• 新しいお知らせ
    ×
    • 特集「子どもの体験格差」第8回を公開 リディラバ安部が考える「子どもの体験格差」

      構造化特集「子どもの体験格差」第8回を公開しました。技術革新が急速に進むこれからの時代において「体験」がより重要な意味を持つ背景など、現代の状況を踏まえた体験の重要性、さらには支援のあり方や目指す方向性について編集長の安部敏樹が語りました。記事はこちらから。

      2026/8/19(水)
構造化特集
被災地とボランティア 第7回
公開日: 2018/4/5(木)

「明日の災害」に、動き出せる準備を今しよう

公開日: 2018/4/5(木)
構造化特集
被災地とボランティア 第7回
公開日: 2018/4/5(木)

「明日の災害」に、動き出せる準備を今しよう

公開日: 2018/4/5(木)
構造化の視点

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階において

・・・もっと見る

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。


オーディオブック(ベータ版)

 リディラバジャーナル編集長の安部です。

 

全6回にわたる今回の特集、「被災地とボランティア:なぜ僕たちは被災地支援に行けなかったのか」はいかがだったでしょうか。

 

「初期段階での人の巻き込みと、支援の受け皿があること」「受け皿をきちんと把握し、外からのボランティアと上手に繋げていくコーディネーターの存在」「支援に入る側と地元の人との関係性」「継続的な支援につながるボランティアの満足感」「情報の発信」などが重要である事をみてきました。

 

これらが上手に機能することで、より多くのボランティアを長期的な視点で巻き込み、よりスムーズに復旧から復興段階に移行していく助けになることが今回の取材でわかってきました。

 

7年前の3月11日に生じた東日本大震災。それからの数ヶ月の事を、私は今でもよく思い出します。

 

リディラバは、直後から被災地でのスタディツアーの実施を検討しながらも、大学生の活動に向けたインターネット上での批判等を見ていく中で、スタディツアーを一度保留にし、別のアプローチに舵を切る事を決めました。

 

インターネット上で繰り広げられる、現地に行く事を自粛させてしまうような反応の根底には、今で言う「意識高い学生(笑)」たちへの抵抗感があったようにも思います。

 

しかしいずれにせよ、ボランティアという活動は人の共感を得て巻き込みの輪を大きくしてこそ力が発揮されます。

 

我々は被災地にボランティアを送る活動の開始を半年近く遅らせました。

 

その後実施した、我々のスタディツアーから被災地への移住を決めた若者たちもいました。

 

もっと早くから動き出していれば、もっと大きく被災地に貢献できた事があったのではないか。

その疑問が、今でも私の中で残っていた引っ掛かりです。

 

一方で、より早い段階から動き出した別のアプローチもありました。それが、被災地でのプライマリケアの医療支援プロジェクトを、裏方のロジスティックの面から担っていくという活動でした。

 

この活動の中で、外部からボランティアとしてサポートに来てくれる医療者と、現地のニーズのずれを感じる瞬間が数限りなく存在していましたし、その間を繋げる人がほとんどいない事にも危機感を抱きました。

 

今回の特集はそんな当時の疑問を起点に、7年経った今だからこそ振り返るべき点があるのではないかという想いから始めました。

 

取材の中で、私自身の被災地支援の実体験とリンクするようなお話を沢山伺い、どこの活動にも共通する構造があるのだなと改めて実感する機会にもなりました。

 

そうした東日本大震災における、災害ボランティアについての学びが本特集には詰まっていると思います。今後の災害対応にも生かせる教訓として残していければと思っています。

常に他人事としての災害

災害という問題の難しさは、誰もが当事者になりうる問題でありながら、当事者になるまでは「自分ごと」として考えにくいということです。

 

災害支援活動や防災活動に取り組む一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(東京都)事務局長の上島安裕さんの取材の中で印象的だった話があります。

 

保険のように、何かあった時のために事前に備えておく仕組みが必要と語る上島さん(右)と編集長安部。

 

「僕はなんで東日本大震災以降もここまで今の仕事を続けているかと言うと、実は現地で関わった(ボランティア)リーダーさんたちに責任を果たしたいという思いがあるんです。当時、リーダーさんたちが関わる事で、葛藤したことや苦労したことがすごくたくさんありました。だけれども、やはりリーダーの皆さんが関わってくださって、現場で事務局側にいた僕らはすごく助けられたし、そうやって助け合ってみんなで頑張ってきました。逆にそれで一回きりで終わりとなったら、被災した人たちに対しても申し訳ない。頑張ったボランティアの人たちからも何やってんだって言われそうだな、と」

 

そうした経験を踏まえて、「(ボランティア)リーダーのメンバーがこれを仕事にできるようにしてあげたいと思ったんです」と上島さんは言います。

 

「(当時は)絶対にできなかったんですけど。ボランティアリーダーが何百人いて、何億何千万かけて給料払うのかというと、そんなことはできない。だけれども、可能性としては、ある程度仕組みをつくってしまえばできるんじゃないかと思っているんです。それを実現させるために今動いているんですよ」

 

第二回の記事でもご紹介したとおり、実際に一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターは、東日本大震災を機に、母体であるNGOピースボートから独立した法人となりました。

 

ですが、「災害対応に対しては、災害が生じてからではないと予算が集まらない」と上島さんが指摘するように、いつ起こるか分からないことに予算をつけるのは現在の仕組みでは難しいことです。

 

上島さんだけでなく、今回の取材をさせていただいた復興支援一般社団法人RCF代表の藤沢烈さんも、災害に対して「保険と同じような仕組み」をつくることの必要性を話していました。

 

災害はいつ起こるか予測ができない。

 

だからこそ、平時であっても被災地支援のためにすぐに動けるプロフェッショナルが日本国内にもっと増えることが必要となる。

 

そこに保険として、毎年一定額、予算をつけることができれば、被害も減らせるはずです。

 

この二人の意見に、私はとても賛成です。

 

実際、医療支援の現場でも、国内には災害対応のプロジェクトマネジメントをできる人材が圧倒的に不足していました。

 

大人数のボランティアを上手くマネジメントしたり、交通や物資の手配や安全の管理をしたりする「コーディネーター」人材を育成すれば、いざという時に、一般市民のマンパワーや支援を最大限に活かすことができます。

 

こうした対策が有事の際の被害を減らすことにつながり、またそこでボランティアとして地域に関わりを持った人々が、復興の後押しもしてくれるという好循環を生み出す。

 

有事の対応は、平時の準備で決まります。

 

我々リディラバも、読者の皆さんにこういった情報をお伝えしていくとともに、長期的には災害時に迅速に対応できる組織にもなっていければ、と思うようになりました。

 

改めて今、東日本大震災や熊本地震などの先の事例での教訓を、次のアクションに活かしていきたいですね。

 

 

【今回の特集の参考文献など】

 

 <書籍>


・村井雅清『災害ボランティアの心構え』(SBクリエイティブ 、2011年6月)
・小田原 きよし『ヒトのチカラ。』(マーブルトロン/フォンツパブリケーション、2011年9月)
・岩井雪乃『学生のパワーを被災地へ!』(早稲田大学出版部、2012年2月)
・笠虎崇 『検証・新ボランティア元年』(共栄書房、2012年3月)
・岡本全勝、藤沢烈 『東日本大震災 復興が日本を変える』(ぎょうせい、2016年2月)
・神戸大学震災復興支援プラットフォーム編『震災復興学』(ミネルヴァ書房、2015年)
 
<報告書>

 

・「全社協 被災地支援・災害ボランティア情報」(社会福祉法人 全国社会福祉協議会)

https://www.saigaivc.com/
・「東日本大震災 災害ボランティアセンター報告書」(全国社会福祉協議会 全国ボランティア・市民活動振興センター、2011年)
http://www.shakyo.or.jp/research/11volunteer.html
・「東日本大震災に係る災害ボランティア活動の実態調査」(社会福祉法人 全国社会福祉協議会全国ボランティア・市民活動振興センター

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/volunteer/pdf/120625jittaichousa.pdf
・「防衛省・自衛隊における防災対策の取組について」(防衛省、第8回防災対策推進検討会議資料、2012年)
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/suishinkaigi/8/pdf/2.pdf
・「広域避難者支援団体のネットワークづくりのための活動実態調査報告書」(東日本大震災支援全国ネットワーク、2012年6月)
http://www.jpn-civil.net/2014/archive/docfiles/Kouiki_Report_201206.pdf
・「東日本大震災における宗教法人の復興状況に関する調査報告書」(文化庁文化部宗務課、2016年3月)
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/higashinihon/pdf/h27_chosa.pdf
・「平成29年度予算案・税制改正概要」(内閣府防災担当、2016年12月)

http://www.bousai.go.jp/taisaku/yosan/pdf/29_yosan_1222.pdf
・「東日本大震災からの復興の状況と取組」(復興庁、2018年1月)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat7/sub-cat7-2/201801_Pamphlet_fukko-jokyo-torikumi.pdf
・「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について
 (第157報)」(消防庁災害対策本部、2018年3月7日)
http://www.fdma.go.jp/bn/higaihou/pdf/jishin/157.pdf

・ピースボート災害ボランティアセンター活動報告書(2011年度〜2016年度)

https://pbv.or.jp/about_pbv

 

<記事・論文・ブログ等>

 

・「阪神・淡路大震災におけるボランティアの活動と今後の課題」(高梨成子容、吉井博明日、総合都市研究第57号p.125~p.139、1995年) http://www.ues.tmu.ac.jp/cus/archives/cn17/pdf/58-09.pdf
・「災害時におけるボランティアの受入体制とネットワーク化に関する報告書」(愛知県 防災局 防災危機管理課、2009年1月29日更新)
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/bosai/0000012812.html
・「数値で見る『ふるさと回帰』の効果」(森田学、鴨志田武史、Best Value vol.22 p.50~p.53、2009年6月)
https://www.vmi.co.jp/jpn/bestvalue/pdf/bv22/bv22_09.pdf
・「個人ボランティアは、今は現地に行かないで」(蛯谷敏、佐藤大吾、2011年3月15日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110314/218984/
・「ボランティアは押し掛けていい」(ニューズウィーク日本版、2011年4月4日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/04/post-2035.php
・「国内の震災報道に見られた宗教の役割~宗教者による支援活動~」(藤山みどり、2011年4月29日)
http://www.circam.jp/reports/02/detail/id=1998
・「vol.229 グラフで見る東日本大震災(ボランティア編)」(レスキューナウ、2011年6月8日)
http://www.itscom.net/safety/column/229.html
・「被災自治体の後方支援体制の構築に向けて ―ヒアリングから見えてきた制度的課題― 」(難波悠、2011 年6月10日)
https://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/653.pdf
・「宗教界の震災支援が報道されない理由(1)~阪神・東日本大震災の比較より~」(藤山みどり、2011年8月22日)
http://www.circam.jp/reports/02/detail/id=2007
・「『若者を復興に巻き込みたい』被災地へ移住して起業を目指す大学生・三井俊介<インタビュー『3.11』第2回>」(ニコニコニュース、2012年3月1日)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw205901
・「災害ボランティア意識アンケート 調査結果」(Hack For Japan・ピースボート災害ボランティアセンター、2012年3月9日)
https://pbv.or.jp/others/20120309_questionnaires
・「ボランティアがつなぐ、被災地の養殖業復興 労働力提供、起業支援で生活再建を後押し」(岡田 広行、2014年9月27日)
https://toyokeizai.net/articles/-/49078
「災害時応援協定のすすめ~災害を乗り越える官民のパートナーシップ16ステップ~」(一般財団法人日本防火・危機管理促進協会、2015年2月)
http://www.boukakiki.or.jp/H26chousa_gaiyou.pdf
・「阪神・淡路大震災からのNPO・NGOの活躍と現在」(森田拓也、特集「再考-阪神大震災からの復興20年」p.58~p.69、2015年10月1日)
http://www.kiur.or.jp/file/hanshindaishinsai/04_morita.pdf
・「これまでの5年、そしてこれから(1)僕たちにしかできないことを考えた
3.11の夜」(特定非営利活動法人Youth for 3.11、2016年4月28日)
http://college.nikkei.co.jp/article/67233314.html
・「これまでの5年、そしてこれから(2)ボランティアで学生に求められる条件とは」(特定非営利活動法人Youth for 3.11、2016年5月12日)
http://college.nikkei.co.jp/article/67244514.html
・「これまでの5年、そしてこれから(3)息長く学生を現地に送れる仕組み作りを目指して」(特定非営利活動法人Youth for 3.11、2016年5月24日)
http://college.nikkei.co.jp/article/67255614.html

 

https://www.waseda.jp/inst/wavoc/news/2012/06/26/1059/
・「学生災害支援ボランティアの心得10か条」早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/graph/sp/index.shtml
・「データでみる阪神淡路大震災」(神戸新聞)
https://pbv.or.jp/blog/?p=918
・一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター オフィシャル・ブログ

  

編集後記

以上、全6回の特集記事と編集長安部のコラムでお送りした「被災地とボランティア:なぜ僕たちは被災地支援に行けなかったのか」、いかがでしたか。

 

 

皆さんが、被災地とボランティアのより良い関係性を築いていくために必要だと思うこと、経験を踏まえたご意見などを、コメント・シェアしていただけますと、編集部一同嬉しく思います。

 

リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
note
リディラバジャーナル編集部
noteのicon
「盗撮は麻薬」元教諭の告白。性犯罪の再犯を防ぐには【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2026年8月28日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

続きをみる
社会問題に興味がある人が集まるオンラインの場「リディラバジャーナルTalk」とは? (開催予定随時更新中!)
2026年8月22日
「副首都」7道府県が検討。県と市はなぜぶつかる?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2026年8月21日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

続きをみる
×
CONTENTS
intro
ボランティアの巻き込み
no.
1
no.
2
ボランティア活動の開始
no.
3
ボランティアの継続
no.
4
新たに人を呼び込むための情報発信・口コミ
no.
5
地域との長期的な関与
no.
6
安部コラム
no.
7