子どもの不登校が増え続ける中、子どもと学校の関係性をど
子どもの不登校が増え続ける中、子どもと学校の関係性をどのように捉え、子どもの成長を見守っていけばいいのか。特集では子どもの権利、保護者支援、学校や地域における不登校支援などの観点から関係者にインタビュー。子どもを取り巻く構造から「学校を絶対視する」価値観を問い直す。

子どもの不登校が増え続ける中、子どもと学校の関係性をどのように捉え、子どもの成長を見守っていけばいいのか。特集では子どもの権利、保護者支援、学校や地域における不登校支援などの観点から関係者にインタビュー。子どもを取り巻く構造から「学校を絶対視する」価値観を問い直す。
子どもの不登校が増え続ける中、子どもと学校の関係性をどのように捉え、子どもの成長を見守っていけばいいのか。特集では子どもの権利、保護者支援、学校や地域における不登校支援などの観点から関係者にインタビュー。子どもを取り巻く構造から「学校を絶対視する」価値観を問い直す。
不登校の子どもが増えるなかで、学校外の居場所の一つとして注目されつつあるフリースクール。今回は、4箇所のフリースクールで働いた後、フリースクールネモ(千葉県習志野市)を立ち上げた前北海さんにフリースクールの運営について話を聞いた。
フリースクールとはどのような場所なのか。また学校以外の多様な選択肢を保障していくために何が求められているのか。

NPO法人ネモネット代表の前北さん。
場所よりも、どのように育っていくかが重要
――フリースクールに来るのはどんな子どもですか。
多くの子どもは不登校になった後にフリースクールに来ます。そもそも小学校に入学する前から学校以外の選択肢を検討することはあまりないですよね。
なので、フリースクールを選ぶ子どもは学校でいじめられていたり、セクシュアルマイノリティの子で生きづらかったり、すごく不安感が強い子だったりする。不登校は問題行動ではありませんが、心が傷ついていて、心身がマイナス状態になっている子もいます。
親が子どもをフリースクールに連れてきても、私は「無理して来なくていいよ」と言うこともあります。
――そういう子どもにはどのように声をかけるのでしょうか。
そういう場合は、まず家で休もうねって。家庭で育つことをホームエデュケーションという言い方をすることもありますが、ホームエデュケーションはその子にあったペースであることが一番大事です。なので、勉強はせずに、何かやりたいと思ったときにどうするか考えてみるのでもいい。
場所がどこであろうと、その子がどういうふうに育っていくかが重要なんですよね。
僕はフリースクールのスタッフをやっていて、子どもの頃は不登校だったけれども、フリースクールには行っていない。ずっと家で育ってきたんです。そういう生き方、育ち方だってあるから、そんなに心配しなくていいよと思いますね。

フリースクールネモは、“友だちの家”のような雰囲気を大事にしているという。
フリースクールと学校との連携が子どもの選択肢を広げる
――学校の先生とはどのようなやり取りをしていますか。
今はフリースクールに通っていると、在籍校で出席扱いになるので、ネモに何日来たのか報告しています。
そのときに子どもの様子もお伝えしていますし、こちらからも子どもと先生とのやり取りについて聞いたり、子どもへの関わり方について先生の相談にのったりもしています。
学校とフリースクールとのコミュニケーションがあるのは両者にとっていいことです。一つ例を挙げると、小学生のときから不登校で、そのまま中学生になっても学校に行かなかった子がいたんです。
その子は中学1年生の終わりにネモにつながって、自分に自信を持てるようになったし、外にも出られるようになった。学校とは違う価値観を知り、「学校に行かなければならない」「学校に行けない自分は無価値」というマイナスの感情が徐々に薄れていったんだと思います。
ある日、その子が「今度先生に会ってみようかな」と言ったんです。僕はその子の担任の先生とは継続的にやり取りをしていたので、「こんな先生だったよ。会っていやだったら僕から断ってあげるよ」と伝えました。そんなやり取りがあるとは知らず、先生はまったく会えなかった子どもと急に会えるようになって喜んでいました。

――フリースクールと学校とのやり取りがあると子どもの選択肢が広がるわけですね。
フリースクールにだって学校に行きたい子どもはいるし、逆に学校にもフリースクールに行きたいと思う子どもが出てくるかもしれない。なので、お互いのことを分かり合いながら、両者のあいだに道をつくっておくことが子どもにとって大事なことだと思っています。
「フリースクールは学校を否定している」と思われることもあるのですが、そんなことはありません。学校と対立することは、子どもを中心に考えれば本当に意味がないことです。
――フリースクールから学校に通うようになる子もいますか。
多いですよ。年度変わりや、中学校、高校、それから専門学校や大学に行くというタイミングで学校に戻る子は多いですね。
僕は学校に行っても行かなくてもどちらでもいいと思っていますが、ただやっぱり今の時代に弟子入りして職人になる人は少ないですよね。フリーランスのエンジニアとかライターになる人もいますし、会社を立ち上げたり、旅人になったり自分の道を切り拓く人もいますが、多くは学校に行って学び直す……直すではなく、学び足すですね、そういう人が多いです。
セーフティネットとしての子どもの受け皿を保障する
――前北さんは「千葉県フリースクール等ネットワーク」の代表でもありますが、どのような経緯で立ち上げたのでしょうか。
フリースクールへの財政的支援について県議会議員さんや教育委員会などと話をしていくために立ち上げました。
2016年12月に、学校外の多様な学びの場を保障する「教育機会確保法」が成立しました。その議論の過程では、子どもの個別学習計画を立てて、それに準拠していれば就学義務の履行とみなすという仕組みが盛り込まれるという話があったんです。
だけれども、「不登校を助長する」とか、「不登校の親子を追い詰める」「まずは学校の環境を整備するほうが先だ」といったさまざまな反対によって、具体的な規定などはなくなり、国の方針を示す法律になりました。
フリースクールへの財政的支援もないままだったので、千葉県としてどうしていくか、話をする機会を設けてもらったんです。そのときに行政としては特定の一つの団体と話すのはやりづらいということで、窓口となる団体として立ち上げたのが、千葉県フリースクール等ネットワークです。
活動内容としては、千葉県の教育委員会や児童生徒課と定期的な懇談をしたり、千葉県や千葉市と、不登校の子どもの情報交換会を開いたりしています。不登校支援についてまとめた先生向けのマニュアル(千葉県版不登校対策指導資料集)にコラムを書いたり、不登校やフリースクールの内容の監修をさせてもらったりもしました。

――フリースクールに通う子どもは不登校の子どものうち3%ほどですが、より選択肢を増やしていくためにはどのようなことが必要だと思いますか。
子どもの受け皿として、セーフティネットの役割を担うフリースクールなどに、国や地方自治体がきちんと財政的支援をすることも考えてほしいなと思います。
前提として僕は、全部の学校をフリースクールにしろとか、不登校になった子どもがみんなフリースクールに通うべきだとは思っていません。しかし、子どもに寄り添った多様な学習機会は必要だと考えています。
もちろん、学校が先生にとっても子どもにとってもストレスが少ない、安心して通える場になることも大事だと思います。
ただ、学校は集団で行動することが原則になるので、どうしてもしんどいなと思う子どもは出てくるはずです。食べ物に好き嫌いがあったり、どうしても身体が受け付けないアレルギーがあったりするのと同じように、学校があわない子はいると思います。そもそも制度は人に寄り添うものであって、制度が人をがんじがらめにするのはおかしい。
だからこそ、子どもに寄り添った受け皿が必要だと思っています。一方で、文部科学省の調査(2015年)によれば、フリースクールの会費は月額平均3万3000円なので、費用負担が難しい家庭もあります。
また、フリースクールの平均在籍者数は13.2人と小規模なので、会費を合計しても年間500万円ほど。13人の子どもをみるとなると最低でも2人以上スタッフが必要なので、人件費や施設費用を考えると、フリースクールの運営は財政的に厳しいんです。さらにスタッフが無給で働いているところも多いです。

文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う 民間の団体・施設に関する調査」(2015年)【2-3 在籍者数当たり団体・施設数(義務教育段階の子供)】にもとづき編集部作成。
今のままでは、フリースクールのスタッフをやりたいと思っても給与を考えるとフリースクールで働く人はなかなか出てきませんよね。
――民間施設の質の担保についてはどのようにお考えですか。
フリースクールは確かに多様ですが、やり方についてはある程度幅があっていいと考えています。というのも、勉強をしっかりやりたいという子には学習塾のようなフリースクール、鉛筆を持つだけでも学校での嫌な記憶がフラッシュバックしてしまう子にはすごくゆっくり向き合うフリースクール、というように両方とも必要なんですよね。
もちろん体罰や人権侵害権は絶対に禁止すべきだと思っています。子どもの人権にもとづいた施設であることが大前提です。
その上で質を担保するためには、客観的な評価項目をつくって、行政から管理されるのではなく、独自性を維持するかたちがいいなと思います。第三者の評価機関が評価するというかたちや、フリースクール同士の相互評価の仕組みが相応しいのではないかなと。
そのためには、各フリースクールがどんな理念でどんなプログラムをしていて、会費はいくらですという自己開示をしっかりしていくことも必要です。
・・・不登校の子どもが増えているなかで、子どものニーズに合わせた居場所を確保していくことは大人の役割だ。しかしとくに地方ではフリースクールの数は限られており、都市部でも経営は容易ではない。そうした居場所の質をどのように担保し、財政的支援の仕組みをつくっていくのか、引き続き着目していきたい。
編集後記
子どもが安心して居られ、子どもの意思が尊重される居場所が保障されることで、学校の環境は相対化されます。それが学校がより子どもが過ごしやすい場に変わっていくきっかけになるかもしれません。次回はその参考事例として、公設民営の不登校の子どもの居場所について考えます。

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