被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階において
被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。
被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。
時には「意識高い系」と、否定的なニュアンスで語られる社会貢献活動を行う学生団体。さらには日本ではあまり注目を集めることのない宗教団体。
7年前の東日本大震災の際、こうした組織が被災地支援において活躍していた。
前回の記事で初動で人を巻き込むことの重要性を紹介しましたが、今回の記事では初動が早く、多くの人を巻き込める組織にはどのような特長があるのかを見ていく。
「自分が社会を変えられる」感覚が行動を変える
岩手県陸前高田市広田町を拠点にまちづくりに取り組むNPO法人SET(岩手県)は、東日本大震災を機に発足した団体だ。
当初は「現地に行っても邪魔になるだけ」といった批判を浴びながらも、支援の実績を積み上げ、代表の三井俊介さんは卒業後、岩手県陸前高田市広田町に移住した。

2015年9月から陸前高田市議会議員も勤めるSET代表・三井俊介さん(三井さん提供)。
三井さんは震災前に行っていた学生団体の活動を通して、「自分が社会を変えられる」という感覚があったことが、自身の初動が早かった要因の一つではないかと語る。
「僕らはカンボジアでサッカー選手になりたい子供の夢を応援するために、サッカー大会を開いたり、ボールを寄贈したり、コーチを派遣したりしていました。自分たちが動けば、一つでも笑顔が増えて、少しでも(社会が)良くなっていくような感覚を持っていたんだと思います。これが『意識高い』と言われる所以だと思うのですが。そうした実感があるので、災害が起きた時に困っている人がいて、自分たちができることがあるならやろう、というこの動きがやっぱり速いと思うんです。『自分は勉強だけしていればいい』とか、『自分が動いたところで何も変わらない』と思っているとやっぱり動く人は少ないですし、『自分がやろう』とはなりにくいのかなと思います」

東日本大震災の被災地支援に関わったボランティアたち(三井さん提供)。
SETは当時、被災地支援のために活動したいという関西や北海道の学生団体とも繋がりがあったそうですが、そうした学生団体の活動は続かなかったと言う。
その理由について、三井さんは「自分たちが必要」という実感があるかないかが重要だったのではないか、と指摘する。
SETの場合は、広田町での活動を通してその実感を得た。
「広田という町に出合って、僕らがやめたらもう若者が来ないし、ボランティアも来なくなってしまうのではと思い、すごく自分たちの必要性を感じられたというのは(続けられた理由として)あるかもしれないですね」
まとめると、SETの初動が早かった要因の一つは、カンボジアの子どもたちへの支援活動などを通して「自分たちが何かできる」という実感があったことだ。
さらに、被災地に入ってから現地の人と関係性を築いて「自分たちの力が必要だ」という実感を持てたことが活動を継続する原動力となっていた。
「人を動かす力」を持っているか
同年代の学生を動かすためにはどのように働きかければいいのか心得ていたことも、初期段階ですぐに人を集めて行動できた要因の一つではないか、と三井さんは語る。
三井さんのように震災前から学生団体として活動していた人は「大人数の人々をマネジメントする経験」があり、それは災害ボランティアをマネジメントしていく上でも活かされた。
災害支援活動や防災活動に取り組む一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(東京都)の母体である、国際NGOピースボートも非営利組織としてボランティアマネジメントの経験を積んでいる。

1000人規模の船をまわす経験が災害支援にも活かされていると語る上島さん。
ピースボートは、船で世界を周る活動をしており、客船では3日に一度は避難訓練があるなど、船上の安全管理のオペレーションは徹底している。
一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター事務局長の上島安裕さんは、そうした船上でのオペレーションも災害支援に活かされていると話す。
宗教団体の底力「グローバルネットワーク」が発揮される時
学生団体の他にも被災地支援において活躍していたのが宗教団体だった。
宗教団体の持つ大きな強みと言えばその「ネットワーク」。
震災などの緊急時には、ネットワークを有していると、人やお金などの支援を集めやすくなる。
前述のSETなどの学生団体は、学生同士の繋がりを活かしてボランティアを集めていた。

神父さんが「お金は僕がどうにかするから」と言って事務所を貸してくれたと話す船登さん(写真右)。
同じく学生団体として、学生ボランティアと被災地で活動する支援団体のマッチングを行っていたNPO法人Youth for 3.11(東京都)代表の船登惟希(ふなと・よしあき)さんは、自らの学生ネットワークだけではなく、世界規模のネットワークを有する宗教団体についても言及する。
船登さんの知り合いのキリスト教系の教会関係者は、Youth for 3.11のために事務所を貸してくれたり、船登さんのインタビュー記事をキリスト教系の雑誌に掲載してくれたりしたという。
そのインタビュー記事を読んだ人が寄付をしてくれるなど、活動資金集めにもつながった。仏教関係者は現地で宿泊する部屋や食事を提供してくれたそうだ。
震災直後から福島県いわき市の避難所でボランティア活動をしていた東日本大震災支援文京ボランティアグループ(東京都)代表の加藤良彦さんも、イスラム教系の団体が資金集めをして、不足していた物資を送ってくれたと話す。
震災後2011年4月に結成された、宗教、宗派を超えた連絡組織「宗教者災害支援連絡会」代表の島薗進さんは、世界各国からの支援について、「仏教系の台湾の慈済会は緊急時に直ちに支援にかけつけ、必要な支援物資等を届けるので知られている。その他、日本からの支援活動で世話になったアジア諸地域の宗教団体が支援に来た」と振り返る。
文化庁が被災地の3241の宗教法人から回答を得た調査(2015年実施)によると、東日本大震災の被災者への支援活動として、義援金や見舞金などの「金銭による支援」(514件)、「物資の支援」(509件)、慰霊法要などの「宗教者としての活動」(252件)などが行われている。
被災した地域の宗教法人だけみても、多くの団体が支援活動に携わっている。
このように、災害発生時に支援のためにすぐに動くことができる組織の存在によって、救われる人々がいる。
初動が迅速な組織が社会のセーフティネットになる
非営利組織の中でも、東日本大震災の災害対応を通して、有事のための人員の必要性を感じた団体が動きはじめている。
被災地で子どもへの支援を行う認定NPO法人カタリバ(東京都)の今村久美さんは、有事の際にすぐに対応できる人員の確保をしておきたいと語る。

被災地の“放課後学校”「コラボ・スクール」を運営するカタリバ代表の今村さん。
「数人は余剰で人がいて有事の際に動けたり、組織の中で困ったチームに行けたりする状態にしたいと思っています。それを目指して採用活動を頑張っています。そういうふうにして、常に備えたいなと。ただ、それを実行するためには資金も必要です。寄付や事業費など様々な形でのファンドレイズも模索しています。そうして得た資金はきちんと人材に投資していきたいと思っています。人を育て、緊急時でもミッションに柔軟に対応できるように、今年チャレンジしようとしています」
調達した資金を人材に投資し、常に緊急時に備えていける組織にしていけるよう、採用活動やファンドレイジングに励んでいる。
前述のピースボート災害ボランティアセンターは東日本大震災を機に、継続的な支援活動を行うため、NGOピースボートから独立した組織となった。
平時から災害ボランティア派遣を中心に国内外の災害支援活動と防災・減災の取り組みを行っている。
こうした組織はまだ社会全体には多くはないが、緊急時に迅速な対応ができる組織は、社会全体のセーフティネットを担っていくことになるだろう。
【まとめ】
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学生団体や宗教団体などが、東日本大震災の際、被災地支援において活躍していた。
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被災地支援において活躍した組織の特長として、「自分が動けば何かが変わる」という実感や、多くのボランティアを動かす経験、(人やお金を集められる)幅広いネットワークなどを有していることが挙げられる。
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平時より、組織内に有事の際に備えた人員を確保しておくことで、災害時に迅速な対応ができる。そうした組織が社会全体のセーフティネットとなり得る。
【問いかけ】
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有事の際に、組織として被災地の支援をするとしたらどのようなことができますか。
編集後記
企業のサポートもまた、被災地で活動する非営利組織やボランティアたちを支えていました。
中でも、自由度が高く、継続的な支援ほど役に立ったと取材先の人々は話します。
売り上げの一部を寄付するといった形で、多くの人を巻き込んで支援につなげる仕組みは有り難いという話もありました。
一方で、災害支援のために受け取ったお金を着服していたといった理由から非難される団体もあり、それによって非営利セクター全体が信頼を得にくくなることへの危機感も取材の中で感じられました。
社会的に意義のある活動がきちんと評価され、そこにお金などの支援が流れていく仕組みも必要とされています。
次回は実際に被災地でボランティアをする上で直面するジレンマや、ボランティアに必要な心構えを振り返ります。

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