• 新しいお知らせ
    ×
公開日: 2023/5/26(金)

未来へのシカケ/Case1. 若者支援「アトオシ・オンライン」(前編)

公開日: 2023/5/26(金)
公開日: 2023/5/26(金)

未来へのシカケ/Case1. 若者支援「アトオシ・オンライン」(前編)

公開日: 2023/5/26(金)
オーディオブック(ベータ版)

リディラバジャーナル新連載「未来へのシカケ」


この連載では、社会課題への深い洞察に基づく、課題解決に向けた取り組みを紹介する。

 

第1回となる今回のテーマは若者支援。認定NPO法人育て上げネットが展開する「アトオシ・オンライン」を紹介しながら、若者が置かれた現状を詳説していく。

 

(出典:アトオシ・オンラインHP

 

2004年の法人設立から約20年。
若者支援を続けてきた育て上げネットが、コロナ禍を契機にスタートさせたのが「アトオシ・オンライン」だ。

 

本事業は、グローバルな金融機関であるシティグループが進める慈善活動「パスウェイ・トゥ・プログレス」の一環として展開されており、完全オンライン型で支援を提供しているのが大きな特徴となる。

 

そもそもなぜ、若者に支援が必要なのか。
完全オンラインでの支援に取り組む中で、見えてきた課題と未来への可能性とは何か。

 

日本における若者支援の歴史も紐解きながら解説する。

空白を埋めた「若者」。
こども家庭庁への危機感

アトオシ・オンラインの取り組み紹介に入る前に、まずは日本における若者支援の歴史を見たい。

 

戦後日本社会の福祉の変遷。空いていた年齢層が「若者」に?
こども家庭庁の設立。「若者」が抜け落ちる危機感?

 

育て上げネット理事長の工藤啓さんの言葉には、実践者ならではの知見や見通しがあった。
 

工藤 啓(くどう・けい)
2001年若年就労支援を専門とする任意団体「育て上げネット」設立、2004年NPO法人化。 著書に『NPOで働く- 社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる――“はたらく”につまずく若者たち』(エンターブレイン)など。金沢工業大学客員教授。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員 、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。ブログ:https://note.com/kudokei

 

「日本社会における第二次世界大戦後の福祉の歴史を振り返ると、最初に福祉の対象となったのは、傷痍軍人や戦争寡婦、戦争孤児といった人たちでした。その後、福祉の対象は障害者や高齢者に拡大していき、2003年になって初めて「若者」という言葉で、国が政策的に関与することになりました

 

今、政策として「若者」の対象となるのは、おおむね15歳から39歳の人たちですが、この年齢と「若者」のイメージが一致するかというと、必ずしもそうではないと思います。

 

15歳から39歳という年齢は、社会における若者のイメージから規定されたものではありません。すでに高齢者などが福祉の対象となる中で、「空いていた年齢層」を若者という言葉で取り込んだものと認識しています」

 

現在はおおむね15歳から39歳が「若者」となっているが、2003年当初は34歳までが「若者」だったという。なぜ若者の年齢が「5歳」上がったのか? 

 

「年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられることに連動して、若者の年齢も34歳から39歳に引き上げられたのかなと。

 

39歳に上がった頃は、年金受給のために必要な資格期間が原則25年間(※現在は10年間に変更)。

 

39歳から25年間保険料を納めたら、65歳から年金を受給できる。年金受給できるようにみんな頑張ろうぜ、というメッセージが、若者の政策年齢が引き上げられた背景にあると耳にしたことがあります。

 

若者への政策的影響で言うと、実はこども家庭庁の設立に対しても危機感を持っています。

 

2010年、子ども・若者育成支援推進法という法律が施行されて、若者への支援が法的にも明記されました。この法律の所管がこども家庭庁に集約されるんです。

 

こども家庭庁においては、子どもが真ん中。

 

18歳未満の子ども、または児童福祉法の措置延長を含めた22歳くらいまでがメインの支援対象になる可能性もあって、23歳から先はかなり厳しい。

 

子ども・若者育成支援推進法という根拠法があるものの、社会の視点が「子ども」に集中した時に「若者」が取り残される可能性を懸念しています

「雇われる一択社会」が生み出す若者の困難

こども家庭庁で、社会の注目が「子ども」に集まるのも然り。「若者」は支援対象、サポートが必要な存在というイメージは社会にそれほど広がっていないかもしれない。

 

支援が必要な若者とはそもそもどんな人たちなのか

 

歯切れのいい答えを期待したものの、工藤さんから返ってきたのは、「解像度高く言えなくて申し訳ない」という言葉だった。

 

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
note
リディラバジャーナル編集部
noteのicon
起業家が受ける不当な圧力・セクハラ。背景にあるものは?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年7月26日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「障害者が子どもを産むな」ひとつでもできないことがあれば子どもをもってはいけないのか?
2024年7月19日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
芸術祭なのに、米作りに雪かき?「大地の芸術祭」が挑む地域づくりとは
2024年7月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
「夏休みに特別な体験をさせられない」子どもの体験格差は、学ぶ意欲や将来の可能性にまで影響を及ぼす?
2024年7月8日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
メディアが作り出した? 生活保護費引き下げにつながった世論
2024年7月1日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
在日クルド人に対するSNSでのヘイトスピーチ。書き込みへの法的措置の意義とは?
2024年6月21日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
輪島・珠洲の断水解消も、水道は使えない。復興を左右するのは世間の関心の深さ
2024年5月31日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
少しずつ可視化されてきた「恋愛的にも性的にも惹かれない」人たち。アロマンティック・アセクシュアルとは?
2024年5月24日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
喜べない教員の給与増。残業が残業だと認められない給特法とは?
2024年5月17日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
勤務時間15分減で退職金ゼロ?非正規の人の労働条件を改善するための制度のはずが…
2024年5月14日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
性犯罪の被害者の約半数が子ども。わが子をグルーミングから守るには?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年5月7日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
動物の虐待摘発過去最多。「保護犬・保護猫」前進の裏で生まれる課題
2024年4月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
スクールカウンセラー約250人が雇い止め。子どもの心の健康を支える専門職なのに任期は1年?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2024年4月4日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
依存症の人に必要なのは「反省や刑罰」ではなく「治療と仲間」
2024年3月29日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「同性婚を認めないのは違憲」互いの違いを尊重できる成熟した社会へ
2024年3月18日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
能登半島地震、深刻なボランティア受け入れ態勢不足が課題
2024年3月8日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
学校の死亡事故の7割が国に未報告。求められる事故検証システム
2024年3月1日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「思いこみ」も背景に?女性管理職への道を阻むもの【なぜ少ない?学校教育現場の女性管理職】
2024年2月23日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。こちらの記事の最後には、全文無料で読める!「学校経営の新時代、女性管理職の可能性 ~ロールモデル・取り組み事例資料集~」もご紹介しています。ぜひご活用ください!

続きをみる
旭川いじめ事件から3年。再発防止が進まない訳は…
2024年2月16日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
DVから逃げられなくなる!?「共同親権」このまま進めて本当に大丈夫?
2024年2月2日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「被災地へボランティアに行くのは迷惑?」悩んでいる人にこそ読んでほしい!【3.11から学ぶ。構造化特集を全記事お届け!】
2024年1月12日

みなさん、こんにちは。リディラバジャーナルです。

1月1日、能登半島地震が発生しました。亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われたすべての方にお見舞い申し上げます。

続きをみる
市販薬を覚せい剤代わりにする若者たち。その背景には孤独孤立か?
2023年12月22日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
万引きを繰り返すのは手癖が悪いのか、それとも?「万引き依存症」をご存知ですか?
2023年12月15日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
大学進学は親の財力やきょうだいの数によって左右されていいのか?
2023年12月11日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
反ワクチン情報を流す医師がいるのはなぜ?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2023年12月1日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
×
CONTENTS
intro
Case1.
no.
1
case1
no.
2
未来へのシカケ
no.
3
no.
4