保険証があっても、医療に適切につながれない人がいる——。
本特集で扱うのは、観光で一時的に滞在する外国人や、医療目的で来日する人たちの話ではない。日本で働き、学び、暮らし、保険料や税を負担しながら生活している在住外国人と、その家族の医療アクセスの問題だ。
日本で暮らしている私たちにとって、体調が悪ければ病院に行く、けがをすれば診てもらう、保険証を出せば医療費の負担は一定程度抑えられる……という感覚は、かなり身近なものだろう。
だが、その「当たり前」は、誰にとっても同じではない。
言葉の壁、制度への不慣れ、多言語情報の不足、医療機関側の受け入れ体制の限界。そうした壁が重なることで、日本で生活基盤を築き、制度の中にいるはずの外国人が、病気やけが、妊娠・出産といった場面で、必要な医療に適切につながれないことがある。
「脳梗塞になった日本語の不自由な患者さんがいました。専門医から『入院して精密検査しましょう』と言われたのに、その方は入院を嫌がったんです。
理由を尋ねると、『以前入院した時に40万円もかかった。そんなにお金がかかるなら、入院なんてできるわけがない』と。
でも、日本の制度では、健康保険に入っていれば40万円も払うことは基本的にありません。その方は日系人で保険に加入しているにもかかわらず、医療費が軽減される高額療養費制度の仕組みを知らず、制度を十分に使えていなかったのです」
こう話すのは、神奈川県の港診療所で多くの外国人を診療している沢田貴志さんだ。

神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所所長。特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会理事。千葉大学医学部卒業。総合内科専門医。公衆衛生士。都内総合病院で勤務後にフィリピンでスラムや被災地の医療活動に参加。1991年から港町診療所に勤務し、多くの外国人の診療に携わる。NPOでの外国人の無料健康相談、自治体と連携した医療通訳制度の構築などにも参画。東京大学大学院など5大学で非常勤講師を経験
外国人をめぐって、いま日本では「負担」や「摩擦」を強調する言説が注目を集めている。オーバーツーリズム、治安不安、医療費をめぐる問題。そうした論点を無視することはできない。
しかし、その陰で見えにくくなっている現実がある。
すでにこの社会で働き、学び、暮らしている人たちを、医療や地域の仕組みは十分に支えられているのか。
リディラバジャーナル構造化特集、「外国人の健康」。今回はこの問いを中心に、在住外国人が必要な医療に適切につながりにくい構造を明らかにしていく。
医療アクセス困難の実態と背景
在住外国人の健康をめぐる問題を考えるうえで、まず押さえたいのは、日本で暮らす外国人の多くが保険制度の外にいるわけではないということだ。
在留資格を持ち、日本に3カ月を超えて滞在する外国人は、原則として住民基本台帳に登録され、医療保険への加入義務が生じる。

法的には、医療にアクセスできる前提が整っている。だが実際には、保険に加入し、保険料を納めていても、必要な医療につながりづらい人がいる。
日本に定住して18年、現在は医療通訳として活動するベトナム国籍のDinh Thi Hong Nhung(ニュン)さんは、こう話す。

ベトナム出身。日本に定住して18年。医療通訳として、外国人住民が安心して医療を受けられるよう、医療機関と患者双方をつなぐ支援に携わる。言語面だけでなく、文化や生活背景の違いにも配慮した通訳・相談支援を行っている
「在留資格や教育レベルにかかわらず、健康や医療に関する知識が十分でない人は少なくありません。たとえ母国語でも、症状や困りごとをうまく伝えられない。外国人にとって、病院に行き、適切な治療を受けることは決して当たり前ではありません」
ニュンさんのもとには、日本で働くベトナム人やその家族から、原因不明の体調不良、妊娠・出産、子育てなどに関する相談が寄せられているという。
「病院の仕組みがわからない、医療知識がない、手続きも多言語対応されていない。そうして医療につながりにくい状況に陥ると、自分で症状に対処しようとしたり、不調を抱え込んだりする人も少なくありません」
日本における外国人の医療アクセスの障壁と促進要因を検証した初のシステマティックレビュー(Yu Par Khinら、2025)(※1)では、次のように報告されている。
「日本では公的医療保険制度が整っているにもかかわらず、在住外国人は必要な医療につながりにくい状況に置かれることがある。
その背景には、公式な医療情報の多くが日本語で提供されていること、医療制度への不慣れ(受診方法、処方手続き、支払い制度)、医療機関側の言語・文化的対応の未整備、通訳体制の不足などがある。
さらに、文化的差異やコミュニケーション不足による不満や不信も重なり、受診の遅れや治療中断、母国での治療への移行といった事態にもつながっている」
編集部の取材でも、背景には複数の壁があることが見えてきた。

※短期滞在者、医療目的で来日した人、在留資格を失った人などは、公的医療保険の適用関係が異なる。難民申請者などについても、個々の在留状況によって扱いが異なる
医療アクセス困難の影響は、単に「受診が遅れる」にとどまらない。ニュンさんはこう話す。
「たとえば『文化の壁』で言えば、祖母や母から受け継がれてきた言い伝えや民間療法を、いまでも信じて実践する人がいます。ベトナムでは『パパイヤの葉のお茶を飲めばがんが治る』など、科学的根拠のない方法が選ばれることがあります。
自己判断で対処が続き、医療機関を受診する頃には症状が進行し、重症化しているケースも見られます。
ほかにも、日本の医療制度を知る機会がないために、国内では違法とされるSNS上での薬の売買をしてしまったり、アクセス困難を一因にさまざまな要因が重なって予期せぬ妊娠につながってしまうこともあります」
もちろん、こうした困難はすべての外国人に同じように起きるわけではない。日本語能力、在留資格、収入、職場や学校の支援、周囲に相談できる人がいるかどうかによって、状況は大きく異なる。
しかし重要なのは、医療につながりにくい状況が、個人の努力不足だけで生じているわけではないということだ。
必要な情報が届かない。制度の前提が共有されていない。相談できる窓口がわからない。通訳や支援の体制が十分ではない——。
そうした社会の側の準備不足が重なることで、在住外国人の健康リスクは高まっている。詳しくは第1章「在住外国人の健康問題の実態」で見ていく。
「これから大きくなる問題」としての外国人の健康
では、なぜこの問題をいま考える必要があるのか。背景にあるのは在留外国人の増加だ。
2025年6月時点の在留外国人数は約395万人と過去最高を更新し、前年から5.0%増加した(※2)。外国人労働者数も同年10月末時点で257万人を超え、過去最多を記録している(※3)。


製造業、建設業、宿泊業、医療・福祉など、人手不足が深刻な分野を外国人労働者が支えている。日本全体に占める外国人比率は約3%だが、20代人口に占める割合を見ると約9.5%と若者が多い(※4)。
近年は就労をはじめ留学、家族滞在の人々も増え、外国人はもはや一時的な「外から来た人」ではなく、地域で働き、学び、暮らす隣人になっている。

それは、医療や福祉との接点が今後さらに増えていくということでもある。
在住外国人への支援活動を行なっているNPO法人CINGAの新居みどりさんは、なかでも妊娠・出産、子育ての領域に注目している。

NPO法人国際活動市民中心(CINGA[シンガ]/Citizen's Network for Global Activities)コーディネーター。多文化共生、外国人相談支援、日本語教育、やさしい日本語の普及などに携わる。青年海外協力隊員としてルーマニアに赴任。帰国後、早稲田大学大学院文学研究科修了。東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター、国際移住機関(IOM)コンサルタント等を経て、現職。法務省「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」に関する有識者会議委員、文化庁「日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」委員なども務める
「若者の約10人に1人が外国人という中で、今後出産や子育てに関する課題も増えていくと考えています。
妊娠・出産は、本人だけでなく家族や自治体、福祉とも関わるため、医療だけでは完結しません。母子健康手帳の取得や健診、各種支援の利用など、制度と関わる場面も一気に増えます。
日本語や制度の理解が十分でない場合、必要な支援につながりにくくなることがあります」
病気やけがで医療機関を受診することだけが、外国人の健康問題ではない。
妊娠・出産、子育て、メンタルヘルス、慢性疾患、健康診断後のフォロー、障害や福祉サービスとの接続。日本での暮らしが長くなるほど、医療と生活は切り離せなくなる。
もちろん在住外国人は、日本で生活する以上、日本の制度やルールに一定程度適応することが求められる。
だが、日本側の受け入れ体制は、十分に整ってきたとは言いがたい。
たとえば日本では、長らく日本語能力を在留資格取得や永住許可の明確な要件として位置づけてこなかった。一方で、行政や医療における多言語対応は後手に回ってきた。
その結果、日本語が十分でない人々の生活や医療の課題は、個人の努力や適応の問題として扱われがちだった。
外国人の健康をめぐる問題は、これから突然生まれる問題ではない。すでに各地の現場で起きてきた問題が、在住外国人の増加によって、より見えやすくなっているのだ。
病院に行く前にも、行った後にも壁がある
在住外国人が医療につながりにくい背景には、本人と医療機関の間にいくつもの課題がある。
まず、職場や学校だ。
働く外国人や留学生にとって、職場や学校は日常的に接する身近な場所であり、体調不良や困りごとの最初の相談先になりやすい。
だが、そこから医療へつなぐ役割が、制度として明確に位置づけられているわけではない。
企業には、労働者に定期健康診断を受けさせることが義務づけられている。しかし、異常が見つかった後、再検査や精密検査の受診につなげるために、職場がどこまでフォローするのかは曖昧だ。
加えて、健康問題はプライベートな領域でもある。本人から相談がなければ、職場としてもどこまで踏み込むべきか判断しにくい。特に外国人の場合には、言葉の壁や制度への不慣れ、雇用への不安などが重なることもある。健康に不安を覚えても、そのまま受診を先延ばしにしてしまうケースが生じ得る。
こうした構図は、留学生を受け入れる学校でも共通している。
学校には法令に基づく保健体制があるものの、保健室や大学の保健センター、学生相談体制の充実度には学校ごとの差が大きい。医療機関への受診支援も、教職員や医療者の判断に委ねられやすい。
体調不良に気づく人がいても、どこまで踏み込むべきか。医療機関に同行するのか。通訳はどうするのか。費用や制度の説明は誰が担うのか。現場が抱える悩みは大きい。
そして、ようやく医療機関につながった後にも、別の課題がある。
外国人患者の診療では、症状や制度の説明、通訳の手配、専門医への紹介など、通常の診療に加えて調整業務が生じやすい。だが、こうした対応を支える仕組みは十分に整っていない。
背景には、そもそも日本の病院の多くが、人手不足や経営悪化などで逼迫している現実がある(詳しくは構造化特集「地域医療」参照)。

現場で外国人診療にあたっている港診療所の沢田さんはこう話す。
「『先生、患者さんを診るより電話している時間の方が長いんじゃないですか』と、診療所のスタッフに言われたこともあります。ですが、電話で外国人の患者さんや病院からの相談を受け、情報提供をしている時間はほとんど診療報酬にはなりません。
外国人を一生懸命ケアしようと思うと、経営的にはマイナスになりがち。だから受け入れる病院は増え難い構造になっています。外国人からお金をとればいいじゃないかという人がいますが、ほとんどの外国人は低賃金のぎりぎりの状況で就労している人たちです。そうした人たちのことを無視した議論が進んでいます」
診療に必要な対応をどこまで提供できるかが、個々の医療機関の努力に委ねられている。その結果、対応できる医療機関に負担が集中し、体制も広がりにくい。
さらに、各ステークホルダーに共通する大きな課題である「言葉の壁」を埋める役割を担う「医療通訳」も、制度的に十分に支えられているとは言い難い。
医療通訳は、診療内容や症状、治療方針などを正確に伝え、外国人と医療者の意思疎通を支える専門的な通訳である。
だが、その費用を誰が負担するのかという制度上の答えはない。一般社団法人日本医療通訳協会の代表理事・奥義久さんは、こう話す。

一般社団法人日本医療通訳協会・代表理事。元IT企業役員・ソフトウェア開発会社経営。ITスクール事務局長を経て医療通訳専門学校理事長。2014年3月協会を設立に協力、2015年度より現職。同協会にて、医療通訳に関する教育・啓発、検定試験の実施、医療通訳者の育成・資格認定、医療機関との連携推進などに取り組む
「医療通訳はインバウンドの富裕層に対しては、通訳者の費用もビジネスで成り立ちますが、在留の外国人は通訳費を自己負担出来ず、無償低額の通訳費になっています。
『命の通訳』にもかかわらず二重価格体系となっており、在留外国人の通訳に対しては国の補助が必要でないかと考えます」
言葉の壁を埋める支援は不可欠であるにもかかわらず、その担い手を支える仕組みは弱い。
結果として、通訳対応の負担は、病院、自治体、支援団体、ボランティアに分散される。善意に依存する状態が続けば、医療通訳を安定的に確保・育成することも難しくなる。
「個人の問題」ではなく、受け入れる社会構造の問題
ここまで見てきたように、在住外国人の健康をめぐる問題は、単に「外国人が日本の制度を知らない」という話ではない。
もちろん、日本で暮らす以上、日本の制度やルールを理解することは必要だ。だが、その理解を支える情報や相談先が届かなければ、制度はあっても使えない。
病院に行きたくても、症状をどう伝えればいいかわからない。
健康診断で異常を指摘されても、次に何をすればいいかわからない。
妊娠や出産で支援が必要になっても、母子保健や福祉の制度にたどり着けない。
こうした困難は、本人の能力や意欲だけで乗り越えられるものではない。
むしろ問われているのは、日本社会が、外国人を労働力や留学生として受け入れながら、その人たちが病気になり、妊娠し、子どもを育て、年齢を重ねていくことを、どこまで現実のものとして想定してきたのかということだ。
日本ではこれまで、移民政策を正面から議論しないまま、人手不足を補う働き手として外国人を受け入れてきた。その現状や課題については、構造化特集「外国人技能実習制度——移民政策なきこの国で」で詳しく扱った。
本特集で焦点を当てるのは、その先にある暮らしだ。働き手や留学生として受け入れた人びとが、地域で生活する中で病気になり、妊娠し、家族を持ったとき、必要な医療や支援につながれる仕組みは整っているのか。
本特集では、在住外国人が必要な医療につながりにくい構造を、3つの視点から見ていく。
まず、当事者が医療にたどり着くまでに、どのような壁があるのか。
次に、職場、学校、医療機関、医療通訳など、受け入れる側の現場で何が起きているのか。
そして最後に、そうした現場の努力を支える制度や自治体・国は、どのような課題を抱えているのか。
短期滞在者や医療目的の来日者など、前提の異なる人びとへの対応も、実際には同じ医療現場に集まってくる。その混線が病院に何をもたらしているのかは、医療現場を扱う回で見ていく。
各記事の紹介
第1章 在住外国人の健康問題の実態

<第1回 病院に行けないまま、命の危機にも——。在住外国人の医療アクセス困難が生む問題>
制度上は、医療を受けられる前提がある在住外国人。だが中には、体調が悪くてもすぐに病院へ行けず、SNSや知人を頼って自己判断で対処する人たちもいる。その結果、受診した時には症状が進行し、重い状態になっているケースも少なくない。
医療アクセスの困難は、受診の遅れや治療中断にとどまらない。症状の重症化、妊娠・出産をめぐる孤立、医療機関を介さない薬のやりとり、さらには本人が知らないまま法令に触れるリスクにもつながっている。
在住外国人が必要な医療につながれないことで、当事者の生活にどのような影響が及んでいるのか。その実態から見ていく。
<第2回 病院に行くのをためらう——在住外国人を遠ざける言葉・お金・文化の壁>

第1回で見たような問題は、なぜ起きてしまうのか。
まず立ちはだかるのが、言葉の壁だ。日常会話ができても、自分の症状を正確に伝え、医師の説明を理解し、検査や治療に同意することは簡単ではない。
さらに、医療費だけでなく、経済的な負担も受診を遠ざける要因になる。妊娠や出産の場面では、母国との医療文化の違いや不安が重なり、誰にも相談できないまま孤立してしまうこともある。
在住外国人が必要な医療や支援につながりにくくなる背景を、言葉、経済、文化・心の壁から見ていく。
<第3回 制度はあっても、届かない——在住外国人を阻む情報不足と制度の壁>

在住外国人の医療アクセスを阻む壁は、言葉やお金、文化の違いだけではない。制度や支援策があっても、その存在や使い方を知らなければ、必要なときに利用することはできない。
そもそも日本の医療制度は複雑だ。日本で生まれ育った人には当たり前に見える仕組みも、海外から来た人にとってはわかりにくいことがある。また、公的機関が情報を発信していても、その情報にたどり着きにくかったりすれば、支援は届きにくい。
情報不足と制度のわかりにくさから、在住外国人が医療につながりづらい構造を見ていく。
第2章 在住外国人を受け入れる側の課題

<第4回 対応したくても、支えきれない——医療現場が外国人患者対応に悩む理由>

外国人であることだけを理由に診療を断ることは、原則として認められない。実際、多くの医療機関では、目の前の患者に必要な診療を提供しようとしている。
しかし、言葉の壁、制度理解の差、通訳や事務手続きの負担、退院後の受け皿の少なさなどが重なると、現場では「対応したくても対応しきれない」場面が生じる。
外国人患者への対応は、通常の診療に加えて、制度説明、通訳の手配、紹介先の調整、個別事情への対応など、多くの負担を伴う。一方で、それらを十分に支える仕組みはまだ整っていない。医療現場が外国人患者対応に悩む構造を見ていく。
<第5回 医療への橋渡しを誰が担うのか——職場や学校に委ねられる外国人支援>

働く外国人や留学生にとって、職場や学校は日常的に接する身近な場所であり、体調不良や困りごとの最初の相談先になりやすい。
しかし、職場では健康診断後のフォローの責任範囲が曖昧であり、特に外国人が多く働く小規模事業所では、産業医などの健康管理体制も限られやすい。学校でも、大学ごとの保健体制によって、支援の受けやすさに差が生じている。
在住外国人を医療につなぐ役割を持つ、受け入れ現場の抱える課題を見ていく。
<第6回 患者か、病院か、自治体か——医療通訳を誰が支えるのか>

外国人患者と医療者のあいだで、症状や診療内容、治療方針を正確に伝える医療通訳。言葉の壁を埋め、必要な医療につなぐうえで欠かせない役割を担っている。
しかし、その体制は十分に整っているとは言いがたい。医療通訳の提供は法的に義務づけられておらず、診療報酬としても評価されていない。そのため、費用を誰が負担するのか、どの場面で利用できるのかは、自治体や医療機関ごとの判断に委ねられている。
必要性が高まりながらも、制度上の位置づけや財源が曖昧なまま、現場の善意に支えられている医療通訳の構造を見ていく。
第3章 支援の仕組みをつくる難しさ
<第7回 地域で変わる、在住外国人の医療アクセス——支援の仕組みづくりはなぜ難しいのか>

在住外国人が体調不良や生活上の困りごとを抱えたとき、医療機関にたどり着く前の段階から、地域で相談や支援につながれる体制が必要になる。
しかし、その支援体制は地域によって大きく異なる。国はワンストップ型相談窓口の整備や外国人支援コーディネーターの育成などを進めているが、連携や仕組みの構築においては課題がある。
地域で暮らす外国人を生活者としてどう支えるのか。自治体や国の取り組みの現状と課題を見ていく。
※1 Khin YP, Owusu FM,Nawa N*, Surkan PJ, Fujiwara T. Barriers and facilitators for healthcare access among immigrants in Japan: A mixed method systematic review and meta-synthesis. The Lancet Regional Health – Western Pacific. 2025 Jan;54(1):101276.
※2 法務省 出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
※3 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
※4 共同通信社「【独自】20代外国人比率9.5% 10年で倍、社会保障の支え手に」
※2026年6月19日:「各記事の紹介」に第2回〜4回の記事のリンクと画像を掲載しました
※2026年6月30日:「各記事の紹介」に第5回〜7回の記事のリンクと画像を掲載しました。また、仮題としていた記事タイトルを更新しました

