歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園—&m
歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。
歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。
リディラバジャーナル構造化特集「歓楽街の若者支援〜奮闘する現場と、支援を阻む構造〜」
第7回となる本記事では、第3章「中小規模の支援団体が、相談支援を深める・広めることが難しい構造」として、母数の不可視、団体間の連携、制度の壁という3つの要因から、現場の熱量だけでは越えられない構造を明らかにする。

「歌舞伎町全体の若者の状況というデータはない。支援につながっている若者は氷山の一角かもしれない」——東京都が運営する若者相談「きみまも@歌舞伎町」の村田陽次さん(取材当時)は、定量的な把握の難しさを語る。
各団体が夜の街で若者への支援を続けている。東京都は20近くの団体と意見交換会を開催し、大阪市は警察やNPO、商店会といった関係各所と「グリ下会議」を開催するなど、官民の連携も進みつつある。しかし地域によっては、支援の「点」はあっても、点と点を結ぶ「線」が十分につながっていないところもある。
今回は歌舞伎町と福岡・警固公園を中心に、相談員や行政担当者へのインタビューを通じて、中小規模の支援団体が築く支援の「線」とその課題を追う。
困難を抱える若者は、どこに、どれくらいいるのか——定量的把握の難しさ
歓楽街の中で困難を抱える若者を支援しようとする時、まず立ちはだかるのが「どこに、どれくらいいるのかわからない」という現実だ。
東京都が運営する居場所型の若者相談「きみまも@歌舞伎町」で現場対応と制度設計を行う東京都 都民安全課の村田陽次さんは、歌舞伎町の状況についてこう語る。
東京都 都民安全総合対策本部 都民安全課 統括課長代理。「トー横」の若者向け相談窓口「きみまも@歌舞伎町」の企画・運営を担当する一方、外国人や若者にも伝わりやすい「やさしい日本語」(難しい言葉を減らし、一文一メッセージで書く工夫など)を使った行政情報の発信にも取り組み、誰もが分かりやすく頼れる都政を目指している。
※所属・役職(肩書)は取材当時のものです
「きみまもの利用者についてのデータはありますけれども、それが歌舞伎町全体を反映しているのか、他地域と俯瞰して比較できるのかというと、そうしたデータを総合的に持っている機関は、我々も含めてないというのが現状です」

「きみまも@歌舞伎町」の利用者のうち住所を都外に持つ人は48.7%にも上る。村田さんが言うように、それが歌舞伎町全体を反映しているとは言えないが、若者はエリアをまたいで流入し、さらに「歓楽街にいる若者の数」と「困難を抱える若者の数」も別物だ。
高齢者や障害者支援であれば、対象人口の統計から必要な支援量をある程度推定できるが、移動をし、見た目では判断が難しいとなれば、母数を把握することは容易ではない。
「見えない」のは現場だけではない。東京都で若年女性の支援を行う団体への補助金交付を担当する東京都福祉局女性福祉担当の白石哲夫さん(取材当時)も次のように話す。

東京都福祉局子供・子育て支援部育成支援課 課長代理(女性福祉担当)
※所属・役職(肩書)は取材当時のものです
「全体像を完全に把握するということ自体は不可能だと思います。この事業の出発点としても数字ありきの形での実施ではありませんでした。何人いるから救うということではなく、困っている人を支援する仕組みをまず作るという方針が前提に立っているんです」
東京都若年被害女性等支援事業の補助金交付では、補助を申請する各団体が、事業計画書に年間の支援対象見込み数を記載する仕組みになっている。
一方で、そもそもの母数が把握できないため、「全体の何%に支援を届ける」といった形で目標を置くことは難しい。母数が見えない中で、各団体は自分たちが届いている範囲で支援を積み重ねている。
団体同士を結ぶ「線」は、なぜ十分につながらないのか——団体間連携の難しさ
全体像が見えないだけではない。各団体が同じ方向を向いていても、横のつながりが自然に生まれるわけではない。早稲田大学の小西教授は、団体間の協力の必要性をこう語る。

早稲田大学法学学術院教授。専門は刑事政策学・少年法・犯罪者処遇法。東京都青少年問題協議会委員などを歴任し、「トー横」「グリ下」に象徴される繁華街に集まる若者の問題を法学・政策学の視点から研究。各地で講演を行い、現場と政策をつなぐ発信を続けている。編著に『日本の矯正・保護を動かす「外の力」とは』など。
「当事者が抱えている課題もいろいろなんですよね。本当に多種多様な要因があるので、1つのところだけで何ができるかって、限界があります。だからこそ、支援団体もいろんな色があっていいと思うし、子どもたちが犯罪被害に遭うことなく自分の道を歩めるようにっていう共通目標の中で、支援団体同士の協力っていうものが大事だと思うんです」
ただ、中小規模の支援団体の中には、他団体との連携に人手や時間を割く余力を持てないところもある。今回の取材では、支援現場から「限られた人員や資金の中、ボランティアを中心に、本業と両立しながら活動を続けている団体もある」という声が聞かれた。
リソースの問題は大きい。東京でも、組織化や他団体との連携に十分なリソースを割けないという声があった(詳しくは第8回「運営の課題」参照)。
各地に支援団体は存在していても、互いの活動が十分に見えていないことがある。各団体はそれぞれの現場で支援を行っているが、地域によっては、その点と点を結ぶ線をつくるための余力が十分にない。
こうした状況の中、団体同士の線をつなごうとする動きも始まっている。2026年には、全国の若者支援団体をつなぐ「若者支援全国ネットワーク協議会」が一般社団法人として設立された。交流や学び合いなどを通じて、つながりを深める試みも少しずつ始まっている。
「取り合い」と不祥事の影響
団体間の連携をめぐって、東京都福祉局女性福祉担当の白石さんは、補助金額が支援対象者の増加に合わせて増える仕組みではないことから、都として「支援対象者の取り合い」が発生しているという認識はないと話す。
ただ、ある地域の支援現場からは、支援の「実績」を意識する中で、団体間で若者を取り合うような状況が生じることもある、という声が聞かれた。

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