限らない。高校時代、経済的に困窮していた僕の周りにも同じような境遇の若者がいましたが、中には犯罪行為に手を染めてしまう人もいました。
僕自身は勉強に集中したり、周りの人が止めてくれたので手は出しませんでしたが、自分を取り巻く環境が違っていたら何があってもおかしくなかった。特に孤独孤立状態で弱っているときは、正常な判断がしづらいとも思うので」
「簡単に稼げます」に惹かれて。ネット・SNSから犯罪組織につながる背景
孤独孤立状態の若者が闇バイトや犯罪組織につながるパターンには、もう一つある。
廣末さんは「X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSから闇バイトに応募する場合があります」と語る。
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