歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園—&m
歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。

歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。
歌舞伎町、大阪ミナミ、福岡・警固公園——。全国の歓楽街には、遊びや仕事を目的に訪れる人だけでなく、家庭や学校に居場所を失った若者も集まっている。歓楽街を訪れる若者すべてが危険な状態にあるわけではないが、中には性的搾取、オーバードーズや自傷、闇バイトなど、心身の危険や犯罪と隣り合わせの日常を送る人も少なくない。困難を抱える若者と向き合うため、相談員たちは日々現場に立ち続けているが、そこには支援を阻む構造的な困難が存在している。相談員視点からの構造的な問題を明らかにし、「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。
リディラバジャーナル構造化特集「歓楽街の若者支援〜奮闘する現場と、支援を阻む構造〜」
第8回となる本記事では、第4章「中小規模の支援団体が、安定的に活動を続けることが難しい構造」として、組織運営の実態と「支える人を支える仕組み」の必要性を問う。

「お恥ずかしい話ですけど、僕の口座はもう本当に残高が100万切ってる状態になっちゃったんです」。歌舞伎町で若者支援を行うレスキュー・ハブ代表の坂本さんは、自身の経済状況を明かす。

「私が常勤なんですけど、他に常勤の職員を雇ったことがない。雇用が安定しないので、その中で覚悟を持ってやってっていうのも、ちょっと無理な話ではあって」。福岡の「警固公園」で若者支援を行うNPO法人あいむ代表の藤野さんも、団体運営の厳しさを語る。

資金不足、人材不足。中小規模の民間支援団体の中には、限られた資源の中で活動を続けているところがある。行政側にも、予算や人員の制約がある。
今回は、相談員や行政担当者へのインタビューを通じて、善意と覚悟だけに頼らず、支援を安定して続けるために何が必要なのかを明らかにする。
資金難の現実——支援を継続させていくためには
歌舞伎町で女性の支援を行うNPO法人レスキュー・ハブ代表の坂本新さんは、団体の経済状況を率直に明かす。

NPO法人レスキュー・ハブ代表。大手警備会社に約20年勤務し、日本大使館警備などで海外に約10年駐在。人身取引被害者支援のNPOを経て2020年に同法人を設立。歌舞伎町で夜回りを続け、性風俗に携わる女性や性的搾取・暴力被害者に寄り添い、公的機関や支援団体につなぐ活動をしている。
「お恥ずかしい話ですけど、僕の口座はもう本当に残高が100万切ってる状態になっちゃったんです(取材時)。東京都の補助金を受けてるんですけど、立て替え払いや補助金対象外の出費などで未払金が約700万円。警備会社で働いてた時代の貯金を切り崩しながら、なんとかやってます」
坂本さんが利用している東京都の補助制度では、交付決定額の7割を上限に概算払いを受けることができる。残額は、事業終了後の実績報告の審査等を経て補助額が確定した後に精算される仕組みだ。
ただ、補助金ですべての活動費を賄えるわけではない。レスキュー・ハブによると、都外での支援や緊急対応など、補助対象にならない活動・費用もあり、自己資金で補うことがあるという。
東京の歓楽街で女性支援を行うNPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんも、懐事情をこう明かす。

NPO法人BONDプロジェクト代表、ルポライター。2006年に雑誌『VOICES』を創刊。2009年、10代・20代の生きづらさを抱える女の子を支える同法人を設立。虐待や貧困などの困難を抱える少女のため、全国の歓楽街を回りパトロールや保護を行う「動く相談窓口」として活動。著書に『漂流少女』等がある。
「公的助成の有無にかかわらず、お金は常に足りない。“助成金を取ってもそれに当てはまらない、でも必要”な支援みたいなのもあるし」
現在、行政補助を受けていない公益社団法人日本駆け込み寺も、団体のウェブサイトで「家賃サポート会員募集」を呼びかけている。
資金の問題は、雇用にも影響する。福岡の歓楽街にある「警固公園」で若者支援を行うNPO法人あいむ代表の藤野荘子さんは、その現実を率直に語る。

NPO法人あいむ代表理事。福岡市出身。金融系企業でエンジニアとして勤務した後、2019年に不登校児や発達障害のある子どものための「居場所型家庭教師」団体あいむを設立。2022年からは天神・警固公園での夜回りアウトリーチも行い、若者に寄り添いながら居場所づくりに取り組む。2025年12月には久留米でも活動を行う。
「私が常勤なんですけど、他に常勤の職員を雇ったことがない。今は半年~1年更新の非常勤を雇ってる感じです。雇用が安定しないので、その中で覚悟を持ってやってっていうのも、ちょっと無理な話ではあって。そこはこっちも踏み込めず、雇われる側もそこまではできないっていう感じになってますね」
「資金がないならボランティアで回せばいい」という単純な話ではない。そう橘さんは言う。
「ボランティアは無理ですよ。相談って、相談者が相談したいタイミングでいつでも頼れる存在でないといけない。ちゃんと受けられる状態を作るには、有給にするしかない。謝金を払うということは、責任を持ってもらうということなので」
いつ来るかわからないSOSに継続的に応えるためには、責任を持って相談対応を担える人材が必要になる。しかし、中小規模の支援団体にとって、その人件費を安定して捻出することは容易ではない。
行政側も、団体の苦境を把握していないわけではない。東京都で若年女性の支援を行う団体への補助金交付を担当する東京都福祉局女性福祉担当の白石哲夫さん(取材当時)はこう語る。

東京都福祉局子供・子育て支援部育成支援課 課長代理(女性福祉担当)
※所属・役職(肩書)は取材当時のものです
「各団体の財政状況は把握しています。都の補助基準額は他県と比べて決して少なくないという認識ですが、その上で予算を大幅に超えるというのは、もともと国の事業ということもあって難しい」
東京都の補助制度には一定の範囲があり、それを超える支出まで補えるわけではない。その中で、自己資金も使いながら必要な活動を続けている団体がある。
拡大したくても拡大できない——育成・組織化・代表依存のジレンマ
BONDプロジェクト代表の橘さんは、支援を続けるために必要なものを挙げる。
「1人の支援に時間がかかるんですよ。だから継続して関わり続けられないといけない。そのためには時間も、体力も、財力も、居場所の確保も必要。相談を増やすには、スタッフを増やすしかないんですよ。それにスタッフの育成、これがすごい大事」
あいむ代表の藤野さんは、支援スタッフの育成の難しさを語る。
「お金が入ったとしても、だから人を雇える、だからうまくいくっていう感じではない。私みたいな人は金太郎飴的には作れない。組織を大きくするのであればどこまでのクオリティを担保して、どこまでは許容するのかみたいなとこがやっぱり課題ですね」
今回取材した団体では、相談員の育成をマニュアルだけで完結させることの難しさも語られた。橘さんも「質の担保」と「組織の拡大」について次のように明かす。
「育成にかけていいお金があったらありがたい。今はお金もないし余裕もないから、研修でいろんなとこ見に行くといっても、行ける人が限られてしまう。いろんな人と出会って話を聞いて、支援者としての自分と向き合うことは必要だけどなかなかできてないんですよ」
日本駆け込み寺代表(取材当時)の清水葵さんは、相談員の育成について次のように説明する。
公益社団法人日本駆け込み寺元代表。1999年京都府生まれ、龍谷大学卒。保育園運営会社を経て2023年に入職し、2025年4月、26歳で創設者・玄秀盛と共同代表に就任。歌舞伎町を拠点に、DVや引きこもりなど、あらゆる相談に向き合う「駆け込み寺」を率いる。
※所属・役職(肩書)は取材当時のものです
「相談業務のマニュアルっていうのは用意してなくて、相談にマニュアルはないっていうのがうちのやり方です。やっぱり何回も何回も場数を踏んで、一人ひとりの相談を聞いていくことが自分の経験値になる。いろんな人を見ていかないと、自分の相談スタイルっていうのが確立されない」
さらに清水さんは、相談員の選抜についても厳しい基準を設けていると語る。

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