地域、学校、親族——。社会的つ
地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。
地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。
地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。
リディラバジャーナル構造化特集「若者の孤独孤立〜つながり無き自立の壁〜」。
第6回となる本記事では、自立への壁をつくるもの(3章)として、孤独孤立状態にある若者への支援現場の課題を整理する。
自治体や民間団体は、孤独孤立状態にある若者に「つながりたいけどつながれない」という難しさに直面している。
「一人で暮らしている孤独孤立状態の若者と、接点がほとんどないことに課題を感じています」(鎌倉市 健康福祉部 福祉総務課・内藤克子さん)
「『自分よりもっと困っている人がいるのではないか』と考え、制度や支援につながらない若者もいます」(認定NPO法人D×P理事・今井紀明さん)
今回は、困難を抱える若者への接点の少なさや、支援に頼りづらい若者の心理、民間団体の支援体制構築の難しさなど、若者の自立を支えるにあたっての課題を整理する。
若者との接点が少ない。
公的な相談窓口につながりづらい背景
孤独孤立状態にある若者に対して、公的支援の現場ではどのようなつながりづらさを感じているのか。
複合的な困りごとを抱える当事者の相談に専門機関と連携し対応する「くらしと福祉の相談窓口」の設置や、重層的支援体制整備事業、「地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」の推進などに取り組む鎌倉市の内藤克子さん(健康福祉部 福祉総務課)は、若者が相談窓口につながりにくい現状をこう話す。
コンサルタント会社勤務、市民活動団体の立ち上げを経験の後、2018年に鎌倉市入庁。鎌倉市共生共創部地域共生課担当課長を経て、現在、鎌倉市健康福祉部福祉総務課福祉政策担当。
「相談窓口では、あまり若者とつながれていない実感があります。特に一人暮らしの若者との接点が少ないことに課題を感じています。
ヤングケアラーの方、生活困窮に陥っている方、虐待を受けている方などで家族と一緒に住んでいる場合は、さまざまな機関を通じて比較的発見・支援がしやすいです。
しかし、家族との関係が希薄で世帯を離れ、一人で暮らす孤独孤立状態の若者については接点が少なく、こちらから発見・支援しにくいです」
また、内藤さんは「若者の年齢層を対象にした包括的な制度・相談窓口がないことも、支援につながりづらい要因としてあると思います」と語る。
「子どもや高齢者の場合は『18歳未満』『65歳以上』と、年齢を基準にして包括的な支援が提供されています。
しかし、その間にいる若者は『障害がある』『生活が苦しい』など、年齢ではなく困りごと別に支援が提供されます。
若者からすると条件が合って初めて対応してもらえる形になっていて、支援制度や窓口が限られている現状があります」
鎌倉市では、孤独孤立状態にある人を含め、地域住民が新たにつながる機会として「鎌倉版フォルケホイスコーレ事業 鎌倉FiKA」を実施している。(※)
※フォルケホイスコーレとは:デンマーク発祥の民衆による民衆のための成人教育機関で、人生の様々な場面で自分を見つめ直すための時間をすごせる場所とされています。学位や就労スキルの獲得は目的としておらず、「人生のための学校」などと称され、対話などを通じ、お互いの多様性を認める寛容さを育みながら、自分自身にじっくり向き合う機会を提供しています。(鎌倉市HPより)
※鎌倉版フォルケホイスコーレとは:それぞれのライフステージに応じ、何歳になっても学び、働き、成長でき、共に助け合い、繋がり合うことができる多様性のある共生社会をつくる基盤となる取り組み。対話や表現を通じて自分に出会う6日間のプログラム。(鎌倉市HPより)
(鎌倉市提供)
(鎌倉市提供)
(鎌倉市提供)
さまざまな人が参加している一方で、担当の鈴木翔太さん(鎌倉市 健康福祉部 福祉総務課)は孤独孤立状態にある若者とつながる難しさについてこう話す。
健康福祉部福祉総務課福祉政策担当。2016年に鎌倉市入庁。
「鎌倉FiKAは、こちらで場所・企画を用意し、興味を持っていただいた方が参加を申し込む形になっています。
これは若年層に限らないとも思いますが、なかには『参加する=自分は孤独である』と自らをラベリングし、申し込みという第一歩を踏み出せない方がいるのではないかと考えています。
アウトリーチにはない良さを持つ事業ですが、こうした方といかにつながるかは、広報を含め運営する中で非常に難しさを感じています」
「要支援と気づけない」「相談しても無駄」。
孤独孤立状態にある若者の心理
若者が支援につながりづらい背景には、若者自身が「自分には支援が必要だ」と気づく難しさもある。
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