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出所者の社会復帰
2人に1人が刑務所に戻る理由

2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、「世界一安全な国」を掲げる日本。

 

2003年以降、刑法犯の認知件数は減少し、2016年には99万6120件と、戦後最少になりました。
他方で、刑期を満了し刑務所を出所した者のうち、5年以内に再び刑務所に入所する人の割合は49.2%。


満期出所者のうち、およそ2人に1人は再び犯罪を犯し、刑務所に再入所しているのです。

 

今回の特集のテーマは、「出所者の社会復帰」。

 

更生のために刑務所に入ったにもかかわらず、出所者はなぜ再び犯罪を犯してしまうのでしょうか。
 

犯罪を犯した人が逮捕される様子はニュースになりますが、その後について取り上げられることは多くありません。

 

ですが、社会的に孤立して犯罪を犯した人が刑務所に入り、出所後も社会から排除されて再び犯罪を犯すという悪循環が起こっているのです。

刑務所再入所者、7割が無職

こうした悪循環を断ち切り、受刑者が社会復帰するために重視されているものの一つが「就労」です。


刑務所に再入所した受刑者のうち、約7割が再犯時に無職だったことが明らかになり、法務省も就労支援に力を入れています。
 

法務省矯正局で就労支援を担当する滝山直樹さんは、就労の重要性を次のように語ります。

 

「仕事は、お金を稼ぐという目的だけではなく、やりがいがあって、人から認められる機会にもなります。仕事は人の人生において非常に重要な要素なんですよね。なので、出所者が再犯を犯さないためにもその機会を与えていく必要があると考えています」

就労支援の重要性について話す滝山さん。

 

一方で、受刑者のなかには、今まで就労のための十分な教育機会を得られなかった人も多くいます。

 

滝山さんは「受刑者の中には年齢にかかわらず、きちんとした就労経験がない人が多いのが実情です。そういった人たちは、これまで就職活動をしたことがなく、出所後にどうやって職を探せばいいのか分からない人が多い」と話します。

 

出所者の支援に携わる人たちからは、就職先となる企業からも、出所者に対して厳しい目が向けられているという話を聞きました。

 

「厨房で出所者に包丁を持たせるなんてとんでもない」「出所者を雇うのはリスクが高い」という反応が多いのが現状です。

 

また、就労に並んで、出所者の社会復帰のために重視されているのが「住居」です。

 

職を探そうにも、住所がなければハローワークで相手にされず、面接すら受けることができません。

 

しかしながら、出所者は部屋を借りることすら難しいという現実があります。

 

出所者の社会参加を支援する一般社団法人再チャレンジ支援機構(東京都新宿区)の千葉龍一さんは、出所者が住居を確保する難しさについて次のように説明します。

 

「出所者には、親族などの連帯保証人がいない人が多いので、家賃保証会社を利用したいのですが、今はインターネットで検索すると、その人がどんな犯罪を犯したのかも分かってしまうので、保証会社の審査が通らないことが多いのです」

出所者が働く飲食店で出所者支援活動について話す千葉さん。

「犯罪者」のイメージと実態の乖離

皆さんは「犯罪者」と聞くと、自分とは全く異なる「極悪人」というイメージを抱くかもしれません。

 

ホリエモンの愛称で知られる元・株式会社ライブドア代表取締役社長・堀江貴文さんは、刑務所生活について描いた著書のひとつ、『刑務所わず』(文藝春秋、2014年)で、「刑務所にいる人たちの多くは、別に極悪非道でも奇人変人でもなく、普通の人だった」と述べています。

 

2016年に入所した受刑者の罪名別構成比をみると、最も多いのは窃盗(33.4%)であり、次いで覚せい剤取締法違反(27.3%)となっています。

(「平成29年版犯罪白書」矯正統計年報に基づき、編集部作成。)

 

受刑者といってもその内実は多様です。

 

特集では全6回にわたって、そうした受刑者たちが犯罪を犯してしまった背景、出所者が直面する厳しい現実にも目を向けて、犯罪を犯してしまった人の更生をどう実現していくのかを探っていきます。

 

出所者が社会から排除されれば、再び犯罪を犯す可能性が高まります。

被害者を生み出さないためにも、私たちは加害者を増やさない社会をつくっていかなければなりません。

 

本特集が社会全体で再犯を減らしていくために何ができるのかを考えていくきっかけになれば幸いです。

 


第一章「出所者の背景」。

Shutterstock.com

 

第一回【出所者の刑務所再入率4割“連鎖する犯罪”】。

出所者の社会復帰を考えるうえで、そもそも受刑者がなぜ犯罪を犯すに至ったのか、彼ら・彼女らがどのような問題を抱えているのかを考えていきます。自己責任論では片づけられない受刑者を取り巻く社会構造に迫ります。


第二章「刑務所内の支援」。

 

第二回【「指示がなければ動けない」刑務所と社会のギャップ】では、刑務所と社会で求められることのギャップを埋める支援のあり方、そして、出所者の支援を行う人々の葛藤に焦点を当てます。

 

第三回【刑務所内から始まる、受刑者の「就活」】では、元受刑者から見た刑務所の内実と、力を入れて行われている刑務所内での就職支援について見ていきます。


第三章「出所者と社会」。

 

第四回は【再犯者率50%。出所者が直面する厳しい現実】。部屋も借りれず、仕事に就けない――。刑務所を出所後、出所者を待ち受ける厳しい現実に迫ります。

 

第五回【「更生は一人ではできない」出所者の社会復帰を支える人々】は、出所者を取り巻くさまざまな支援者たちにフォーカスします。社会全体で再犯の負のループを断ち切るためにできることを考えていきます。


第四章「出所者の就労」。

 

第六回【企業が出所者を受け入れるときに必要なこと】では、実際に出所者を受け入れている企業の方に取材。継続就労が難しいと言われる出所者の雇用を行ううえで必要な心構えとは何かを考えていきます。

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この記事に寄せられたコメント

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安部敏樹
刑務所に入った人が、かなり高い確率で再び犯罪を犯してしまう。出所者の社会復帰についての特集、始まりました。
特集 出所者の社会復帰:2人に1人が刑務所に戻る理由 全7回
0章 はじめに
1章 出所者の背景
2章 刑務所内の支援
3章 出所者と社会
4章 出所者の就労
5章 安部コラム
出所者の社会復帰
全7回
[特集]2人に1人が刑務所に戻る理由