世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマー
世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。

世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。
世界的にも長らく問題とされてきた児童ポルノだが、スマートフォンやSNSの普及により、自撮り被害などの問題も生まれ、児童ポルノを取り巻く状況は新たなフェーズを迎えている。子どもが性的に消費される状況をどう防ぐのか。児童ポルノを取り巻く問題の構造に迫る。
「ある少女から『怖くてしょうがない』という電話が来ました。SNS上で知り合った男性から脅されて、自慰行為をしている動画を送ってしまったと。彼女は、パニック状態になっていて、文字が打てないからと電話してきたのですが、電話口でも嗚咽するなどして言葉にならないような状況でした」
これは、児童ポルノ問題などに取り組むNPO法人 人身取引被害者サポートセンター ライトハウス(以下、ライトハウス)に寄せられた相談だ。こうした被害相談が届くことは決して珍しくはないと同団体の担当者は話す。
「問題なのは、このような状況でも『なぜそんなものを送ってしまったんだ!』と子どもを叱ったり、問い詰めたりする大人が多いこと。ですが、送らざるをえない状況に子どもは巻き込まれているんです」
急増している自撮りによる被害
児童ポルノに関してライトハウスへの被害相談が多いのは、中学生や高校生。学校関係者や友達、そして保護者にも相談できず、ネット検索などでライトハウスの相談窓口にたどりつく。ここ数年で最も多い相談が、やはり自撮りによる被害だ。
自身の性的な画像や動画を送ってしまったあとに、どうしていいのかわからなくなり、また、相手の言うことを聞かないと何をされるかわからないという状況に直面している。

交際相手だったり友人や知人だったりというケースもあるが、多くはネット上で知り合った、会ったことのない大人だ。
「LINEなどでやりとりしていくなかで、少しずつ距離が縮まり、そのうち相手から性的な写真が送られてくる。『僕も送ったんだから君も送ってよ』などとそそのかされて、それからエスカレートしていく。被害に遭った子どもは恐怖に怯え、体の調子を崩すなどしています」
ライトハウスの担当者によれば、性的な画像や動画を送ってしまった子どもは、自分を責めてしまっていることが多いという。だからこそ、まず「あなたは悪くない」と伝え、送らざるを得なかった状況について聞くことにしている。
だが、家庭環境が複雑であるなど、もともと大人に対して不信感を覚えている子どもは少なくなく、相談があっても途中で途絶えてしまうケースもある。
「子どもにとっては、誰かに相談するだけでも勇気のいること。親に知られたらスマホを使うことを規制されるんじゃないかとか、進学に影響するかもしれないから学校には言わないでほしいと心配している。そうした気持ちに寄り添いながら、とにかく地道に聞いていくしかありません」
送らざるを得ない状況をつくる大人たち
冒頭の自慰行為をしている動画を送ってしまったケースでは、加害者は少女に対して巧みな言葉で語りかけ、次第に性的な画像や動画を送ることを要求するようになったという。
少女が送った画像や動画を褒め、「言うことを聞いていれば何もしない」と言いながら、少しずつ要求をエスカレートさせていった。
また、別のケースでは、子どもに自撮りの画像を要求しながら、「こうした画像を送ることは犯罪だ」として弁護士に相談していると脅し、さらに淫らな画像を送れば公にはしないと要求するケースもあった。
子どもは自分が逮捕されてしまうんじゃないかと極度の不安を覚えていたという。
自撮りによる被害では、メッセージをやりとりすることで少しずつ関係性をつくりながら、巧みに子どもの弱みにつけ込もうとする。そうして子どもがNOと言えない状況に追い込んでいく。そんな状況になれば、要求はエスカレートする一方だ。

自撮りによる被害をめぐっては、事件が発覚してもなお、「送ってしまった子どもも悪い」という状況になってしまうことが多いと話す。
「現場で強く感じているのは、本来子どもを守る立場であるはずの警察や学校、そして保護者のなかにも、子どもを責める大人が多いということです。起きたことだけを表面的に見てしまいがちですが、子どもには当然送らざるを得なかった事情があり、そこをもっと考えてほしいなと感じます」
被害に遭った際の一時的な対処とは
昨今、自撮りによる被害が急増している児童ポルノだが、被害態様としては他に児童買春・淫行行為や盗撮などもある。

被害児童を小学生以下に限定すれば、最も多いのが盗撮による被害だ。
盗撮は、スマートフォンの無音カメラを用いて知らぬ間に撮影されていたり、学校や商業施設のトイレなどに小型カメラが仕込まれていたりすることもある。被害に遭ったことすら認識できず、発覚もしづらいため、他の性犯罪同様、暗数は多いとされる。
さらに発覚しづらいものとして、最近では「ディープフェイク」という問題も台頭しつつある。
ディープフェイクとは、AI技術の一つ「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク(偽物)」を掛け合わせた造語であり、AIによってポルノ動画に子どもの顔写真を重ねるなどして生成される手法。2017年後半から登場したとされ、昨今世界中で問題視されている。
日本国内でもネット黎明期に女性のヌード写真の顔だけを入れ替えるなどの「アイコラ」が問題視されたが、ディープフェイクはその動画版とも言える。
技術的な発展により、極めて自然な動作を再現しており、ディープフェイクと言われない限り気づかないほどの精度で生成されている動画も少なくない。
性犯罪被害に詳しい上谷さくら弁護士によれば、ディープフェイクは製造過程で性虐待があるわけではないことから、「法的には児童ポルノに該当し得ないのではないか。ただ実存する子どもの顔が無断で使われているのならば、人格権やプライバシー侵害などにあたりうる」と話す。
上谷弁護士は同時に、被害に遭ってしまった場合の対処として、逆説的な発想を提唱している。
「万が一、自撮りなどで送ってしまった画像や動画がネット上で出回ってしまたときに、被害者には『これはアイコラだ』『似ているかもしれないけど、自分ではないと言い張って』と伝えています。削除してもらうことが第一ですが、それでも拡散されてしまった場合などは『これは私ではない』と言い張ることが重要です」
「ただし、その前提として、とにかく自撮りだけは誰であっても絶対に送ってはいけません。すでに送ってしまったという場合は『これは私ではない』と言い張る。一度でも気軽な気持ちで送ってしまえば、それが一生付きまとうくらいに深刻な被害を招くものにもなりえます」
では、自撮りによる被害を含め、児童ポルノはどのように発覚するのか。次回は匿名を条件に取材に応じた検察関係者から現場における実態について聞く。
【まとめ】
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児童ポルノの新たな被害現象として、SNS上で知り合った男性から脅されるなどし、中学生などが自身の性的な画像や動画を送ってしまうケースが増えている。
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それに対して、本来子どもを守る立場であるはずの警察や学校、保護者のなかには、子どもを責める大人が多い。だが、子どもには送らざるを得なかった事情もある。
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ただし、自撮りは誰であっても絶対に送ってはいけないことが前提で、一生の被害になる。すでに送ってしまった場合は『これは私ではない』と言い張ることが効果的。
編集後記
児童ポルノの問題は、なかなか実態が明かされることがありません。
とくに昨今急増している自撮りによる被害は、公的なデータに乏しく、そもそも表出している事件も多くはありません。
今回の記事や次回の記事で明かされる検察関係者の証言から、ぜひその実態について考えていただきたいと思います。

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