夜中の山道にダンプ1台分のごみが突然現れる&mdash
夜中の山道にダンプ1台分のごみが突然現れる——。いま、解体・建設現場などから発生した産業廃棄物が、処理の流れからあふれ出し、行き場を失い残り続けている。なぜ廃棄物が不法投棄され、撤去されないのか。「排出・解体→中間処理→最終処分」という廃棄物処理の各フェーズでリスクが生じている構造と、自治体による撤去が進みづらい構造に迫る。

夜中の山道にダンプ1台分のごみが突然現れる——。いま、解体・建設現場などから発生した産業廃棄物が、処理の流れからあふれ出し、行き場を失い残り続けている。なぜ廃棄物が不法投棄され、撤去されないのか。「排出・解体→中間処理→最終処分」という廃棄物処理の各フェーズでリスクが生じている構造と、自治体による撤去が進みづらい構造に迫る。
夜中の山道にダンプ1台分のごみが突然現れる——。いま、解体・建設現場などから発生した産業廃棄物が、処理の流れからあふれ出し、行き場を失い残り続けている。なぜ廃棄物が不法投棄され、撤去されないのか。「排出・解体→中間処理→最終処分」という廃棄物処理の各フェーズでリスクが生じている構造と、自治体による撤去が進みづらい構造に迫る。
リディラバジャーナル構造化特集「不法投棄〜誰も扱えない産業廃棄物の行き先〜」。
第2回となる本記事では、排出・解体から中間処理時に不法投棄リスクが発生する構造(2章)として、中間処理事業者が直面する課題を明らかにしていく。

「がれき、入れられる所ありませんか?」。解体業者からの電話が今日も鳴る。
「最近、『廃棄物を持っていく先がない』という問い合わせは多いです。新規の受け入れを断らざるを得ない中間処理業者も少なくありません」——。ある関東の中間処理業者Aさんはそう話す。
中間処理業者は、解体業者から処分費を受け取って廃棄物を引き取り、選別や破砕などで“量を減らす・資源化する”役割を担う。最終処分場に送る量をできるだけ減らし、リサイクル可能な形にすることが求められている。
しかしいま、再生品(※)がヤード(保管場所)に滞留し、新しい廃棄物を受け入れられなくなるケースが生じている。中間処理が滞れば、解体現場にも廃棄物が行き場を失って滞留し、その先に不法投棄へとつながるリスクも生まれる。
※再生品:廃棄物を選別・破砕・洗浄などの処理をして、もう一度資材として使えるようにしたもの
背景には、再生品の需要の少なさ、価格競争、品質への不安、保管規制——複数の要因が重なり合っている。これらが重なった結果、「売り先の喪失 → ヤード滞留 → 受入制限 → 行き場を失う廃棄物 → 不法投棄リスク」という一連の流れが生じている。
今回は、こうした「排出・解体から中間処理」フェーズに潜む不法投棄リスクを見ていく。
売り先がない——行き場のない再生品も
まず、新規の受け入れが難しくなっている背景には、「再生品をつくっても売り先がなく、滞留してしまう」という問題がある。
第1回で「リサイクル困難な建設系廃棄物がある」と触れたが、中にはリサイクルできるものもある。
解体で出るコンクリートやアスファルトなどの「がれき類」は、破砕して再生砕石や再生アスファルトになり、道路や駐車場、建物の基礎などの材料として使われる。

「金属くず」は、鉄、銅、アルミニウムと素材別に選別すれば、相場変動はあるものの有価物(お金をもらって売れるもの)として取引される。「木くず」はチップにしてボード材やバイオマス燃料にもなる。

国土交通省は、建設系廃棄物の再資源化・縮減率を97.2%(2018年度)と公表している。
一方で、再生品をつくっても売れない場合がある。その背景にあるのが、再生品の需要の少なさだ。
たとえば、がれき類からつくられる「再生砕石」は、公共工事の縮小等に伴う路盤材需要の減少で、都市部を中心に需要減少・滞留が顕在化している。
国土交通省のデータによれば、公共工事関係費はピーク時の1998年度の約14.9兆円から、2022年度には約8.1兆円まで減少している。

東京都環境局の資料でも、「コンクリート塊の再資源化率は高い一方で、路盤材の需要減少等により都市部では再生砕石の滞留が顕在化してきている」と指摘されている。

再生品の滞留は、再生砕石に限らない。
産業廃棄物関連を得意とする芝田麻里弁護士(弁護士法人芝田総合法律事務所)は、下水汚泥を処理して堆肥にしたものの、売り先がなく不法投棄に至った事例を紹介する。
弁護士法人芝田総合法律事務所 代表弁護士。ほか、公益社団法人 全国産業資源循環連合会 顧問及び監事、一般社団法人 東京都産業資源循環協会 顧問など。
「ある中間処理業者が、下水汚泥を処理して堆肥を作りましたが、思ったよりも売れなかったんですね。それで結局、山に捨てることになった事例もありました」
このように、需要の縮小や需要時期の不一致などを要因に、再生品の売り先がない状況が生じている。
売り先があっても使えない、使われない——再生品を拒む現場
たとえ売り先があっても、それが「使われない」という問題もある。中間処理業者のAさんはこう話す。
「たとえば、ゴミ混じりのコンクリートを再生材にするには、かなりの処理費がかかります。それを解体費用に適正に上乗せして工事費を見積ったら、ゼネコンは入札で負けてしまう。
それならと、再生材ではなくコストを抑えやすいバージン材(未使用・未加工の新品の原材料)を使うケースもあります」
第1回で、解体業者が「価格競争」と「処分費高騰」の板挟み状態にあると触れたが、その影響は再生品の選択にも及んでいる。
さらに、品質への不安から再生品が使われないということもある。
「再生品は『強度の問題で使いづらいのではないか?』『本当にちゃんと使えるのか』という声もあります」(Aさん)
2021年の環境省の調査でも、再生砕石の利用に関して「仮に品質基準を満たしていても、廃棄物由来という理由で、利用に対する抵抗はある」と記されている。
価格競争に品質不安。こうした要因が揃うと再生品は構造的に選ばれにくい。
また、中間処理業者側の課題として、売り先があっても再生品を長期間保管できないことがある、とAさんは話す。
「たとえば、高速道路の新規開通工事などが始まると、そのあたりの再生砕石は全部なくなるほど需要が生まれます。
でも工事が始まるまでの間、何万トン規模の再生砕石をヤードに溜めておけるかというと、物理的にも規制上も不可能なんです」
ここまで見てきたような状況が発生した際、再生品はヤードに溜まっていくことになる。
法律では中間処理業者ごとに保管上限量が定められており、上限を超えると行政指導が入ることもある。最終処分場に運ぶには処分費がかかるが、すでに再生処理に費用を使い切っている場合、追加でその処分費を払う余力はなくなるだろう。
このようにして、再生品を抱え込まざるを得ず、新規の受け入れが難しくなっている業者がいると考えられる。
Aさんは現場の状況をこう語る。
「最近は、解体業者さんから『がれきは入りませんか?』と問い合わせいただくことが多いですね。トラックに積んだままずっとうろうろしている。どこも受け入れを制限していて、持っていく先がないようなんです」
搬入を断られ続けた業者は、どこへ向かうのか。行き先は想像に難くない。
売り先を失った先に生じる「分別の行き詰まり」
ここまで見てきた「再生品の売り先がない・あっても使われない」という状況は、中間処理業者の「分別の行き詰まり」という問題も引き起こす可能性がある。
分別には手間とコストがかかる。熟練作業員の人件費、選別機械への投資、電気代。磁力選別機、風力選別機、振動ふるい——設備によっては、数百万円から数千万円するものもある。
しかし、分別して再生品を作っても売れなければ、分別コストの分はもちろん、最終処分費も余計にかかってしまう。
実際の現場では、どこまで分別するかは各社のコスト計算による。人手をかけて細かく分別する企業もあれば、最低限の分別に留める企業もある。さらに、複合素材や汚れの激しいものなど、そもそも分別が困難な廃棄物も存在する。
こうした中、分別して再生品にしても売り先が見込めない廃棄物は受け入れ制限になってしまい、滞留してしまう恐れがある。
売り先の喪失 → ヤード滞留 → 新規受け入れ制限 → 行き場を失う廃棄物 → 不法投棄リスク
排出・解体から中間処理の段階で生じるこの流れは、価格・需要・規制・品質といった複数の要因が重なり合う中で発生している。
そして、この構造が温存され続けると、現在と未来においてさまざまなリスクが発生する恐れがある。次回はそれらの問題を詳しく掘り下げていく。


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