リディラバジャーナル構造化特集「ヤングケアラー」。
第6回となる本記事では、支援の手が届かない構造(3章)として、民間の支援団体に焦点を当てる。
「ヤングケアラーが初めて当事者の集まりに参加したときは、みんな一様に驚きますね。『自分だけだと思っていたけど、本当は他にもこんなにいたんだ』って」
20年以上にわたってきょうだいやケアラーを支援し続けてきた、一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会代表理事の持田恭子さんはこのように語る。
第4回の記事で解説した通り、行政や学校からの公的な介入を恐れるヤングケアラーや家族がいる中で、民間有志が運営する支援団体は比較的つながりやすい相談先といえるかもしれない。自己開示も本人のペースに合わせることができるため、長期的な信頼関係も築きやすい。
一方で、支援団体が個別のサポートを行うには、ハードルが立ちはだかる。公的サービスに接続するには、地域性の理解や医療福祉の専門的な知見が必要となるが、その段階まで踏み込むリソースの確保が難しいのだ。
当事者や家族の居場所を提供してきた支援団体の成果と、今後の活動における課題について考察する。
つながりの支援が、子どもたちの行動を変える
「人は、仲間ができると心理的に強くなることができます。ここには仲間がいる、ただありのままに自分を100%受け入れて、一緒に考えてくれる人たちがいるんだと思ったら、勇気が湧いてくるんです」
一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会 代表理事。1996年に「ダウン症児・者の兄弟姉妹ネットワーク」を開設。2013年、「ケアラーアクションネットワーク」を立ち上げた。2016年、小学生きょうだい児の交流会を開催。2019年に法人化して代表理事に就任。これまでに1900人以上のケアラーとの対話を続けている。現在は、ケアラー支援、教材制作や講師活動、映像制作や講演、執筆などの啓発活動を柱として、企業との協働事業や政府への政策提言を行い、自治体の委員会でヤングケアラー支援対策の基礎固めに尽力している。
一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会の持田恭子さんはこのように語る。
辛い気持ちを抱えていても、周囲になかなか話せない。2021年の全国調査では、世話をしている家族がいると答えた中高生のうち、5-6割が「世話について相談した経験がない」と回答している。孤独感を深めるヤングケアラーがいる中で、当事者同士の交流を支援する民間支援団体が全国に点在している。
一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会もそのうちの1つだ。家族のケアをしている中高生を対象にした「ほっと一息タイム」という集いを定期的に開催している。集いはオンラインを基本としており、顔出しや声出しも自由、身近な出来事を気軽に話せる場だ。
(出典:一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会HPより)
持田さんは、当事者同士で話す機会があることにより、子どもたちの行動にも実際的な変化が生まれるという。
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