被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階において
被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。

被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。
被災地では、災害発生直後だけではなく、復興段階においても多くの人々が関わる必要があります。そして、初期段階でのボランティアとしてのかかわりが継続的な地域へのかかわりにつながります。本特集ではそうした復興段階を踏まえた上でのボランティアの初動という観点から、東日本大震災を振り返ります。
東日本大震災後、被災地で子どもたちへの支援を始めた認定NPO法人カタリバ(東京都)代表の今村久美さんは、「地域のファンをつくること」を目指していたと言う。
ボランティアを受け入れ始めた当初、地域に接点がなかった人にボランティアとして関わってもらい、地域を外部の人にも開かれた場所にしたかったのだ。
だが、現実にはそうした理想通りにはいかなかった――。
「毎日子どもたちの悩みに寄り添う」といったイメージを持ってやって来たボランティアに対して、単調なことをやってもらう必要があったり、拘束時間が長かったりすることもあった中、「わかりやすい達成感」を提供できず、ボランティアの中には不満を抱く人もいたと、カタリバ代表の今村さんは語る。
今回の記事では、こうした反省を踏まえて、どうすればより継続的にボランティアに関わってもらうことができたのかを考える。
そこには、ボランティアを受け入れる団体側の葛藤もあった。

被災地支援を行うボランティアの数と関わり方を表した図。
今村さんは、被災地で子どもの支援を行うことの難しさは、「いつ何が発生するかわからない」ことだと言う。
「子どもたちの意欲はいつ上がったり下がったりするかわからない。震災後の心の動きは目には見えないので、落ち着いて過ごしている子だなと思っていた子が例えば突然涙を流したり、パニックになる子どももいたりします。家出をしてしまったり、いきなり髪の毛が抜けていってしまったり……。なので、長期的、日常的に子どもたちを見守るというスタンスでしか対応できないんです」
教育課題と向き合うためには、ボランティアにも継続して関わってもらうことが重要だと今村さんは痛感した。
「支援する側」と「支援される側」への活動の意義づけが重要
「普段は企業で働いていたけれど休職をしたりして長期間来てくれた人が何人もいたので、そういう人たちにとっても(ボランティア活動が)徒労に終わるのではなくて、この活動が自身にとってどういう意味があって、子どもたちにとってはどういう意味があるのかという『意味づけ』を、もっと丁寧に、時間をとってやる必要があっただろうと思います」と今村さんは語る。
カタリバの広報担当の松本真理子さんは、ボランティアに継続的に関わってもらうために、リフレクション(内省の機会の提供)が重要だったと振り返る。
「当時、災害現場でのボランティアマネジメントの経験はカタリバとしてはなかったのですが、本来ボランティアマネジメントの観点から言うと、活動後のリフレクションや活動の意味づけを上手くやってくれるコーディネーターが必要です。東日本大震災の際にはそのノウハウもなかったですし、そもそもそういうことが必要だという認識が強くありませんでした」
2011年12月、開校したばかりの大槌臨学舎(岩手県大槌町の放課後の学校)にて話す今村さん(カタリバ提供)。
当時は人手も十分ではなく、子どもに安心して学べる場を提供するスタッフたちのモチベーション管理に注力しなければならない状況だったという。
東日本大震災を経て、カタリバは熊本県の益城町でも、放課後の時間を使い、学校内や仮設住宅の集会所で子どもたちの学習支援をするなどの活動を行なっている。
そこでは、そうした東日本大震災時の学びを活かして、地域で活動に携わっている塾の先生や地元の大学生などに対して、どのような役割を果たしているのか活動の意味づけをしていると言う。
「おまえらがいてくれたおかげで笑顔になれた」
ボランティアが活動の意義を感じ、継続的に支援に携わるために、支援の意味づけを行うことの他にも重要なことがある。
それは地域の人との顔の見える関係性を築くことである。
東日本大震災を機に学生メンバーで立ち上げた復興支援団体、NPO法人SET(岩手県)代表の三井俊介さんは、物資を届けた先の相手の顔が見えないまま、テレビなどを通して物資が喜ばれている様子を見るだけの状況だったら、「よし、物資はそろそろ必要ないならやめようか、と言って終わった可能性もある」と語る。
被災地に足を運び、その地域の人と顔の見える関係を築き上げたからこそ、活動を続けられたというのだ。

2011年当初のSETのメンバーたち(三井さん提供)。
三井さんは、特に印象に残っていることは、地元の人が「被災していないおまえらみたいな若者がこの町に来てくれたことで、このつらい時期に笑って過ごすことができた」と言ってくれたことだと語る。
被災地に暮らしていた人は誰かしら知り合いを亡くしたり、家を失ったりしている中で、笑って過ごすことができなかった。
けれど、そうした経験をしていない若者が元気にまちづくりをしていたことが逆に強みとなり、人を呼び込めたのではないかと三井さんは言う。
そして、そのことを地元の人が認めてくれたのだ。
SETの場合には、現地に、外部からのボランティアを受け入れている団体・コーディネーターがいなかったため、自ら現地のニーズを汲み取っていった。
三井さんは、地元の人から「自分たちだからこそできることを考えてやれ」という言葉をもらってから、ボランティアセンターを介さずに直接地元の人に困っていることを聞き、小さなニーズに対応していきました。
そうした活動を行なっている中で、地元の人と関係性を築いていったのだ。
地元の住民を中心に。共通の目的を明確にする
被災地支援を行う際に、複数のボランティア団体が同じ地域で活動している場合、ボランティア団体同士の対立が起こることがある。

中心となる地元の人を見つけ、負担がかからないようにサポートすることが重要と話す上島さん。
その理由について、災害支援活動や防災活動に取り組む一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(東京都)の上島安裕さんは次のように説明する。
「活動自体が主義主張が強いからでしょうか。NPOなどは、社会の中で課題となっていることに対して動く組織であって、『こんなことで困っているよ』と行政に訴えて、アピールしていかないと資金の調達もできないですし、共感も得られません。だから主義主張が強く表れ、団体同士の考え方が合わないということもあるんだと思います。ただ、災害時にそうした対立はしてはいけないと思います」
そうした事情がある中、ボランティア団体同士が上手く役割分担をして、継続的に支援を続けることができた地域が、石巻市だったという。
ピースボート災害ボランティアセンターでは、外部の団体が支援の中心になってしまうと人が集まりにくくなると考え、地元の住民を議長にして会議を行い、事務作業などをサポートしていたという。
地元の人を中心にして、「石巻の住民さんを応援しましょうという共通理解が深まった」ことで、各支援団体がスムーズに活動できたと上島さんは話す。
まとめると、ボランティアを継続的に行っていく上では、このように目的を明確にすることや、ボランティアをする人が活動の意義を認識すること、現地の人と顔の見える関係性を築き上げていくことが重要だったのだ。
【まとめ】
- ボランティアを受け入れる支援団体にとっては、継続的に関わってもらうボランティアが必要とされていた。
- ボランティアに継続的に関わってもらうためには、「支援できること」をつくり、「支援した」という満足感も持って帰ってもらうことが重要だった。そのために活動の意義づけをするリフレクションが必要だった。
- ボランティアが活動に意義を感じるためには、地元の人と顔の見える関係を築いていくことも重要だった。
【問いかけ】
- 地元や居住地、勤務地以外に、継続的な関わりがある地域はありますか。
(2018年4月3日10:29 タイトル「ボランティアの“満足度”が復興スピード左右する」を「ボランティアの“満足度”が復興スピードを左右する」に訂正)
編集後記
一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(東京都)事務局長の上島安裕さんは、ボランティア希望者に対して「現地行っても倉庫管理しかできなくて、避難者や被災者の人たちと直接顔を見れる現場ではないかもしれません。けれども、それが支援になるんです」という話を事前にしていたと語ります。
そうした状況を理解してきた人たちは、継続的に関わってくれる方が多かったと言います。
ボランティアに対して、事前にボランティアの役割や活動の意義を伝えておくことも大切だと感じました。
次回は、ボランティアを集める上での取り組みや、災害ボランティアの活動を発信する上で気をつけるべきことを見ていきます。

令和8年熊本地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、一日も早く被災されたみなさまの安全が確保され、平穏な日々を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。
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