多くの人が進学のために必要とする奨学金。格差が広がるな
多くの人が進学のために必要とする奨学金。格差が広がるなかで、ますますその需要は高まっていますが、かたや延滞額の規模の増大、また回収方法を問題視した報道が繰り広げられています。本特集では、大学生やその親、社会、日本学生支援機構というステークホルダーの視点から問題を「構造化」し、現状と今後の在り方を示します。
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こんにちは、リディラバジャーナル編集長の安部です。
今回は「奨学金制度」について取り上げました。
かつては、奨学金を借りて大学に進学すれば収入が上がり、基本的に問題なく返済できていた。
しかし、日本型雇用、つまり終身雇用制度や年功序列型賃金制度が絶対ではなくなり、平均所得も低下。大学の学費も上昇する中、奨学金を借りて大学に行っても返済できなくなる人が出てきたことで、社会問題となりました。
経験論的な意思決定は、データの不在から
本特集では、奨学金制度や高等教育の学費負担のあり方へ影響を与えたものとして、子どもの教育は家庭で責任を持つべきという「家族主義」を紹介しました。
1943年の奨学金制度創設の際、貸与型を導入する理由として建前とは言え「家族主義」が理由にされていたといったものです。
意思決定や制度の設計の際、その根底に意思決定を行う人間や世間の価値観が存在しています。
子どもの教育は家庭で責任を持つべきという「家族主義」は、今もなおこの国に根強くあります。親が子どもに全く責任を持たなくていいとは思いませんが、平均所得が低下し核家族化が進む中、金銭面を含め、あらゆる責任を親だけが負うというのは現実的ではありません。なんらかのかたちで社会ももっと負担を負うべきでしょう。
一方で、「主義」という言葉は曖昧なものです。根本解決を目指すのであれば、そこからもう一歩踏み込んで「主義」を構成する要素を分解、把握する必要があります。
しかし実際は、このような曖昧な「主義」を所与のものとして、政策が作られていくは何故なのか。
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