保険証があっても、必要な医療につながりづらい&mdas
保険証があっても、必要な医療につながりづらい——。日本で暮らす在住外国人が増える一方、言葉や情報、制度、経済的負担などの壁が重なり、医療アクセスに困難が生じている。在住外国人が健康の困りごとを抱える要因、職場・学校・医療機関など受け入れ現場の課題、医療通訳や地域支援を支える仕組みの弱さ。在住外国人が必要な医療につながりにくい社会の構造を明らかにする。

保険証があっても、必要な医療につながりづらい——。日本で暮らす在住外国人が増える一方、言葉や情報、制度、経済的負担などの壁が重なり、医療アクセスに困難が生じている。在住外国人が健康の困りごとを抱える要因、職場・学校・医療機関など受け入れ現場の課題、医療通訳や地域支援を支える仕組みの弱さ。在住外国人が必要な医療につながりにくい社会の構造を明らかにする。
保険証があっても、必要な医療につながりづらい——。日本で暮らす在住外国人が増える一方、言葉や情報、制度、経済的負担などの壁が重なり、医療アクセスに困難が生じている。在住外国人が健康の困りごとを抱える要因、職場・学校・医療機関など受け入れ現場の課題、医療通訳や地域支援を支える仕組みの弱さ。在住外国人が必要な医療につながりにくい社会の構造を明らかにする。
リディラバジャーナル構造化特集「外国人の健康〜保険に入っていても、医療につながりにくい社会〜」。
第1回となる本記事では、在住外国人の健康問題の実態(1章)として、在住外国人が必要な医療につながりにくいことで、どのような問題が起きているのかを見ていく。

「体調が悪くても、すぐに病院には行かない。SNSで母国語の情報を探し、自分で何とかしようとする。その結果、病院に行ったときには、すでに症状が進んでいることも少なくありません」
日本に18年暮らし、医療通訳としても活動するベトナム国籍のDinh Thi Hong Nhung(ニュン)さんは、そう語る。

ベトナム出身。日本に定住して18年。医療通訳として、外国人住民が安心して医療を受けられるよう、医療機関と患者双方をつなぐ支援に携わる。言語面だけでなく、文化や生活背景の違いにも配慮した通訳・相談支援を行っている
日本には公的医療保険制度がある。原則として、3ヶ月以上日本に暮らす外国人は公的医療保険に加入する義務があり、医療を受けることができる。
しかし、制度上は医療を受けられるはずでも、実際には必要な医療につながれない人たちがいる。
病院に行くのが遅れる。
受診しても、症状や治療内容を十分に伝えられない。
治療を続けられない。
医療機関ではなく、SNSや知人を頼って自己判断で対処してしまう。
あるいは、日本での治療を諦め、母国での治療に切り替える——。
こうした問題は、単に「病院に行くのが遅れる」「途中で治療が終わる」という話にとどまらない。
支援者に取材すると、症状の重症化、予期せぬ妊娠や孤立出産、医療機関を介さない薬のやりとり、さらには本人が知らないまま法令に触れるリスクにもつながっていることが見えてきた。
在住外国人の医療アクセス困難は、当事者の生活にどのような影響を及ぼしているのか。まずはその実態から見ていく。
「病院に行けた時には、すでに重い」——治療の遅れが命を脅かすことも
医療アクセスの困難は、最終的には健康状態の悪化という形で表面化する。
ニュンさんは、受診の遅れによって深刻な状態に至るケースについて、次のように語る。
「私の周囲にいるベトナム人を見ていると、体調が悪くてもすぐに病院に行かず、しばらく様子を見てしまう傾向があります。SNSなどで母国語の情報を探し、自分で判断して対応しようとすることも多いです。
その結果、受診のタイミングが遅れ、病院に行った時には症状が進んでいて、重い状態になっているケースも少なくありません」
神奈川県の港診療所で多くの外国人患者を診療している沢田貴志さんも、同様の実態を語る。

神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所所長。特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会理事。千葉大学医学部卒業。総合内科専門医。公衆衛生士。都内総合病院で勤務後にフィリピンでスラムや被災地の医療活動に参加。1991年から港町診療所に勤務し、多くの外国人の診療に携わる。NPOでの外国人の無料健康相談、自治体と連携した医療通訳制度の構築などにも参画。東京大学大学院など5大学で非常勤講師を経験
「高血圧、糖尿病などを抱える方が多くがんや心臓病の方もいますが、やはり言葉の壁によって医療機関に行くのが遅れてしまったり、病院に行っても十分にコミュニケーションが取れなかったりするケースはよく見られます。
それから、パートタイムや常勤ではない働き方の方も多く、常勤でも立場が弱く休みがなかなか取れないために病院に行けず、自分の国から薬を送ってもらってたケースもあります。『糖尿病の薬を送ってもらっているけれど、血糖値は測っていない』といったこともあります。
糖尿病では食事療法も必要ですが、『お豆腐を食べましょう』と言われても、そもそも食べる習慣がない人もいます。教える側にとっても指導が難しく、うまくコントロールできないことがあります」
受診の遅れ、自己判断による対処、言葉や生活習慣の違いによる治療継続の難しさ——。こうした要因が重なることで、適切な治療の機会を逃し、症状が重くなることがある。
支援が必要な人ほど、制度にたどり着けない
さらに沢田さんは、重い病気がありながら、医療と福祉の支援に十分つながれない外国人患者がしばしばいると話す。
「去年、病状が重くなり生活保護にしなければ治療開始が困難な状況にある、前白血病状態の患者さんがいました。

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