• 新しいお知らせ
    ×
構造化特集
若者の孤独孤立 第6回
公開日: 2023/11/2(木)

つながりたいけど、つながれない。孤独孤立状態の若者を支える支援現場の課題

公開日: 2023/11/2(木)
構造化特集
若者の孤独孤立 第6回
公開日: 2023/11/2(木)

つながりたいけど、つながれない。孤独孤立状態の若者を支える支援現場の課題

公開日: 2023/11/2(木)
構造化の視点

地域、学校、親族——。社会的つ

・・・もっと見る

地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。

地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。

地域、学校、親族——。社会的つながりが希薄で、信頼できる人や安心できる場所が少ない若者は、自立することの壁の高さに苦しんでいる。特に“家族に頼れない”若者の困難は深刻化しやすい現状がある。若者たちが孤独孤立状態に陥る背景と、若者たちが自立に困難を抱える構造を明らかにする。


オーディオブック(ベータ版)

リディラバジャーナル構造化特集「若者の孤独孤立〜つながり無き自立の壁〜」。

 

第6回となる本記事では、自立への壁をつくるもの(3章)として、孤独孤立状態にある若者への支援現場の課題を整理する。

 

 

自治体や民間団体は、孤独孤立状態にある若者に「つながりたいけどつながれない」という難しさに直面している。

 

一人で暮らしている孤独孤立状態の若者と、接点がほとんどないことに課題を感じています」(鎌倉市 健康福祉部 福祉総務課・内藤克子さん)

 

『自分よりもっと困っている人がいるのではないか』と考え、制度や支援につながらない若者もいます」(認定NPO法人D×P理事・今井紀明さん)

 

今回は、困難を抱える若者への接点の少なさや、支援に頼りづらい若者の心理、民間団体の支援体制構築の難しさなど、若者の自立を支えるにあたっての課題を整理する。

若者との接点が少ない。
公的な相談窓口につながりづらい背景

孤独孤立状態にある若者に対して、公的支援の現場ではどのようなつながりづらさを感じているのか。

 

複合的な困りごとを抱える当事者の相談に専門機関と連携し対応する「くらしと福祉の相談窓口」の設置や、重層的支援体制整備事業、「地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」の推進などに取り組む鎌倉市の内藤克子さん(健康福祉部 福祉総務課)は、若者が相談窓口につながりにくい現状をこう話す。


内藤克子(ないとう・よしこ)
コンサルタント会社勤務、市民活動団体の立ち上げを経験の後、2018年に鎌倉市入庁。鎌倉市共生共創部地域共生課担当課長を経て、現在、鎌倉市健康福祉部福祉総務課福祉政策担当。

 

「相談窓口では、あまり若者とつながれていない実感があります。特に一人暮らしの若者との接点が少ないことに課題を感じています。

 

ヤングケアラーの方、生活困窮に陥っている方、虐待を受けている方などで家族と一緒に住んでいる場合は、さまざまな機関を通じて比較的発見・支援がしやすいです。

 

しかし、家族との関係が希薄で世帯を離れ、一人で暮らす孤独孤立状態の若者については接点が少なく、こちらから発見・支援しにくいです

 

また、内藤さんは「若者の年齢層を対象にした包括的な制度・相談窓口がないことも、支援につながりづらい要因としてあると思います」と語る。

 

「子どもや高齢者の場合は『18歳未満』『65歳以上』と、年齢を基準にして包括的な支援が提供されています。

 

しかし、その間にいる若者は『障害がある』『生活が苦しい』など、年齢ではなく困りごと別に支援が提供されます。

 

若者からすると条件が合って初めて対応してもらえる形になっていて、支援制度や窓口が限られている現状があります

 

鎌倉市では、孤独孤立状態にある人を含め、地域住民が新たにつながる機会として「鎌倉版フォルケホイスコーレ事業 鎌倉FiKA」を実施している。(

 

※フォルケホイスコーレとは:デンマーク発祥の民衆による民衆のための成人教育機関で、人生の様々な場面で自分を見つめ直すための時間をすごせる場所とされています。学位や就労スキルの獲得は目的としておらず、「人生のための学校」などと称され、対話などを通じ、お互いの多様性を認める寛容さを育みながら、自分自身にじっくり向き合う機会を提供しています。(鎌倉市HPより)

 

※鎌倉版フォルケホイスコーレとは:それぞれのライフステージに応じ、何歳になっても学び、働き、成長でき、共に助け合い、繋がり合うことができる多様性のある共生社会をつくる基盤となる取り組み。対話や表現を通じて自分に出会う6日間のプログラム。(鎌倉市HPより)

 

(鎌倉市提供)
 

(鎌倉市提供)

 

(鎌倉市提供)

 

さまざまな人が参加している一方で、担当の鈴木翔太さん(鎌倉市 健康福祉部 福祉総務課)は孤独孤立状態にある若者とつながる難しさについてこう話す。

鈴木翔太(すずき・しょうた)
健康福祉部福祉総務課福祉政策担当。2016年に鎌倉市入庁。

 

「鎌倉FiKAは、こちらで場所・企画を用意し、興味を持っていただいた方が参加を申し込む形になっています。

 

これは若年層に限らないとも思いますが、なかには『参加する=自分は孤独である』と自らをラベリングし、申し込みという第一歩を踏み出せない方がいるのではないかと考えています

 

アウトリーチにはない良さを持つ事業ですが、こうした方といかにつながるかは、広報を含め運営する中で非常に難しさを感じています」

「要支援と気づけない」「相談しても無駄」。
孤独孤立状態にある若者の心理

若者が支援につながりづらい背景には、若者自身が「自分には支援が必要だ」と気づく難しさもある。

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
note
リディラバジャーナル編集部
noteのicon
【強迫症啓発週間】発達障害支援に欠けた「学校・家庭・福祉をつなぐ"あいだ"の存在」
2024年10月18日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「東大だと結婚が難しくなるから、慶應にしておけば」国際ガールズ・デーに読みたい、女子にかけられている呪い
2024年10月11日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
東京・埼玉で相次いだ闇バイトによる強盗。指示役に脅されていた若者も?
2024年10月4日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「選択的夫婦別姓制度」が総裁選の焦点に?日本の姓の歴史の背景をひもとく
2024年9月17日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
新しい認知症観とは?“常識”を捨て、認知症の人に「寄り添う」ことが、その人らしさの尊重に繋がる
2024年9月6日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「9月1日」を乗り越えた子どものその後は?SOSを聞き逃さず、切れ目のない支援を
2024年8月30日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
子どもは「安心して学校を休む権利」をもっている。夏休み明けの子どもの自殺防止に役立つチェックリストも
2024年8月23日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「食品ロス」が「日本の食料自給率」を救う?2つの社会課題を解決へ導く循環型システム
2024年8月9日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「パパは寝てる」Tシャツの裏で、男性の育休取得率は過去最高に。新旧の価値観がぶつかり合う転換期
2024年8月2日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
起業家が受ける不当な圧力・セクハラ。背景にあるものは?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年7月26日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「障害者が子どもを産むな」ひとつでもできないことがあれば子どもをもってはいけないのか?
2024年7月19日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
芸術祭なのに、米作りに雪かき?「大地の芸術祭」が挑む地域づくりとは
2024年7月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
「夏休みに特別な体験をさせられない」子どもの体験格差は、学ぶ意欲や将来の可能性にまで影響を及ぼす?
2024年7月8日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
メディアが作り出した? 生活保護費引き下げにつながった世論
2024年7月1日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
在日クルド人に対するSNSでのヘイトスピーチ。書き込みへの法的措置の意義とは?
2024年6月21日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
輪島・珠洲の断水解消も、水道は使えない。復興を左右するのは世間の関心の深さ
2024年5月31日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
少しずつ可視化されてきた「恋愛的にも性的にも惹かれない」人たち。アロマンティック・アセクシュアルとは?
2024年5月24日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
喜べない教員の給与増。残業が残業だと認められない給特法とは?
2024年5月17日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
勤務時間15分減で退職金ゼロ?非正規の人の労働条件を改善するための制度のはずが…
2024年5月14日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
性犯罪の被害者の約半数が子ども。わが子をグルーミングから守るには?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年5月7日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
動物の虐待摘発過去最多。「保護犬・保護猫」前進の裏で生まれる課題
2024年4月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
スクールカウンセラー約250人が雇い止め。子どもの心の健康を支える専門職なのに任期は1年?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2024年4月4日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
依存症の人に必要なのは「反省や刑罰」ではなく「治療と仲間」
2024年3月29日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「同性婚を認めないのは違憲」互いの違いを尊重できる成熟した社会へ
2024年3月18日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
能登半島地震、深刻なボランティア受け入れ態勢不足が課題
2024年3月8日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
×
CONTENTS
intro
つながり無き若者たち
no.
1
no.
2
立ちはだかる自立への壁
no.
3
no.
4
若者の孤独孤立〜つながり無き自立の壁〜
no.
5
no.
6
自立につまづいた先の困難
no.
7