• 新しいお知らせ
    ×
構造化特集
偏向する高齢者 第3回
公開日: 2023/7/7(金)

偏向する高齢者。なぜ偏った情報を信じてしまうのか?

公開日: 2023/7/7(金)
構造化特集
偏向する高齢者 第3回
公開日: 2023/7/7(金)

偏向する高齢者。なぜ偏った情報を信じてしまうのか?

公開日: 2023/7/7(金)
構造化の視点

高齢者がネットやSNS上の偽・誤情報、陰謀論を信じるこ

・・・もっと見る

高齢者がネットやSNS上の偽・誤情報、陰謀論を信じることで、考えや価値観が偏り、親子の関係が分断される事象が起こっている。なぜ高齢の親は偽・誤情報や陰謀論を信じてしまうのか。偏向した親と子ども、家族にはどのような分断が生じるのか。“偏向”と“分断”の構造に迫る。

高齢者がネットやSNS上の偽・誤情報、陰謀論を信じることで、考えや価値観が偏り、親子の関係が分断される事象が起こっている。なぜ高齢の親は偽・誤情報や陰謀論を信じてしまうのか。偏向した親と子ども、家族にはどのような分断が生じるのか。“偏向”と“分断”の構造に迫る。

高齢者がネットやSNS上の偽・誤情報、陰謀論を信じることで、考えや価値観が偏り、親子の関係が分断される事象が起こっている。なぜ高齢の親は偽・誤情報や陰謀論を信じてしまうのか。偏向した親と子ども、家族にはどのような分断が生じるのか。“偏向”と“分断”の構造に迫る。


オーディオブック(ベータ版)

リディラバジャーナル構造化特集「偏向する高齢者〜ネットが生み出す親子の分断〜」。
 
第3回となる本記事では、考えや価値観を偏らせるもの(2章)として、人の考えや価値観が偏向する際の要因を整理する。

 

 


 

第1回の記事でぺんたんさんは、陰謀論を信じる母親の心の内をこう推察した。

 

「『私が見つけた真実を大切な人に教えてあげないと』という正義感や使命感があったと思います。私のことを心配してくれているから、情報を送ってきてくれていると感じました」

 

「母は仲間を求めているようにも見えました。『私と一緒にこの問題に怒ってくれる人はいませんか?』と」

 

人はなぜ偽・誤情報や陰謀論を信じ、考えや価値観が偏ってしまうのか。特に高齢者が偽・誤情報や陰謀論を信じる背景には、どのような要因があるのだろうか。

 

今回は「陰謀論を信じるプロセス」を取り上げながら、人の考えや価値観が偏向する際の心理的な要因と、高齢者に特有の要因について考察する。

根底にある社会への不信感。陰謀論を信じるきっかけとは

<2022年3月16日に福島県沖で発生した地震は、人為的に引き起こされた「人工地震」である>

 

<安倍晋三元首相の銃撃の真犯人は他におり、近くの商業ビルの屋上にスナイパーがいた>

 

これらは「偽・誤情報、陰謀論の実態と求められる対策(Innovation Nippon 2022)」の調査で挙げられている、国内の陰謀論の事例だ。(※1)

 

宗教学者で国内外の陰謀論に詳しい辻隆太郎さんによれば、陰謀論とは「少数の隠れた権力グループが、世の中に見えないところで、自分たちの都合の良いように出来事を操っている」という考え方を指す。

 

辻隆太郎(つじ・りゅうたろう)
1978年京都府生まれ。北海道大学文学部卒、同大学大学院文学研究科宗教学研究室博士後期課程単位取得退学。著書に『世界の陰謀論を読み解く』、共著に『情報時代のオウム真理教』など。

 

同調査では、こうした陰謀論6つのうち、1つ以上見聞きしたことのある人の割合は「19.1%」と示された。真偽判断については、見聞きした人のうち2〜3割が「正しい」と答えた

 

 

 

陰謀論は社会で広く認知されている事実や、多くの人が信頼している事実とは異なるが、なぜ一定数の人が信じてしまうのか。

 

辻さんは、陰謀論を信じる人の心理的要因についてこう話す。

 

「社会の秩序が揺れ動いて不安を感じたり、社会正義が崩れたように見えたとき、『いまの社会は何者かの制御下にある』と考えることで秩序を保とうとする。その考え方の一つに陰謀論があります。

 

秩序が揺れ動くタイミングは、新型コロナウイルスのような疫病や、災害、あるいは政権交代などさまざまです。

 

社会が不安定である理由(何者かの存在)が明らかになれば、一人でポツンと社会の中に立たされている状態から抜け出せる。どうすればいいかわからないという不安から逃れられます」

 

 

また「陰謀論を信じる人に見られる共通点として、社会への不信感がある」と続ける。

 

「『世の中で正しいとされている情報はすべて嘘だ』『社会の主流の説明は信じられない』といった不信感が多く見られます。

 

もし社会で一般的に説明されていることに納得し、不満がなければ、陰謀論を信じることはありません

 

社会への不信感については、社会の権威側の信頼性が落ちているという課題もあるように思います」

 

社会が不安定になったとき、社会を信用できなくなったとき。

 

秩序や自身の感情を乱す「何者かの存在」を見出そうとする中で、人は陰謀論へ傾倒していくことがある。

「この真実を伝えなければ」陰謀論を信じ込んでいく要因

「陰謀論を信じる」と一口に言っても、信じる程度は人によってグラデーションがある。

 

「『嘘か本当か分からないけど面白い』『心から信じていないけれど、可能性はあるかもしれない』『これは世界の真実である』など、さまざまです」(辻さん)

 

その中で、陰謀論を心から深く信じ込んでいく人は、周囲の人間と衝突し関係が分断されることがある。

 

陰謀論を深く信じ込んでいく人の心理的要因には、何があるのか。

 

辻さんは「優越感、使命感、孤独感が関わっているのではないか」と話す。

 

『自分は真実を知っている』という優越感、『世の中に真実を広めないといけない』という使命感、そして『自分だけが知っているのに周囲に理解してもらえない』という孤独感は、共通の要素としてあります。

 

特に孤独感と優越感は密接に結びついています。『周囲の人々には理解してもらえないかもしれないが、それは自分だけが真実を知っているからだ』と感じることで、より確信が深まっていくのだと思います」

 

「偽・誤情報、陰謀論の実態と求められる対策(Innovation Nippon 2022)」の調査では、陰謀論を拡散した人についてその理由を尋ねたところ、以下のような結果が出ている。

 

 

特に「怒り」「不安」「人・組織・社会のためになる」「人・組織を正す必要がある」といった回答が高い割合を示しており、ここまで辻さんが話してきた心理的要因との関連性がうかがえる。

ネットやSNS利用の影響は?陰謀論を信じる人とメディア環境の関係

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
note
リディラバジャーナル編集部
noteのicon
輪島・珠洲の断水解消も、水道は使えない。復興を左右するのは世間の関心の深さ
2024年5月31日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
少しずつ可視化されてきた「恋愛的にも性的にも惹かれない」人たち。アロマンティック・アセクシュアルとは?
2024年5月24日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
喜べない教員の給与増。残業が残業だと認められない給特法とは?
2024年5月17日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
勤務時間15分減で退職金ゼロ?非正規の人の労働条件を改善するための制度のはずが…
2024年5月14日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
性犯罪の被害者の約半数が子ども。わが子をグルーミングから守るには?【ニュースに潜む社会課題をキャッチ!】
2024年5月7日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
動物の虐待摘発過去最多。「保護犬・保護猫」前進の裏で生まれる課題
2024年4月12日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
スクールカウンセラー約250人が雇い止め。子どもの心の健康を支える専門職なのに任期は1年?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2024年4月4日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
依存症の人に必要なのは「反省や刑罰」ではなく「治療と仲間」
2024年3月29日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「同性婚を認めないのは違憲」互いの違いを尊重できる成熟した社会へ
2024年3月18日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ! リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
能登半島地震、深刻なボランティア受け入れ態勢不足が課題
2024年3月8日

ニュースに潜む社会課題をキャッチ!リディラバジャーナル

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

続きをみる
学校の死亡事故の7割が国に未報告。求められる事故検証システム
2024年3月1日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「思いこみ」も背景に?女性管理職への道を阻むもの【なぜ少ない?学校教育現場の女性管理職】
2024年2月23日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。こちらの記事の最後には、全文無料で読める!「学校経営の新時代、女性管理職の可能性 ~ロールモデル・取り組み事例資料集~」もご紹介しています。ぜひご活用ください!

続きをみる
旭川いじめ事件から3年。再発防止が進まない訳は…
2024年2月16日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
DVから逃げられなくなる!?「共同親権」このまま進めて本当に大丈夫?
2024年2月2日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
「被災地へボランティアに行くのは迷惑?」悩んでいる人にこそ読んでほしい!【3.11から学ぶ。構造化特集を全記事お届け!】
2024年1月12日

みなさん、こんにちは。リディラバジャーナルです。

1月1日、能登半島地震が発生しました。亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われたすべての方にお見舞い申し上げます。

続きをみる
市販薬を覚せい剤代わりにする若者たち。その背景には孤独孤立か?
2023年12月22日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
万引きを繰り返すのは手癖が悪いのか、それとも?「万引き依存症」をご存知ですか?
2023年12月15日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
大学進学は親の財力やきょうだいの数によって左右されていいのか?
2023年12月11日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず。

続きをみる
反ワクチン情報を流す医師がいるのはなぜ?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2023年12月1日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
病院の約半数、公立病院は98%が赤字。診療報酬の引き下げは医療レベルの引き下げに?【ニュースから読み取る社会課題!リディラバジャーナル】
2023年11月24日

みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルです。

日々流れてくるさまざまなニュース。一見、局所的で自分とはかかわりのないように見えるニュースも、その出来事をとりまく社会課題を知ると、見え方が大きく変わってくるはず

続きをみる
構造化特集「地域医療」の内容を一部公開します
2023年6月9日

みなさんこんにちは、リディラバの鈴木です!今回は、リディラバジャーナルで公開中の構造化特集「地域医療」の冒頭をこちらのnoteでも公開します。何かあったら病院で治療が受けられる。私たちの「当たり前」を維持するために、様々な課題を抱えながら尽力する医療現場の姿を知ってもらえたら嬉しいです。


続きをみる
6月の構造化特集「地域医療」への思い
2023年6月9日

この投稿はリディラバジャーナル会員限定のFBグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。

******みなさん、こんにちは!担当した構造化特集「地域医療 超高齢化社会に必要な『撤退戦』」が本日より公開となりました!今日は特集内には書いていない、特集に込めた思いをご紹介させてください。

続きをみる
子どもの発達障害、構造化マップを公開
2023年4月16日

※この投稿はリディラバジャーナルの会員限定FBグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。*****みなさん、こんにちは!!!リディラバジャーナルの井上です。

今週はとても嬉しいことがあったので、ご報告させてくださいm(_ _)m

続きをみる
構造化。テーマは「子どもの発達障害」
2023年4月7日

この投稿はリディラバジャーナル会員限定のFBグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。******みなさん、こんにちは!リディラバジャーナルの井上です。

早くも4月ですね。あっという間に過ぎ去る日々に「!?!?」という感じですが、今日も今日とて、リディラバジャーナルのご案内です。

続きをみる
編集部メンバーの想いを公開しました
2023年3月26日

※この記事はリディラバジャーナルの会員限定Facebookグループ「リディラバジャーナル企画室」からの転載です。******皆さん、こんにちは〜!

編集部の井上です。今日は、

続きをみる
×
CONTENTS
intro
偏向の先にある親子の分断
no.
1
no.
2
考えや価値観を偏らせるもの
no.
3
偏向する高齢者〜ネットが生み出す親子の分断〜
no.
4
あきらめきれない親子関係
no.
5
no.
6
ネット右翼化する高齢者
no.
7
偏向への対策の難しさ
no.
8