女性管理職の取組から学ぶ、課題解決のヒント。なぜ少ない?学校教育現場の女性管理職(後編)
女性管理職の取組から学ぶ、課題解決のヒント。なぜ少ない?学校教育現場の女性管理職(後編)
特集「なぜ少ない?学校教育現場の女性管理職」。前編ではワークライフバランスにおける課題を、中編ではキャリア形成における課題を見てきた。
では、実際に学校教育現場で活躍する女性管理職は、どのような働き方をしているのか。さまざまな課題にどのように向き合ってきたのか。
後編では、管理職として働く女性3名へのインタビューを通して、働き方の実態や課題解決のヒントを見ていく。
※本記事は文科省からの委託事業の一環で制作しており、無料で公開しています。
ビジネススキルを磨き、管理職の業務を効率化。「多忙」に対する取組
前編で管理職の忙しさという課題について触れたが、さまざまな業務の“効率化”に取り組むことで解決を目指したのが、石川県能美市教育委員会の学校支援課で働く亀田香利さんだ。
亀田さんは、石川県教育委員会や川北町教育委員会の指導主事を務めていたときに、教頭の業務の削減と効率化が、どうしたらできるかを考え取り組んだ。
石川県で教員採用後、公立小中学校教諭、石川県教育委員会小松教育事務所指導主事、川北町教育委員会学校教育課 課長補佐兼指導主事、課参事、公立小中学校教頭を務め、現在は能美市教育委員会 学校支援課 担当課長。
「まず、管理職が常に忙しいという状況を変えたいと思いました。
『教頭は土日のどちらかは学校で働くのが当たり前』と言われるような業務量があることや、多忙だから女性が管理職になるのは難しいということを、当たり前のこととして受け入れたくなかったんです。そんな思い込みは変えたい、そんな仕組みは変えられると。
休日は、当然自分の時間です。休みたければ休めて、学びたいときに外に出て学べる、リフレッシュして月曜を迎えられる。そんな持続可能な働き方にしないと、誰も管理職を目指さないだろうと感じました」
亀田さんが特に力を入れたのは、これまでのやり方や当たり前を疑うことと、ビジネススキルやデジタルスキルの向上だった。
「たとえば、教育委員会から学校へ国や県からの通知を送る際に、学校がいつまでに、何をすればいいのか、要点が伝わりにくい内容になっていたり、不必要なデータが添付されていたりすることがよくあり、現場に負荷がかかっていました。
そこで、管理職へのメールは、1メール1案件、タイトルからメールの内容や締切日が一目でわかるよう表記をルール化したり、メール本文をなるべく簡潔に、改行を効果的に入れて読みやすくしたり、スクロールせずに要点がわかるよう工夫しました。要はUIを改善したということですね。添付データも学校対象分に精選して送りました。
一見ささいなことかもしれませんが、これらの積み重ねは大きいです。相手に分かりやすく、無駄な負担を減らすことで、質問やミスも減り、お互いが気持ちよく仕事ができる。全体としてやり取りの手間や多くの時間を削減できるようになります。ビジネススキルやデジタルスキルを磨いていくことは、教育委員会事務局職員や管理職にとても重要だと思います」
亀田さんはこうしたスキル向上に向けた取組を、どのように現場に広めていったのだろうか。
「長年の慣習を急に変えるのは困難ですから、最初は自分自身でいろんなことを工夫してみました。そして、その良さを相手に体感してもらい共有するようにしました。今のクラウド活用もその一つです。
そうやって良さや目に見える成果を共有しながら、『こんなふうにちょっとした工夫で、こんなにも時間の余裕を生み出せます。その時間をもっと大事な業務に使ったり、自分のためのリフレッシュに使えたりするので、みなさん一緒に取り組んでみましょう』と提案し、徐々に広まっていると感じています」
小さくとも重要なビジネススキル、デジタルスキルを少しずつ磨き、その良さや成果を広く共有することで、管理職の業務効率化につながっていると亀田さんは話す。
チャレンジしやすいオープンな校長室を。「意欲」を伸ばす取組
中編で、管理職に必要なスキル・意欲を培う機会や、ロールモデルの存在が不足している現場では、女性教員がキャリア面において管理職に魅力を感じられなかったり、「自分には力量が足りない」という心理的な不安を抱えやすかったりする可能性があると触れた。
このような課題の解決につながる一つの取組が、富山県富山市立呉羽小学校校長の深井美和さんが行う「チャレンジしやすく相談しやすいオープンな校長室」だ。
富山大学教育学部卒業後、小学校教員採用。学年主任などを経験後、富山市教育委員会 東部教育事務所主幹指導主事を務め、現在は富山市立呉羽小学校校長。
「まず、ふだんから教員間で『何に取り組みたいか』や『どんな考えを持っているか』を共有することが重要だと考えています。そのためには、立場に関係なく、誰でも意見を言いやすい雰囲気をつくることが大切です。
たとえば、私と教員がいつでも話し合えるように、会議や電話以外の時間は校長室のドアをいつも開けっぱなしにしています。
校長と話すこと、相談することのハードルをできる限り低くして、『ちょっとお時間いいですか』『これをやってみようと思うんですけど』という声を上げやすい環境を整えています。
キャリアに関しても、教員と一緒に『こうなったらいいよね』という小さな目標や夢を日々共有するようにしています」
深井さんは、校長室だけでなく、職員室など校内のさまざまな場所で教員に積極的に声をかけている。
「『今日の授業すごい良かったね』『子どもたちのあの活動おもしろそうだね』と、さまざまなことに対して『いいね!』と声をかけています。
そうすることで、教員たちも話しやすくなり、校長室で相談したり、これからやりたいことを話に来たりするようになってくれるんです」
このようなオープンで相談しやすい環境があることは、女性教員が管理職のキャリアを考える上で、その意欲を伸ばす重要な要素となっている。
「たとえば、私が『管理職に挑戦してほしいな』と思っていた教務主任の女性教員が、育児が忙しくて大変そうなときがありました。
そのときに『“今日は17時に帰る”と時間を決めて働いてみたらどうか』『特に重点をおきたい仕事を決めてみたらどうか』と話し合ったんです。『もちろん一人で抱え込まないで、分担してこう。教頭や校長がフォローするから。そのためにいるんだから』と。
そう伝えたところ、彼女は新しい働き方に取り組み、周りも彼女の状況を理解してくれるようになったんです。彼女自身も『声をかけてもらったおかげでモチベーションが上がりました』と話してくれました。
このような例をさらに広げていくことが、女性管理職の増加につながると思っています」
「完璧ではないことを見せたい」。固定化されたイメージの脱却へ
亀田さん、深井さんの働き方や環境改善に向けた取組のほかにも、「管理職のイメージを変える」というアプローチもある。
中編で「管理職は女性より男性が向いている」という固定化されたイメージがあると触れた。この課題に関して、室蘭市立本室蘭中学校教頭の坂本文恵さんはこう語る。
北海道で教員採用後、室蘭市立本室蘭中学校で学年主任、教務主任を務め、室蘭市立星蘭中学校で教頭採用となったのち、現在は本室蘭中学校で教頭を務める。
「キャリア形成やワークライフバランスに関する問題は根深く存在していますが、その一方で『女性には管理職は難しい』というイメージが過剰に定着してしまっている側面もあると感じています。
『管理職は大変で忙しいから、完璧でないと務まらない』『仕事と家庭を完璧に両立できる”鉄の女”のような女性でないと務まらない』といったイメージが、管理職への挑戦をためらわせていることもあると思うんです。
しかし実際には、少なくとも私自身は全く完璧ではありません。経験やノウハウも不足していると思っています。周りの人や家族の支えや、自分のダメなところを補ってもらいながら、なんとか職務をこなしています」
坂本さんは「私のように、完璧でなくても管理職を務められることを見せるのも重要なのかなと思います」と続ける。
「“完璧ではない”管理職のロールモデルになりたいと思っているんです。
管理職として必要なのは、教員たちが最大限に力を発揮できるような環境を整え、良い流れを生み出すためのほんの小さなきっかけをつくること。それを自分ができる範囲でやっていこうと。
まず私自身が無理をせず、正直であることを心がけていて、他人にも完璧さを求めないようにしています。私でも管理職が務まること、楽しく働けるということを、ありのまま周りに示していきたいですね」
ここまでのインタビューを通じて、管理職として働く女性たちがどのように課題に取り組んできたのかを見た。
前編・中編で述べたように、学校教育現場の女性管理職を増やしていく際には、キャリア形成やワークライフバランスにおいてさまざまな課題がある。
一方で、課題解決につながり得る現場の取組もある。後編では、働き方や環境改善に向けた取組や、固定化されたイメージからの脱却など、そうした取組の一部を紹介した。
リディラバジャーナルでは、本特集のほかにも学校現場や女性に関わる課題についてさまざまな特集を行っている。ぜひ合わせて読んでみてほしい。
・構造化特集「教員の多忙化」
・身近にあるジェンダーの問題を考える――「わきまえる」の背景にあるもの【前編】
女性管理職比率の向上へ。学校現場での具体的な取組とは?
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