「ミニスカートを履いて出かけようとする娘に対して、母親が『そんな短いスカートを履いていたら、痴漢に遭うでしょう』と注意するのは、多くの家庭で見られる光景だと思います。ただこれは『ミニスカートを履いていたら痴漢に遭っても仕方がない』と、痴漢特有の“認知の歪み”を間接的に強化してしまっていることになります。女性にはどんな格好をしてもいい自由があるはずです。女性の“落ち度”をあげつらい、自己責任を問う社会にこそ問題があります」
これまでに痴漢を含む2000人以上の性犯罪加害者に対し、日本で先駆的に再発防止プログラムを実践してきた精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳(あきよし)さんは「痴漢の実態を知る上では“認知の歪み”について理解する必要がある」と話します。
“認知の歪み”は社会にも
・最初はイヤがっていても、多くの女性は痴漢されているうちに気持ちよくなる
・今週も1週間仕事をがんばったから、自分は痴漢しても許される
・ちょっとぐらい触られたからといって、女性も何かが減るわけじゃない
・露出の多い服を着ている女性は痴漢されたい、されても仕方ない
これは、斉藤さんが2017年に上梓した『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)に記されている「痴漢加害者のリアルな声」の一部であり、痴漢常習者の間では言語化されてないものの、ある程度の普遍性のある認知パターンです。
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