
産まれてきた子どもに障害があったら、また子育てをするなかで障害があることが発覚したら――。子どもの親は何を思い、どんなことに悩むのか。本連載では、さまざまな障害のある子どもの親へのインタビューを通して「障害児の親になること」のリアルを伝える。
第6回は、金子訓隆(のりたか)さん。息子の真輝(まさき)くんには発達障害がある。金子さんはブログ・SNSでの交流がきっかけとなり、同じく発達障害児を抱える父親たちと2012年にNPO法人おやじりんく(現・輝HIKARI)を設立。現在は父親視点から障害児・者の自立、就労に向けた支援を行っている。
母親のSOSを逃さなかった
――お子さんの障害と、最初に障害に気づいたタイミングについて教えてください。
うちの息子は軽度の知的障害を伴う自閉症です。今は14歳で中学校の特別支援学級に在籍しています。学力は9歳ぐらいだと思ってください。
障害があるかもしれないと気づいたのは、1歳6ヶ月を過ぎた頃でした。水しぶきや木漏れ日の光などキラキラ光っているものをじっと見ていたり、ミニカーをずっと並べていたり。他の子どもとも遊ばないし、声をかけても振り向かない。公園デビューで他の子どもと違うことがはっきり分かったんです。
それを見ていたのは妻でしたが、僕はそのSOSを聞き逃さないようにしました。母親が父親に不安なことを打ち明けても、「気にし過ぎだよ」とか「うちの子は照れ屋なんだ」と聞き流してしまいがちですが、些細なことでもきちんと拾うことが大切だと思います。
ちなみに僕は、息子が生まれて10年以上ずっと、「今日のまーくんどうだった? 」「どんなふうに過ごしていた? 」と妻に聞いていました。妻は専業主婦なので、妻のほうが子どもと過ごす時間は長い。僕は働いているので、一緒に過ごす時間が長くなくてもできることをしてきました。
――他の子と違うかもしれないと気づいてから、どのように対応したのでしょうか。
妻から聞いた話をもとにインターネットで情報収集をしていました。そこでいつもひっかかるキーワードが自閉症でした。また、掲示板やブログを通して障害児のお母さんたちとの交流もしてきました。
息子は2歳9ヶ月で障害があると診断されたのですが、その頃、リーマンショックの影響で会社の売り上げは激減し、骨肉を削られるような思いでした。そうした状況のなかで息子に障害があると診断されて、当時はこれから先どうすればいいんだろうと途方に暮れていたのです。
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