世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマー
世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。

世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。
世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。
リディラバジャーナル編集長の安部です。
今回の特集は「児童ポルノ」をテーマに、子どもが「ポルノ」として消費されてしまう実態や課題について取り上げました。
この特集を配信している間に、CGを児童ポルノとしてみなす有罪判決が出ました。
これは、実在する児童の写真をもとにCG(コンピューターグラフィックス)で裸の女児を描写した創作物が、児童ポルノにあたるかどうかが問われた裁判でした。
最高裁は、実在する児童の写真を素材にしたわいせつなCGは児童ポルノに該当すると指摘。CGが児童ポルノとして摘発された初のケースでしたが、被告の上告を退ける決定をしたことで、有罪が確定しました。
CGでつくられた児童ポルノは、どこからどこまでがリアルなのかを判別することが難しくグレーとされていたため、こうした判決が出たことは大きな一歩と言えます。
しかし、児童ポルノという問題全体の解決の道はまだまだ見えていません。
今回の特集を通じて私が感じたことは大きく2つあります。それは、加害者研究が進んでいないことと、児童ポルノという問題の切り取り方です。
解決のために必要なのは加害者研究
一つ目の論点である加害者研究が進んでいないことは、たとえば、アニメなどでの子どもに関する性的な描写が、表現の自由か否かという議論にも大きく関わっています。
今回の特集でもお伝えした通り、アニメや漫画、ゲームなど、実際の子どもの性被害が伴わない性的な描写表現については、表現の自由として認めるべきという主張もあれば、加害行為に影響を及ぼしているという主張もあります。
欧米がアニメや漫画、ゲームなどにおける子どもの性的表現を児童ポルノとみなして規制対象としているのに対し、日本の現行法ではこれを規制対象外としています。主な背景にはアニメや漫画、ゲームなどが日本のカルチャーに根ざしていることが挙げられています。
現状ではまだアニメや漫画、ゲームなどにおける子どもの性的表現によって実加害が助長されることは実証されていません。
加害臨床の現場で少しずつそれらの影響が見えてきてはいますが、規制を求める論拠としてはまだまだ弱い。それはやはり、加害者研究が進んでいないからでもあります。
児童ポルノにおける表現の自由の議論に限らず、性犯罪における加害者の実態が明らかにされないことには、社会として対策の立てようがありません。
多くの性犯罪で一人の加害者が数十、数百人の被害者を生んでいる構造を踏まえれば、加害者が加害行為をするに至った要因や経緯を明らかにする必要があるはずです。
そうした考えから、リディラバジャーナルでは以前に小児性犯罪者に取材したことがあります。
元小児性犯罪者が、メディアで語る機会はほとんどありません。今回の特集と合わせて、このインタビュー記事も読んでもらえれば、加害者側に対する理解が深まるかと思います。
このインタビューはあくまで一人の加害者の話ですが、加害に至る要因を定性・定量両面のデータによって解明する加害者研究がなされてこそ、有効な対策がとれます。
その結果として、たとえばアニメで子どもが大人に強姦されるなどの描写があり、それらが子どもへの実加害を助長するという因果関係が実証されれば、表現の自由における制度設計は慎重に検討される必要がありますが、やはり規制されるべきだと思います。

性犯罪ではなく子どもの安全という文脈から考える
もう一つの論点が、児童ポルノという問題の切り取り方です。
昨今の児童ポルノをめぐる新たな現象として、子どもが自分の裸体を自撮りして、LINEで送る、Twitterに投稿するといった事件が増えています。
背景にあるのが、家庭や学校などで居場所を失い、SNSを拠り所にする子どもたちの自己承認・肯定欲求など。誰かに自分を認めてほしいという感情がSNSに向わせ、自撮りによる被害につながっています。
こうした問題は、以前特集を組んだ「子どもの安全」とも地続きであると感じます。児童ポルノというと性犯罪の一つとしてカテゴライズされやすいですが、いまや多くの子どもがLINEやTwitterなどに触れていることから、日常的な安全や安心を脅かすリスクの一つになっています。
「児童ポルノ」という視点からではなく、「子どもの安全」という視点を中心に、統合的に見ていく視点が重要ではないでしょうか。
子どもが直面するリスクとして、児童ポルノはまだまだ知られていません。知っているのと知らないのとでは、周囲の大人が適切に対応できるかどうかに大きな差が生まれます。
たとえば、万が一、子どもが自撮りによる被害に遭ってしまったとき、「なぜそんなものを送ってしまったんだ」と叱ってしまうことは、ただでさえ傷ついている子どもへの二次加害にもなりえます。目を向けるべきは、子どもが送らざるを得なかったプロセスです。
それらは、保護者あるいは学校の先生らが子どもに寄り添えないからこそ発生している問題でもあり、対応する大人は子どもも被害者である認識を持つことができるかどうかが問われています。

また、こうした問題を未然に防ぐためには、保護者や先生以外の大人との接点が必要なのではないかとも感じます。子どもと社会との接点を多様化させることは、子どもが家庭や学校で抱える問題を解消する場を増やすことにもつながります。
子どもにまつわるリスクが多様化している現代において、親だけでなくチームとして専門性を分散させながら対応できる形が理想でしょう。
「居場所がない」と感じる子どもを拾い上げていくために、社会として、いかに広くセーフティーネットを張りめぐらせることができるか。
そうした子どもの安全を守るという文脈上に児童ポルノを位置付けていくことが、保護者に対する注意喚起にもつながります。
子どもの居場所を確保し、安心して暮らせる社会をつくっていくという視点から児童ポルノというテーマを見てほしい。その中で加害の構造の理解を促進することが大きな鍵になる。そう思って今回の特集を組みました。
引き続き、皆さまからの意見も、伺えればと思います。

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル
続きをみるこんにちはリディラバジャーナルです。もうすぐ、子どもたちの夏休みが始まります。いまや子どもたちの居場所は、公園や図書館だけではありません。SNSやオンラインゲームを通じて、友達と話したり、学校や家庭とは異なるつながりを得たりする機会も増えています。SNSやゲームそのものが悪いわけではありません。好きなものでつながれる相手に出会えたり、学校や家庭とは違う関係に救われたりすることもあります。ただ、そのつながりが、思わぬ被害の入り口になってしまうこともあります。警察庁の統計では、SNSをきっかけとする性被害は高い水準で推移し、とりわけ小学生の被害は近年増加しています(※1)。
「知らない人とやり取りしなければ、防げるのではないか?」「自分で撮って送ったなら、本人にも責任があるのではないか?」そう感じる人もいるかもしれません。ただ、自画撮り被害の背景には、相手が時間をかけて関係を築き、子どもを断りにくい状況へ追い込んでいく過程があること。そして被害に遭った子どもが、「怒られる」「責められる」と感じて、誰にも言い出せなくなっていくことがあります。この記事では、自画撮り被害を子どもの不注意や自己責任だけで捉えず、その手前で何が起きているのか、そして被害を防ぐために周囲や社会に何ができるのかを考えていきます。
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