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公開日: 2023/10/3(火)
更新日: 2023/10/14(土)

「委託業者がやってくれる、ではない」 28,000もの行政手続を全面デジタル化 都政の変革に迫る(後編)

公開日: 2023/10/3(火)
更新日: 2023/10/14(土)
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更新日: 2023/10/14(土)

「委託業者がやってくれる、ではない」 28,000もの行政手続を全面デジタル化 都政の変革に迫る(後編)

公開日: 2023/10/3(火)
更新日: 2023/10/14(土)
オーディオブック(ベータ版)

『当たり前』が私たちと都民のみなさんでは違っていた

 

行政手続デジタル化のプロセスで、ユーザー目線に立つことの意味に気づいたと、都庁のDX担当者は語る。

 

全庁を挙げて行政手続の「原則デジタル化」に取り組む東京都。

 

後編では、全国初・オンライン完結型の「パートナーシップ宣誓制度」に迫る。

 

全国初となる取り組みの内容、そしてデジタル化によって組織に生まれた変化を聞いた。

 

前編に引き続き、DXの専門部署であるデジタルサービス局で行政手続デジタル化の推進に係る全体調整に携わる西田氏と、「パートナーシップ宣誓制度」を運営する人権部事業推進担当課長の下河辺氏に話を伺った。

 

 

(左から 下川辺氏・西田氏)

 「少しでも不安を感じたら」
全国初のオンライン申請制度で意識したこと

鈴木(リディラバジャーナル編集部)後編では、具体的なデジタル化の事例についてお伺いします。

 

東京都では、2022年11月より届出から証明書の発行まで一貫してオンラインで実施する「パートナーシップ宣誓制度」をスタートされましたね。

 

制度自体は全国でも事例がありますが、完全オンライン化を実現したのは東京都が全国初。

 

他の自治体を見ると、「事前予約の上、役場の窓口で1日3組限定対応」といったケースも多い中、オンラインで完結は非常に先進的だと思います。

 

下河辺全手続きオンライン化の流れ、利用者の利便性といった観点もありますが、何より利用者のアウティング(※)防止の重要性を感じていました

※アウティング:本人の了解を得ずに、本人が公開していない性的指向や性自認を第三者に公開すること

 

例えば、窓口のみの受付の場合、パートナーと二人で役所に出向く必要があります。職員や利用者の中に知り合いがいて、手続きを見られてしまえば、アウティングになります。

 

また、紙の証明書は、デジタルに比べて紛失したり見られたりする可能性が高まります。

 

アウティングのリスクを最大限抑えて、安心して利用できる制度にするため、全国初のオンライン化を実現することになりました。

 

鈴木全国初ということで、オンラインの申請システムもゼロから構築したと思うのですが、重視した点を教えてください。

 

下河辺何より重視したのは、アウティングを中心とした利用者の安心・安全です。

 

例えばですが、何かwebのサービスを利用しようとした時に「このアドレスは既に使用されています」と表示された経験はありませんか?

 

鈴木ありますね。

 

ログインできない時に、アドレスはこれで合ってるなら、パスワードを間違えたんだな、とわかって便利だなと思います。

 

下河辺まさにその辺りが一般のwebサービスと違うところで。この仕組みをそのまま用いるとアウティングのリスクが高まります。

 

他人のメールアドレスを入力して「登録がされている」ということがわかるだけでも、アウティングに繋がるからです。

 

極端な事例と思うかもしれませんが、アウティングをきっかけに自殺者が生まれるほど、当事者にとってはセンシティブな領域です。

 

少しでも制度に不安を感じたら、登録をしたくても躊躇してしまいます

 

利用者の安心・安全を守るために、アウティングのリスクがないか、登録制度の隅々まで検討を重ねました。

 

「当たり前」の違いに気づいた
ユーザーテストがもたらしたもの

下河辺重視したもう一つのポイントは「使いやすさ」です。

 

行政のサービスに対しては、「わかりづらい」「難しい」といったご意見をいただくことが多いです。

 

意図的に難しくしようとはしていませんが、どうしても自分たちだけでは気付けない部分があります。

 

そこで、開発の過程でユーザーテストを実施し、都民の皆さんに意見をいただいて、サービスを改善しました。

 

「『次へ』ボタンがどこにあるかわからない」「エラーメッセージがここに表示されると見づらい」といった細かな改善点だけでなく、「これって私が登録したら完了ですか?パートナーも別で登録が必要ですか?」といった根底の問題点も見えてきました。

 

ユーザーテストを経て、私たちは「ユーザー目線」でサービスを作るという意識が薄かったなと痛感しました

 

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リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
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宮坂学副知事 インタビュー
no.
1
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2
指導検査手続きの全オンライン化
no.
3
指導検査手続きの全オンライン化
no.
4
行政手続の全面デジタル化
no.
5
no.
6