被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階において
被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。
被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。
「肝になるのは現地で長期滞在している(ボランティア)リーダーたちでした」
こう話すのは、災害支援活動や防災活動に取り組む一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(東京都)事務局長の上島安裕さん。
上島さんは、より多くのボランティアを巻き込むにあたって、ボランティアリーダーの存在が重要だったと語る。
現場で長期間活動しているボランティアリーダーたちが、過去にボランティアに参加してくれた仲間などに電話をかけて、困っている状況を説明し、ボランティアに来てほしいと伝えていたのだ。

つながりのある企業にも再度参加を呼びかけていたと話す上島さん。
学生ボランティアと被災地で活動する支援団体とのマッチングを行っていたNPO法人Youth for 3.11(東京都)代表の船登惟希(ふなと・よしあき)さんは、「Youth for 3.11のボランティアを知ったきっかけは、初期段階はツイッターが8割ぐらいだったのですが、後半になるとほとんど知人からの紹介でした」と話す。
人と人との繋がりがボランティアを呼び込む時に重要な要因となっていたのだ。
今回の記事では、より多くの人やモノ、お金を集める上で重要でありながら、様々な批判や葛藤を伴った情報発信のあり方について見ていく。

被災地支援を行うボランティアの数と関わり方を表した図。
ボランティアの巻き込みに影響する個人の情報リテラシー
ピースボート災害ボランティアセンターの上島さんは、SNSでの情報発信について次のように語る。
「すごく困ったことがあって、SNSにデマなどを書かれることがありました。ピースボートはそういったことを書かれやすい団体だから慣れているのですが、一方で災害対応をしている現場にも負担がかかるんです。それ(SNSで拡散されるデマ)に対してアクションしなければいけない。かつ支援をしようと思っている人たちが(ボランティアに)行くという行為に、ブレーキがかかってしまいます」
上島さんは「個人の発言が世の中にどれくらい影響を与えるかということを知って、情報を扱ったほうがいいと思います」と話します。
2012年2月14日から2012年2月24日までの期間に計1016人から回答を得た、ピースボート災害ボランティアセンターと Hack For Japanが実施したインターネットアンケートによると、「初めに何をきっかけに災害ボランティアを知りましたか?(※複数回答)」という質問に対して、「インターネット」という回答が39.5%、「家族・友人/知人から聞いた」という回答が21.8%。「Twitter」と「Facebook」のSNSは13.3%であった。
人と人との繋がりによる依頼や口コミに加えて、インターネットやSNSを通してボランティア活動を知る人も多くいた。
SNSの普及率が上昇していくにつれて、個人の情報発信の影響力もより大きくなっている。
だからこそ、情報の発信者であり、情報の受け手でもある個々人の情報リテラシーがボランティアの巻き込みに影響を及ぼす。
情報発信をする支援団体の葛藤
被災地の状況を知ってもらうために、あるいは人やモノ、お金を集めるためにメディアを活用して情報発信をする。
重要な仕事のように思われるが、必ずしもそうした行為が歓迎されるわけではないというのが、東日本大震災の被災地に入った支援団体が直面した現実だった。
認定NPO法人カタリバ(東京都)代表の今村久美さんは、東日本大震災後に被災地で子どもたちへの支援を始めた当時のことを振り返る。

人の気持ちを理解することの難しさを痛感したと話す今村さん。
「当初はお金も見通しが立たずにスタートし、クラウドファンディングも知りませんでした。なので、私は代表者として、できるだけメディアに出て話すことも仕事だったわけです。ですが、それもやっぱり地元の人たちの立場からすると、『目立ちたいんだろう』というように見られてしまって。『有名になりたいだけの支援のかたちだ』というようなことを言われたこともありました。とにかく人の気持ちを理解することがこんなに難しいんだということを自覚しました」
今村さんは、自分たちの手柄をひけらかすかのように捉えられてしまう可能性もあるため、情報発信に対しては「かなり慎重だった」と言う。
情報発信には「感情マネジメント」が大切
こうした情報発信のあり方について、今村さんは「感情マネジメント」が大事だったと振り返る。
「(情報を)見ている人たちや、現地に来ている人たちなど、マルチステークホルダーに対して感情をマネジメントして、秀逸なものを出していかなければならないということは、私たちももっと理解していかなければなりません」
そこで今村さんが重視したのは、活動に関わる人々の感情を考慮し、「地元の人と一緒に作り上げること」であった。地元のリーダーと協働して活動することを大切にして、発信の仕方にも気をつけることを学んだ。

オフィスの壁には、カタリバの行う様々なプロジェクトのロゴや写真が飾られている。
現在も運営している、被災地の放課後学校「コラボ・スクール」は活動地域ごとに校舎の名前が決まっている。
例えば、宮城県女川町は「女川向学館(おながわこうがくかん)」、熊本県益城町では「ましき夢創塾(むそうじゅく)」である。
これらは地元のキーマンとなっている人に名付けてもらったという。
こうした一つ一つの工夫によって、地域の人に、自分たちが中心となり、プロジェクトをつくり上げていく実感を持ってもらうようにしているのだ。
被災地支援についての情報を発信する際には、被災地の人々の感情を考慮して、ひとりよがりにならない発信をしていくことが求められる。
【まとめ】
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ボランティアのリピーターを呼び込む際には、長期的に現地で動いている人が築いた人間関係が肝になる。
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SNSでの発信はより多くのボランティアを巻き込むツールになるが、一方でデマが拡散されるなど、ボランティアを萎縮させることもある。
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被災地での活動を発信する際には、被災地の人々の感情を考慮した上で、ひとりよがりにならない情報発信をしていくことが重要になる。
【問い】
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より多くの人がボランティアに参加する動機づけとなる情報発信とはどのようなものでしょうか。
編集後記

泊まり込みで避難所の運営をサポートしていた加藤さん。
福島県いわき市の避難所で支援活動をしていた加藤良彦さんは、支援物資の需給調整のために、情報発信の必要性を痛感したと言います。
というのも、加藤さんが活動していた避難所には、支援物資としてカップラーメンがたくさん届いたのですが、体育館だったためにコンセントの数が足りず、ラーメンが禁止になっていたのです。
「避難所によって全然状況が違う」ため、「細かいニーズをちゃんと発信できるかどうか」が重要だったと加藤さんは指摘します。
次回は最終回。災害ボランティアを機に、被災地へ移住した人への取材などを基に、復興段階を踏まえた災害ボランティアの意義を探ります。

令和8年熊本地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、一日も早く被災されたみなさまの安全が確保され、平穏な日々を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。
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