保険証があっても、必要な医療につながりづらい&mdas
保険証があっても、必要な医療につながりづらい——。日本で暮らす在住外国人が増える一方、言葉や情報、制度、経済的負担などの壁が重なり、医療アクセスに困難が生じている。在住外国人が健康の困りごとを抱える要因、職場・学校・医療機関など受け入れ現場の課題、医療通訳や地域支援を支える仕組みの弱さ。在住外国人が必要な医療につながりにくい社会の構造を明らかにする。

保険証があっても、必要な医療につながりづらい——。日本で暮らす在住外国人が増える一方、言葉や情報、制度、経済的負担などの壁が重なり、医療アクセスに困難が生じている。在住外国人が健康の困りごとを抱える要因、職場・学校・医療機関など受け入れ現場の課題、医療通訳や地域支援を支える仕組みの弱さ。在住外国人が必要な医療につながりにくい社会の構造を明らかにする。
保険証があっても、必要な医療につながりづらい——。日本で暮らす在住外国人が増える一方、言葉や情報、制度、経済的負担などの壁が重なり、医療アクセスに困難が生じている。在住外国人が健康の困りごとを抱える要因、職場・学校・医療機関など受け入れ現場の課題、医療通訳や地域支援を支える仕組みの弱さ。在住外国人が必要な医療につながりにくい社会の構造を明らかにする。
リディラバジャーナル構造化特集「外国人の健康〜保険に入っていても、医療につながりにくい社会〜」
第7回となる本記事では、支援の仕組みをつくる難しさ(3章)として、国や自治体による医療アクセス困難解消の取り組みが進みづらい背景を明らかにする。

「行政が、社会の側が、もう少しきちんと受け止めてほしい」
医療通訳者として現場に立つニュンさんは、そう語る。
言葉や情報不足の壁、医療現場・職場・学校の限界、医療通訳を善意に委ねざるを得ない現状——。ここまでの記事では、在住外国人が医療につながりにくくなる構造を見てきた。
国や自治体も、こうした困難を解消するための仕組みづくりを進めてきた。だが、医療通訳や多言語案内、相談支援などの整備状況は地域によって差がある。結果として、在住外国人が医療につながれるかどうかは、暮らす場所にも左右されている。
今回は、佐賀県の医療通訳サポーター制度、埼玉県の健診促進事業、そして国の取り組みを取り上げながら、医療アクセスを支える仕組みづくりがなぜ難しいのかを見ていく。
オーナーシップ、医療現場の信頼、財源——佐賀県の医療通訳サポーター制度から見えること
在住外国人の医療アクセスを支える仕組みは、地域によって整備状況に差がある。
その中で佐賀県では、医療通訳を担うボランティアを養成・登録し、県内の医療機関や保健福祉施設へ無料派遣する体制を整えてきた。公益財団法人佐賀県国際交流協会(SPIRA)が運営する「医療通訳サポーター制度」だ。
患者や医療機関は通訳派遣を無料で利用でき、通訳者への謝金は県費で賄われている。
事業を担当する公益財団法人佐賀県国際交流協会の本村実枝子さんは、県費による医療通訳派遣が実現している背景をこう話す。

公益財団法人佐賀県国際交流協会(SPIRA・スパイラ)医療支援事業担当。佐賀県内の外国人住民に向けた医療通訳サポーター派遣、多言語通訳コールセンター運営、医療通訳研修など、医療アクセス支援事業に携わる。外国人住民が安心して医療を受けられる地域づくりを目指し、多文化共生・医療通訳分野で活動している
「支援すべき外国人住民の数が比較的限られていて、県費で支えられる規模感であるという点はあると思います。
そのうえで、在住外国人を『地域で共に暮らす仲間』として支えることに、県が公共事業としての意義を感じてくれた。そこが大きかったと思います」
制度を始められた背景には、事業を担う協会職員が長期的に関われる体制もあった。
担当者が入れ替われば、外国人住民との信頼関係や地域のネットワークも途切れやすい。「協会側が職員の継続雇用を判断してくれたことで、長期的な視点で事業に向き合えるようになりました」(本村さん)
県が課題に向き合う姿勢を持ち、担い手も継続的に関われる体制があったことが制度の立ち上げを支えた。
さらに、始まった制度を続けてこられた背景には医療現場からの理解と信頼がある。本村さんはこう話す。
「事業が始まる前、病院さんにヒアリングに行ったのですが『外国人の方が来てもね』『時間がかかるんだよね』と言われたこともありました。
ただ、サポーターの方々が丁寧に対応してきたことで少しずつ信頼が積み上がってきたと思います。いまでは通訳を医療チームの一員として受け入れていただき、『チーム全員で外国人患者を診よう』という関係が築けています」
佐賀県で医療通訳サポーター制度が実現し、継続してきた背景には複数の条件が重なっている。
支援対象の規模が県費で支えられる範囲にあったこと。県が在住外国人を地域を支える住民として捉え、事業の意義を認めたこと。担い手が長期的に関われる体制があり、医療現場との信頼関係を積み上げてきたことだ。
裏を返せば、地域に長期的なオーナーシップや運営体制がなく、規模に応じた財源も確保できなければ、同様の仕組みを立ち上げることは難しい。仮に制度を始められても、医療機関の理解や信頼を得られなければ継続は難しくなる。
実際、佐賀県の制度運営においても、継続的な実施に向けた検討は続いている。増え続ける依頼と予算に、制度のあり方や今後の運営について議論が行われている。
「佐賀県では『患者の自己負担にはしない』ということで進められています。ただ、予算も限られている中で、年々増え続けている予算請求に対して、いつまでも同じように対応し続けられるとは限りません」
補助金を活用した取り組み、継続には限界も——埼玉県の特定健診促進事業
もう一つ、自治体による取り組みの事例を見ていきたい。
埼玉県では、国民健康保険(国保)に加入する外国人住民の特定健診受診率を高めるため、市町村と連携した受診促進事業を行なった。

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