子どもの自殺:なぜ彼らは「死」を選んだのか | Ridilover Journal(リディラバジャーナル)
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子どもの自殺
なぜ彼らは「死」を選んだのか

9月1日は「子どもの自殺がピークに達する日」と言われて久しい。

 

Shutterstock 

 

内閣府が取りまとめた自殺者数のデータによると、18歳以下の子どもの自殺が最も発生している日は「9月1日」。9月1日と言えば、多くの子どもが夏休みを終えて久しぶりに学校に行く日でもある。

 

今回の特集は「子どもの自殺〜なぜ彼らは“死”を選んだのか〜」。

 

自殺する子どもは毎年300人前後に上り、減少することなく、この10年では合計3000人の子どもが自ら命を絶った。こうした深刻な状況に対し、大人である私たちは何ができるのか。

我が子を失った遺族の悲痛

「梨子が亡くなってから、さまざまな地獄を見てきました。亡くなってしまった梨子が自宅に戻ってきたとき、手を握ってずっと添い寝をしていました。なんで死んでしまったのかを探る力なんてありませんでしたし、こんなに小さな手の梨子を一人で逝かせることなんかできない。私も一緒に逝きたい……。それしか考えていませんでした」(梨子さんの母)

 

自宅にあった梨子さんの遺影。

 

2013年、当時13歳で中学1年生だった梨子さんは短い生涯に自ら幕を下ろした。マンションの7階からの飛び降り自殺。携帯電話の未送信メールには「みんな 呪ってやる」と記されていた。

 

梨子さんが自殺に至った原因はいじめだった。クラスや部活が同じだった子どもから悪口を言われ、無視されるなどしていた。梨子さんの母はあの日から1年間、布団で寝ることができないほど心労し、現実に向き合うことができなかったという。

 

今回の特集では子どもを自殺で失った3組の遺族に話を聞いた。「自殺に追い込まれた苦しみに気づけなかった」「子どもを救えなかった」という遺族の悲痛な叫びは想像を絶するものがある。

 

しかしながら、子どもの自殺は減少せず、1年間で300件もの新たな悲劇が生まれているのが、私たちが生きる日本の現実だ。

自殺大国ニッポンの現実

センセーショナルに報道され、社会的な注目を集めやすい「子どもの自殺」だが、大人も含めてもともと「自殺大国」と言われるほど日本の自殺者数は多い。厚生労働省の「自殺対策白書」によれば、2017年は国内総生産(GDP)が世界3位の経済大国にもかかわらず、自殺者数は2万1321人に上った。

 

同白書では、主要先進国としてアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの6カ国のデータとの比較も掲載している。6カ国の死因のトップは「事故」である一方、日本では「自殺」となっている。自殺の死亡率(人口10万人あたりの死亡者数)を見ると、アメリカで13.3、イギリスで6.6、ドイツで7.7などだが、日本は17.8にも上る。

 

 

他方、日本における自殺者数全体では、減少傾向にある。一時は約3万人で高止まりしていたのが現在は約2万人までに減少。3万人を下回ったのは2012年から6年連続、減少自体も8年連続だという。自殺死亡率でも、2017年は統計開始の1978年以降で最小を記録した。

 

ところが、若年層の自殺は減少せずに横ばいの状況が続いている。なかでも子どもの自殺は少子化が進むなかでも変化はなく、「自殺率」は高まる一方だ。なぜ子どもは自ら命を絶ってしまうのかーー。

 

その要因として、いじめや学業不振、指導死といった学校内の問題、親との不和という家庭内の問題などがあり、それらは複合的に連鎖することもある。そのため、自殺対策も複合的な視点が必要とされている。

 

本特集では、子どもの自殺を取り巻く現況を概観し、子どもが自殺に至るまで、そしてそれが繰り返される構造を明らかにしていく。

 

 

そこには、子どもにとっての居場所である家庭と学校が「生きる」ための促進要因よりも阻害要因を生み出し、それらが自殺の危険因子となる現実があった。

 

第一章は《自殺に傾く危険因子とは》

 

 

第1回【なぜ子どもは自殺するのかーー見えない実態】では、子どもの自殺の原因・動機にフォーカス。「いじめ」が想起されがちな子どもの自殺の実態を考える。

 

第2回【子どもが自殺に至る「危険因子」を考える】では、どんなときに子どもの自殺のリスクが高まるのか、その潜在的なリスクについて専門家が解説する。

 

第二章は《残された遺族たちの悲痛》

 

 

第3回【いじめによる我が子の自殺、ある遺族の告白】では、いじめ自殺によって我が子を失い、地獄とも言える日々を送る遺族が胸の内を明かす。

 

第4回【行き過ぎた指導が子どもを死に追いやった】では、教員による行き過ぎた指導で自殺に追い込まれた遺族に取材。遺族の「その後」についても話を聞いた。

 

第三章は《なぜ子ども自殺は繰り返されるのか》

 

Shutterstock 

 

第5回【繰り返される子どもの「いじめ自殺」の実態】では、自殺後に再発防止がなされない要因を追究。学校による隠蔽やその弊害はどのような歪みを生み出すのか。

 

第6回【「9月1日の自殺問題」を回避した子どもの“その後”】では、近年になって表出した新たな自殺にまつわる現象や自殺そのものへの社会的な対策について考える。

 

最終回の第7回【リディラバ安部が考える「子どもの自殺問題」】では、リディラバジャーナル編集長の安部敏樹が子どもの自殺にまつわる自らの考えを綴る。

 

***
 

2018年8月、地域の自殺対策を支援する自殺総合対策推進センターは、小学校から高校までの児童の自殺者数と自殺日の関連を分析した調査結果を公表した。それによれば、中学生と高校生では9月1日の自殺が最も多かったのに対し、小学生は11月30日に自殺が集中していた。

 

本特集は9月1日に合わせて組んだが、特定の時期に偏らない日常的な子どもの自殺対策が必要とされている。1人でも多くの人が自殺問題について考えるきっかけとなるよう記事を配信していく。

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この記事に寄せられたコメント

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秋吉 美歌
今の義務教育は子供を苦しめるだけの存在のように思える。どうして、ひとりひとりの個性を見抜いて伸ばすような教育ができないのだろうか?国がお金を出す以上、国の役に立つ人材を育てる機関であるのはしかたがないのだろうか?いや、自殺したり引きこもりになってしまえば、国の役に立つことだってできないはずなのに。もっと教育の問題点にも食い込んでほしい。
秋吉 美歌さん、コメントありがとうございます。やはり子どもの学習環境が学校という空間に限定され、また学校空間が子どもの多様性にそぐわないこともこうした問題の背景にあると感じます。1回めの記事にもあるとおり、子どものポジティブな感情をどう育てるかという観点はいままさに教育に必要とされています。
リディラバジャーナル編集部からの返信
User
港谷武広
自殺とは重いテーマだと思いますが、病気になった時は毎日死を考えていました。それは子供の頃の出来事に起因するもので、本当に苦しいものでしたが、何とか乗り越えて来られました。こういった社会問題を考える事は、自分と向き合う事で苦しい事ですが、それが心を整えていく事になると思っています。
港谷武広さん、コメントありがとうございます。辛いご経験をされているのですね。子ども時代の悩みや被害は大人になってもさまざまな形で影響として表れるからこそ、なんとか子どもの苦悩を取り除く社会構造になってほしいと感じます。
リディラバジャーナル編集部からの返信
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平野麻樹子
子どもの自殺が繰り返し報道されるのには、本当に心が痛みます。大人ができるアクションは何なのか、考えていきたい。
平野麻樹子さん、コメントありがとうございます。大人にできるアクションは何なのか、本特集のなかでも随所に散りばめていますので、ぜひ特集全体でご覧いただけますと幸いです。
リディラバジャーナル編集部からの返信
User
Shogo Takeguchi
今、ちょうどこのタイミング関わっているお仕事に直結する記事。
「死にたい」「消えたい」って声は聴く側としても正直シンドさがある中で、社会にいる一員としてどうこの子たちを支えるのかは考えてみたい。
Shogo Takeguchiさん、コメントありがとうございます。どのようなお仕事か存じ上げないのですが、大人がそうした言葉をどう受け取ってあげるのかというのはとても大事だと感じます。「死にたい」「消えたい」という言葉を現実にしてしまう子どもたちが決して少なくないからこそ、しっかりと向き合って欲しいと切に思います。
リディラバジャーナル編集部からの返信

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0章 はじめに
1章 自殺に傾く危険因子とは
2章 残された遺族たちの悲痛
3章 なぜ子どもの自殺は繰り返されるのか
4章 安部コラム
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