世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマー
世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。

世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。
世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。
2019年10月、世界最大級の児童ポルノサイトが摘発されたことが国際的なニュースとなり、話題になった。
「Welcome to Video」というサイトには、児童が撮影された25万本にものぼる動画が存在していたという。データ容量にして8テラバイト分。捜査を経て、欧米の各当局はサイトユーザーに虐待されていた少なくとも23人の児童を保護した。
「Welcome to Video」を運営していたのは、韓国在住の韓国人である20代男性。2015年6月のサイト開設から逮捕されるまでに、世界各国から128万人ものユーザーを集め、コンテンツの売買で使われたビットコイン約37万ドル(約4000万円)相当を手にしていたという。
今回の逮捕で検挙されたサイトユーザーは38カ国 337人(2020年1月現在)。そのうち半数以上が韓国人だった。
このサイトが運営されていたのが、通常の方法ではアクセスできないインターネット領域である「ダークウェブ」であったことも注目を集めた。
摘発に至る決め手となったのは、ダークウェブ上の売買で使われたビットコインの決済情報だったという。だが、このダークウェブとはそもそも一体何なのか。
ダークウェブ上の問題解決などを目的に、健全な暗号資産取引が行われるための仮想通貨の取引データを分析する企業バセット(Basset)代表の竹井悠人さんに、ダークウェブを取り巻く実態について聞いた。
全容が見えないダークウェブ
――児童ポルノコンテンツがビットコインを利用してダークウェブで売買されるケースが増えているということですが、そもそもダークウェブとは、どのようなものですか。
一言で言うと、専用のソフトを使わないとアクセスできない“隠れたネットワーク”です。ダークウェブの代表的な通信システムとして使われているのが「Tor(トーア)」。
Internet Explorer(インターネット・エクスプローラー)やGoogle Chrome(グーグル・クローム)などのブラウザでは通常はアクセスできない通信システムで、自らのIPアドレスを知られることなく、通信の傍受もされづらい。
URLがランダムな文字列になっており、何階層にも暗号化されることによって、ユーザーの通信先が特定できないようになっています。
児童ポルノだけでなく、麻薬や銃器などの違法な商品が、ビットコインを利用してダークウェブで売買されています。
ただ難しいのは、ダークウェブ全体を取り締まることはできないこと。ダークウェブ上でサイトをつくることや閲覧することそのものは合法で、禁止されたコンテンツや物の取引が行われると違法になる。
とはいえ、違法だとしてもダークウェブ上のサイトはどこの国の誰が運営しているのかまったくわからないことがほとんどです。
――ダークウェブ上で児童ポルノコンテンツが売買されるようになったのはいつ頃からですか。また匿名ユーザーから正体を割り出すのは困難とのことですが、どのようにして摘発するのでしょうか。
おそらくですが、改正児童ポルノ禁止法が成立した2014年頃からアンダーグラウンドのサイトで取引されるようになったのではないかと思います。ただダークウェブの全容を捉えるのは難しく、いつからどのように売買されているのかといったことは正確にはわかりません。
また摘発のために行われている手段の一つが、おとり捜査です。捜査官が実際にサービスを利用して少しずつ情報収集していきます。アメリカのFBI(連邦捜査局)は常時あらゆる事件に対しておとり捜査による追跡を行っています。
日本の司法制度では、おとり捜査に関して規制があり、児童ポルノではおとり捜査はできません。おとり捜査は、場合によっては犯意を誘発し、助長してしまいかねないといった考えがあるからです。
ダークウェブが児童ポルノの温床に?
――2019年10月にアメリカと韓国当局が、世界最大級の児童ポルノサイトを摘発したことが話題になりましたが、逮捕された38カ国337人のなかに日本人はいませんでした。これにはどのような要因があると考えていますか。
実際のところはわかりませんが、単純に摘発されたサイトに日本人利用者がいなかったのかもしれないですし、仮に調査を求められたら日本の警察は協力したはずなので、その意味ではいなかった可能性は高い。
ただおとり捜査でも、ダークウェブ上の児童ポルノに関する全容を解明することは極めて難しく、正確なことはわかりません。
いずれにしても、通常のネットワーク上で児童ポルノを流通させるのはいまの時代はかなり難しくなっています。バレてしまう可能性が高く、バレれば一発で摘発されますから。
国によって捉え方が異なる大麻などと異なり、児童ポルノは子どもに対する人権侵害という世界共通の認識がある。だからこそダークウェブに流れてくるという側面があるのですが。
――ダークウェブが児童ポルノの温床になっていると。
そうですね。ただネットにおける規制が厳しくなっていることもあって、いまもDVDで売買されるケースが一部であるという話も聞きます。
日本では最近子どもが自撮りした性的な画像や動画がネット上にアップされるケースも増えていますが、一度アップしてしまえば、ずっと残ってしまう可能性もある。そうしたネットリテラシーの低さは危機的ですし、とても問題だなと思います。
また海外では、お金欲しさに自分の子どもを売りに出して性的なコンテンツにさせるようなケースがいまだにあります。
そうしたことを踏まえても、児童ポルノが存在している以上、流通をどうにかしようとするだけでなく、製造される過程に対してなんらかの手立てが必要だと感じます。
―――
ダークウェブにおける児童ポルノコンテンツに関しては日本でも逮捕者が出ており、2019年11月には「Tor(トーア)」を利用して少女のポルノ画像を公開したとして、元漫画家の51歳男性が逮捕された。

男性は、ダークウェブ上に開設した会員制の児童ポルノサイト「NJCHAT(エヌジェイチャット)」に女児のわいせつ画像を投稿。サイトではおよそ2万点の児童ポルノがダウンロードできる状態にあり、会員数は2000人にのぼっていたという。
ダークウェブは児童ポルノをめぐる新たな動向の一つだが、日本ではより身近なスマホやSNSを利用した自撮りによる被害が増えている。それらはどのようにして防ぐことができるのか。次回は児童ポルノの流通防止について考える。
編集後記
ここ数年、名前を聞くことが多くなったダークウェブ。匿名性の高さなどから、違法サイトや違法取引の温床などの側面も持ち合わせています。
そして児童ポルノも、ダークウェブ上に存在していることを本記事で見てきました。自撮りによる被害同様、これも現代ならではの事象です。
日本では児童ポルノ摘発のためのおとり捜査ができないなか、ダークウェブとどう向き合っていくべきか。児童ポルノ問題を考えるための新たな論点です。

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