多くの人が進学のために必要とする奨学金。格差が広がるな
多くの人が進学のために必要とする奨学金。格差が広がるなかで、ますますその需要は高まっていますが、かたや延滞額の規模の増大、また回収方法を問題視した報道が繰り広げられています。本特集では、大学生やその親、社会、日本学生支援機構というステークホルダーの視点から問題を「構造化」し、現状と今後の在り方を示します。
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「奨学金制度は返済能力を問わないものですから、返済できない人が出てくるのは当然です」
そう指摘するのは、聖学院大学講師の柴田武男さん。奨学金の返済に苦しむ人々の相談を受ける「埼玉奨学金問題ネットワーク」(さいたま市)の代表も務めている。
大学教員の中にも、奨学金返済に苦労している人がいると柴田さんは言う。
しかし、返済できない人が増加したことによって、制度の変更が検討されている。
学生の負担を増やしてでも…滞納減施策の検討
財務省と文部科学省は、日本学生機構の貸与型奨学金を借りているすべての学生が、保証料を支払うかたちに制度を見直す——。
2019年1月9日、日本経済新聞がこんなニュースを報じた。
(リンク:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39764670Y9A100C1MM8000/)
同機構は、131万人の学生に1兆465億円(2016年度)を貸与。現状、学生は貸与を受ける際、連帯保証人と保証人を立てる「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」のいずれかを選択する。
こうした保証制度はあるものの、3ヶ月以上滞納している人が16万1000人、額にして2388億円(いずれも2016年度末)に上る。
機関保証制度に一本化すれば、奨学金利用者が返済できなくなっても保証機関が代わりに返済するので、日本学生支援機構は滞納に頭を悩ませる必要はなくなるのだ。
ただ、この場合、保証料の分学生の負担は大きくなる。それでも制度変更を考えるほどに、日本学生支援機構や文科省、財務省は滞納の現状を問題視していると言える。
とはいえ、冒頭の柴田さんの指摘のように、奨学金制度はそもそも仕組み上、滞納のリスクが避けられない。
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