日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態
日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。
日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。
日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。
リディラバジャーナル構造化特集「無戸籍」。
第7回となる本記事では、困難を生み出している戸籍制度の姿(4章)として、子どもを無戸籍とせざるを得なかった母親へのインタビューをお届けします。
「自分が産んだ子どもを、自分の家族にしたいだけなのに、どうしてこんな大変な思いをしなければいけないのか」
三田翔子さん(仮名)は、自身の子どもが無戸籍となった当時の思いをこのように振り返る。
10年ほど前、DVを原因として婚姻関係にあった男性との離婚を経験した三田さん。様々な状況が重なり、離婚直後に出産した子どもが、生後半年ほど無戸籍状態になったという。
なぜ、三田さんの子どもは無戸籍となったのか。
当事者へのインタビューを通して、個人を「家族単位」で管理する戸籍制度のあり方を考える。
7-1:もう離婚しているのにー
子どもは夫の戸籍に
Q:お子さんが無戸籍になった経緯を教えてください。
(インタビューに答える三田さん)
三田さん:当時結婚していた男性との間に子どもを授かったのですが、妊娠中にDVを受けるようになりました。
自分自身や子どもの安全も考えて離婚を決心し、妊娠8ヶ月の頃に離婚が成立、離婚後に子どもを出産しました。
離婚にあたって準備を進める中で、離婚後300日以内に産まれた子どもは、「夫婦の間に産まれた子ども」と扱われる(※)ことを初めて知りました。
※民法で定められたこの制度を「嫡出推定」と呼ぶ。詳細は第3回の記事を参照。
離婚後300日以内に子どもが産まれた場合、父親と母親は離婚しているので別の戸籍になっているわけですが、子どもがどちらの戸籍に入るのかは、結婚した時の戸籍の筆頭者によって決まるんです。
私の場合は、多くの女性と同様に、結婚する際に、私が夫の名字に変えたため、夫が戸籍の筆頭者になりました。
この場合、離婚後300日以内に産まれた子どもは、戸籍の筆頭者である元夫の戸籍に入ることになります。
元夫の戸籍に入ると、子どもは元夫の名字で暮らしていくことになりますし、私の戸籍には子どもが入らなくなります。
確かに元夫との間にできた子どもですが、DVもありましたし、離婚したら私が育てることになっていたので、元夫の戸籍に入るのは抵抗がありました。
私の戸籍に入って、私と同じ名字で育つものだと思っていたので、正直どうしてこんな仕組みになっているのだろう、という気持ちがありつつも、子どもを私の戸籍に入れる方法を調べました。
出産後、一旦は元夫の戸籍に入ることは避けられないけれど、書類を何枚か書いて裁判所に持っていけば、子どもの戸籍を元夫から私に移せるとわかったので、市役所の担当職員さんとも「子どもが産まれたらこの手続きをしましょうね」と話しつつ準備をしていました。
そして、無事子どもが産まれました。
7-2:「お子さんが無戸籍に」
転籍が生んだ悲劇
私は準備していた通り、父親を元夫と記載した出生届を市役所に提出して、子どもの戸籍が出来上がるのを待ちました。
子どもの戸籍は数週間程度で記載され、元夫から私へと戸籍を移動できるようになると聞いていたので、数週間後に市役所を訪れました。
すると突然、「お子さんが無戸籍になっています」と告げられたのです。
Q:…どういうことでしょうか。
三田さん:私も全く意味がわかりませんでした。
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