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スマホを開けば、賭けは始められる——。ギャンブルのオンライン化が進んだ2020年代、依存は「より若く、より早く、より高額に」深刻化しやすくなった。なぜ本人も家族も気づけないまま、借金や生活崩壊まで加速してしまうのか。入口の広がり、歯止めの効きづらさ、発覚と支援の遅れ。2020年代に入りギャンブル依存がより陥りやすく、抜け出しにくくなっている構造を明らかにする。

スマホを開けば、賭けは始められる——。ギャンブルのオンライン化が進んだ2020年代、依存は「より若く、より早く、より高額に」深刻化しやすくなった。なぜ本人も家族も気づけないまま、借金や生活崩壊まで加速してしまうのか。入口の広がり、歯止めの効きづらさ、発覚と支援の遅れ。2020年代に入りギャンブル依存がより陥りやすく、抜け出しにくくなっている構造を明らかにする。
スマホを開けば、賭けは始められる——。ギャンブルのオンライン化が進んだ2020年代、依存は「より若く、より早く、より高額に」深刻化しやすくなった。なぜ本人も家族も気づけないまま、借金や生活崩壊まで加速してしまうのか。入口の広がり、歯止めの効きづらさ、発覚と支援の遅れ。2020年代に入りギャンブル依存がより陥りやすく、抜け出しにくくなっている構造を明らかにする。
リディラバジャーナル構造化特集「2020年代のギャンブル依存〜より早く、より若く、より深刻にハマる病〜」。
第5回となる本記事では、依存症予防・回復の仕組みを構築する難しさ(3章)として、依存当事者への支援の課題を見ていく。

「本人に言い聞かせてやめさせようとか、家族の中だけでなんとかしようとか……それはまず無理だと思ったほうがいいです。知識や経験がある人の力を借りること、専門家に相談すること。周りの人が正しく早期介入する以外に方法はありません」
ギャンブル依存からの回復を「本人の改心」や「家族の尻拭い」で何とかしようと考えるべきではない——そう話すのは、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(以下、考える会)代表の田中紀子さんだ。
医療や支援の現場から見れば、2020年代に入りギャンブルのオンライン化が進んでも、治療や回復のアプローチが根本的に変わるわけではない。一方で現場では、当事者への支援を行う上でさまざまな課題に直面しているという。
依存状態は本人も周囲も気づきにくく、家族も相談先へつなげづらい。さらに受け皿不足や地域間格差が、当事者の前に壁として立ちはだかる——。
本記事では、依存当事者への支援の構造的な課題を明らかにする。
生きづらさまで支援する。ギャンブル依存の支援のあり方
ここまでの記事で、2020年代に入りギャンブル依存が「陥りやすく」「抜け出しにくく」なっている構造を見てきたが、依存当事者への支援のあり方は変わっているのか。
支援団体や医師らへの取材では「回復支援は以前から変わらない部分が大きく、他の依存症と共通する部分も多い」という声が聞こえた。
では、具体的にどのように支援しているのか。独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの樋口進さんは「病院、支援団体、弁護士の方など、プロといち早く効率的につながることが早期回復のカギとなる」と語る。

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター名誉院長・顧問。昭和54年東北大学医学部卒業。米国立保険研究所(NIH)留学、国立久里浜病院臨床研究部長、国立病院機構久里浜医療センター院長などを経て現職。ゲーム依存、ギャンブル依存などの行動嗜癖、アルコール関連問題の予防・治療・研究などを専門とする。著書:『ウルトラ図解 ギャンブル依存』(法研)、『ゲーム・スマホ依存から子どもを守る本』(法研)、など。
ただ、当事者が自ら病院や支援団体などのプロにつながるのは簡単ではない。そこで重要になるのが、周囲の人が本人を支援につなげることだ。考える会の田中さんは、「本人が依存症を認めなかったとしても、まず周りの人が支援とつながることが大事です」と話す。

公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会 代表。競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)。第25回日本アルコール・アディクション医学会優秀論文賞受賞。著書:『三代目ギャン妻の物語』(高文研)、『ギャンブル依存症』(角川新書)。
「回復してくれば、自助グループに通い続けることの責任や、自分に必要なことがわかってきますが、病気の真っ最中——入口の段階で本人にそれを求めるのは難しい。自分でどうしようもできないから、病気なんです。
本人が支援につながるには周りの理解が大事で、一番のキーマンは身近な家族です。家族が支援とつながることで『本人にどう介入するか』の作戦会議ができます」
本人や家族の支援先には、考える会のような民間団体のほか、依存症回復施設、都道府県の精神福祉保健センター、久里浜医療センターをはじめ専門外来を設置する病院などがある。
また、ギャンブル依存では借金の問題が大きな困難になりやすいため、弁護士に債務整理を相談するケースも多い。
こうして複数の専門職につながりながら回復を目指していくが、依存から抜け出すには時間がかかる。
ギャンブル依存症回復施設を運営する一般社団法人グレイス・ロードの生活支援員を務める坂本拳さんは、「生きづらさまで含めて支援です。長く付き合っていく必要がある」と話す。

一般社団法人グレイス・ロード グレイス・ロード甲斐サポートセンター センター長及び生活支援員。1994年千葉県生まれ。 元看護師。ネット・ゲーム、ギャンブル依存症の当事者。2017年11月に山梨県にあるグレイス・ロードに繋がる。現在は支援者として当事者支援を行っている。2020年4月より現職。 看護師資格以外にASK認定依存症予防教育アドバイザー、令和元年度ギャンブル等依存症回復施設職員研修修了、令和2年度ゲーム・ネット依存症相談対応指導者養成研修修了など依存症に関する資格を取得。
「私たちの回復施設では、ギャンブルをやめるためにスマホを預かったり、生活を整えるために門限を設けたりしていますが、何より一番に置いているのは『自分の生き方や生きづらさ』に着目することです。
なぜその人が依存に陥ったのか。背景にある生きづらさを知り、生き方を変えられるように支援していくことが必要だと思います」
グレイス・ロードでは施設にいる間、困りごとや悩みごとを共有するミーティングや、近隣の清掃、お祭りや運動会といった地域イベントにも参加してもらっているという。坂本さんは「こうした経験が自己理解や孤立の問題の解決につながり、生きづらさへの支援になると考えています」と話す。
「ただ、これはすごく時間のかかることです。何かを教えれば終わり、という話ではありません。
日々の中で徐々に生きづらさを手放していく中で、だんだんと医療的ケアを含む健康管理や、就労などの社会復帰の準備をしていきます。
社会復帰した後も、すぐにまたギャンブルしてしまったり、借金を返せず困ってしまったりする方もいます。そうならないように、あるいはそうなったとしても助けられるように、お金の使い方を学んでもらったり、就労者専用ミーティングを行なったりもしています」(坂本さん)
ギャンブル依存の支援は、単に「やめさせる」ことでは終わらない。本人任せにせず、家族や周囲がつなぎ、専門職がチームで介入していく。
そして回復には時間がかかる。生活を整え、社会復帰を支え続ける——「生きづらさ」まで含めた長い伴走が、現場では行われている。
依存に気づけず、回復の妨げになることも——。身近な家族が抱える課題
支援のカギは「周囲がつなぐこと」。まず思い浮かぶのは当事者の家族だが、家族が依存に気づき、支援につなげていくことには難しさがある。

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