• 新しいお知らせ
    ×
構造化特集
学齢期の発達障害 第5回
公開日: 2023/4/6(木)

「わかっていたけど、認められなかった」発達障害の子どもと向き合う保護者の葛藤

公開日: 2023/4/6(木)
構造化特集
学齢期の発達障害 第5回
公開日: 2023/4/6(木)

「わかっていたけど、認められなかった」発達障害の子どもと向き合う保護者の葛藤

公開日: 2023/4/6(木)
構造化の視点

本人を取り巻く環境によって、困りごとの顕在化・深刻化が

・・・もっと見る

本人を取り巻く環境によって、困りごとの顕在化・深刻化が左右される発達障害。いま小中学校の通常学級では、発達障害やそれらに近い特性のある子どもの困りごとが見過ごされ、挫折経験をしている現状がある。学校、家庭、医療・福祉の視点から、子どもが困難を抱える構造に迫る。

本人を取り巻く環境によって、困りごとの顕在化・深刻化が左右される発達障害。いま小中学校の通常学級では、発達障害やそれらに近い特性のある子どもの困りごとが見過ごされ、挫折経験をしている現状がある。学校、家庭、医療・福祉の視点から、子どもが困難を抱える構造に迫る。

本人を取り巻く環境によって、困りごとの顕在化・深刻化が左右される発達障害。いま小中学校の通常学級では、発達障害やそれらに近い特性のある子どもの困りごとが見過ごされ、挫折経験をしている現状がある。学校、家庭、医療・福祉の視点から、子どもが困難を抱える構造に迫る。


オーディオブック(ベータ版)

リディラバジャーナル構造化特集「学齢期の発達障害」。
 
第5回となる本記事では、子どもの挫折に苦慮する保護者たち(3章)として、発達障害の子どもの子育てに、保護者が苦慮する構造を解説する。

 


 

この子には障害があるかもしれないと、わかっていた。でも「そんなはずはない」と、認められなかった――。

 

現在、発達障害のある小学生・中学生の2人の子どもを育てている瀬島早織さんは、診断がくだされるまでの心情をそう振り返る。

 

瀬島早織(せじま・さおり)
自閉症児2人のひとり親。娘は2009年生まれの特別支援学校、息子は2011年生まれの特別支援学級。webライター・広報をしながら子育てをしている。

 

育児をしながら、学校・医療・福祉などさまざまな関係者と緊密に情報を共有することが求められる保護者。

 

子どもの特性や困りごとに向き合う中で、どんな葛藤を抱えているのか。保護者自身が抱えている困難とはなにか。

 

保護者が子どもの挫折に苦慮する構造を解き明かす。

不安だからきつく当たってしまう――。
発達障害児と向き合う保護者の葛藤

感情のコントロールができず、パニック状態に陥った自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに「いつまで泣いているんだ」と怒鳴ってしまった。

 

何度注意しても忘れものをする、注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもに「なんでいつも忘れるんだ」ときつく叱ってしまった――。

 

「発達障害やそれらに近い特性のある子どもに、どうやって向き合えばいいかわからない保護者の方は多いです。なかには、子どもに手をあげてしまう方もいます」

 

そう話すのは、発達に課題のある子どもの保護者の活動グループ「いろとりどり」の受付相談員を務め、自身もASDの子どもとADHDの子ども2人を育てている島田ゆかりさんだ。

 

島田ゆかり(しまだ・ゆかり)
特定非営利活動法人わかみやクラブが運営する、発達に課題のある子どもの保護者によるペアレントメンター活動グループ「いろとりどり」の受付相談員。

 

なぜ保護者は、子どもの困りごとの対応に苦慮するのか。

 

さまざまな相談を受けてきた島田さんは、「障害を受け入れることの大変さや、子育てへの大きな不安がある」と話す。

 

「私も発達障害のある子どもを育てていますが、診断がついたときは頭が真っ白になってしまって。どういうことなのか理解できなくて、その後に一気に不安が押し寄せてきました。

 

いつどんなタイミングで気づくか、どのような診断がされるかに関わらず、保護者の多くは子どもの障害を受け入れ育てていくことに大きな不安を抱えます。

 

精神的に不安定な状態に陥るために、過剰に子どもを叱ってしまう。

 

深刻化すると『この子を殺して自分も死のう』という考えにまでつながってしまう場合もあります」

 

発達障害のある子どもを育てる瀬島さんもこう語る。

 

「他の子よりも、言葉の発達が遅れている。名前を呼んでも振り返らない。目があったこともない。

 

診断される前から、明らかにおかしいと感じていました。でも、冷静に見れずに『そんなはずはない』と認められなくて。

 

この子に障害があるかもしれないと、心の中ではわかっていながら、誰かに『違う』とも言ってほしかったんです」

 

瀬島さんは診断を受けることへのためらいを抱えながら、医療機関につながった。診断時は「やはりそうなんだという気持ちと、これからどうしていけばいいんだろう?という大きな不安が生まれました」と話す。

 

保護者が子どもの困りごとを冷静に受け止めづらい背景には、保護者自身の障害や子育てに対する大きな不安がある。

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
note
リディラバジャーナル編集部
noteのicon
『ネットで全て分かる』は本当? ――兵庫県知事選から見える情報収集の"偏り"を考える
2024年11月22日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
【強迫症啓発週間】発達障害支援に欠けた「学校・家庭・福祉をつなぐ"あいだ"の存在」
2024年10月18日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「東大だと結婚が難しくなるから、慶應にしておけば」国際ガールズ・デーに読みたい、女子にかけられている呪い
2024年10月11日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
東京・埼玉で相次いだ闇バイトによる強盗。指示役に脅されていた若者も?
2024年10月4日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「選択的夫婦別姓制度」が総裁選の焦点に?日本の姓の歴史の背景をひもとく
2024年9月17日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
新しい認知症観とは?“常識”を捨て、認知症の人に「寄り添う」ことが、その人らしさの尊重に繋がる
2024年9月6日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「9月1日」を乗り越えた子どものその後は?SOSを聞き逃さず、切れ目のない支援を
2024年8月30日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
子どもは「安心して学校を休む権利」をもっている。夏休み明けの子どもの自殺防止に役立つチェックリストも
2024年8月23日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「食品ロス」が「日本の食料自給率」を救う?2つの社会課題を解決へ導く循環型システム
2024年8月9日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「パパは寝てる」Tシャツの裏で、男性の育休取得率は過去最高に。新旧の価値観がぶつかり合う転換期
2024年8月2日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
起業家が受ける不当な圧力・セクハラ。背景にあるものは?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年7月26日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
「障害者が子どもを産むな」ひとつでもできないことがあれば子どもをもってはいけないのか?
2024年7月19日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
芸術祭なのに、米作りに雪かき?「大地の芸術祭」が挑む地域づくりとは
2024年7月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
「夏休みに特別な体験をさせられない」子どもの体験格差は、学ぶ意欲や将来の可能性にまで影響を及ぼす?
2024年7月8日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
メディアが作り出した? 生活保護費引き下げにつながった世論
2024年7月1日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
在日クルド人に対するSNSでのヘイトスピーチ。書き込みへの法的措置の意義とは?
2024年6月21日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
輪島・珠洲の断水解消も、水道は使えない。復興を左右するのは世間の関心の深さ
2024年5月31日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
少しずつ可視化されてきた「恋愛的にも性的にも惹かれない」人たち。アロマンティック・アセクシュアルとは?
2024年5月24日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
喜べない教員の給与増。残業が残業だと認められない給特法とは?
2024年5月17日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
勤務時間15分減で退職金ゼロ?非正規の人の労働条件を改善するための制度のはずが…
2024年5月14日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
性犯罪の被害者の約半数が子ども。わが子をグルーミングから守るには?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年5月7日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
動物の虐待摘発過去最多。「保護犬・保護猫」前進の裏で生まれる課題
2024年4月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
スクールカウンセラー約250人が雇い止め。子どもの心の健康を支える専門職なのに任期は1年?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2024年4月4日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
依存症の人に必要なのは「反省や刑罰」ではなく「治療と仲間」
2024年3月29日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「同性婚を認めないのは違憲」互いの違いを尊重できる成熟した社会へ
2024年3月18日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
×
CONTENTS
intro
居場所なき子どもたち
no.
1
no.
2
子どもの困難に対応できない学校現場
no.
3
no.
4
子どもの挫折に苦慮する保護者たち
no.
5
子どもを取り巻く専門家の苦悩
no.
6
社会に出て抱える困難
no.
7