「DXを進めた、という気持ちはない」 対象47,000施設 検査システムの全面オンライン化の裏側(後編)
「DXを進めた、という気持ちはない」 対象47,000施設 検査システムの全面オンライン化の裏側(後編)
「DX推進の担当になってまずやったことは、用語集を買いに走ることでした」
東京都下の保育園や介護施設等の指導検査を一手に担う福祉局指導監査部。
当部のDX推進を担った一人、田中課長代理が発した言葉だ。
DXに関して素人同然だった田中達が、120ジャンル47,000件という膨大な検査対象を、煩雑な紙ベースから、全てクラウド上で処理・管理するシステムへ転換出来たのはなぜなのか。
前編では、現場の抱える課題感、具体的な解決策、そして現場担当が主体的にDX化に取り組む空気の作り方について伺った。
後編では、この一連の取り組みがなぜ高い評価を得ているのか、その背景について紐解いていく。

(左から石川課長・亀山課長)

(左から坂本部長・田中課長代理・鈴木主任)
「業者に丸投げはしない」
行政では異例の開発手法に挑んだ理由
鈴木(リディラバジャーナル編集部)前回、とにかく「現場が使いやすいシステム」になるよう徹底したとのお話がありましたが、実際にシステム運用を始めて、現場の皆さんからの声はどうでしたか。
亀山課長これはいい意味ですが、特段大きな反響はないなと思っています(笑)
鈴木いい意味というのは?
亀山課長ここが使いにくい、前より業務が進めにくくなった、というようなネガティブな事象があれば改善の要求が出てきますから。
反響がないというのは、問題なく業務ができている証だと思っています。
開始前にユーザーテストやヒアリングなど、様々な形で現場と密にコミュニケーションを取っていたことも、スムーズな業務移行に繋がったと思います。
鈴木今回の一連の取り組みは、都庁内の「都庁DXアワード2023」で最優秀賞にあたる知事賞(サービス部門)を受賞されるなど、高い評価を得ていますよね。成功のポイントはどこにあったと思いますか。
石川課長ふたつポイントがあったように思います。
ひとつ目は、行政では珍しいかもしれませんが、「アジャイル開発」という新しい手法にチャレンジしたところ。
語弊があるかもしれませんが、このようなシステム開発の際には、行政側が委託業者に開発を「丸投げ」して、納品を待つというケースも散見されます。
もちろん、自分達ではできない業務を委託していて、開発に関しては委託業者がプロですから、丸投げが必ずしも悪とは言えません。
しかし今回は、構想段階から、都庁のメンバーも一緒になってシステムを作っていこうと決めていて、委託業者の選定基準としても、アジャイル開発を行うことを条件としていました。
鈴木アジャイル開発とは、開発工程を細分化して、各機能ごとに作って改善してを繰り返す開発手法ですよね。
田中課長代理はい。
従来は全部完成して納品されたものを行政側で確認、となるのですが、今回は2週間単位で1つの機能を作り、その都度フィードバックや変更を行いました。
正直、私自身もアジャイル開発がどんなものかをよく理解していなかったのですが、いざやってみるとこんなにも大変なのかと。
現場にヒアリングをしたり、委託業者のアウトプットを確認してフィードバックを考えたりといった業務を、2週間のサイクルでまわしていくのは大変でした。
ただ、このやり方でなければ、5ヶ月間という短い開発期間で、納得のいくシステムは構築できなかったと思います。
坂本部長今回推進役を担ってくれたメンバーはみんな、検査業務に関しては経験がありよくわかっていましたが、DXに関しては本当に初心者集団だったんですよ。
プロジェクトがはじまるにあたってまず最初に「DX用語集」を買ったメンバーもいました。
デジタルの知識や経験がなくても、デジタル化は推進できるんだと実感しました。

「東京モデル」として全国展開を目指す
現場起点で生まれた横展開の発想
鈴木ではもうひとつの評価されたポイントはどんなところにあったのでしょうか。

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