no.
7
困難を生み出している戸籍制度の姿
公開日: 2023/3/14(火)
更新日: 2023/3/28(火)

「戸籍制度」の狭間 子どもが無戸籍となった母の告白 

公開日: 2023/3/14(火)
更新日: 2023/3/28(火)
no.
7
困難を生み出している戸籍制度の姿
公開日: 2023/3/14(火)
更新日: 2023/3/28(火)

「戸籍制度」の狭間 子どもが無戸籍となった母の告白 

公開日: 2023/3/14(火)
更新日: 2023/3/28(火)
構造化特集 : 無戸籍
構造化の視点
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リディラバジャーナル構造化特集「無戸籍」。

 

第7回となる本記事では、困難を生み出している戸籍制度の姿(4章)として、子どもを無戸籍とせざるを得なかった母親へのインタビューをお届けします。


「自分が産んだ子どもを、自分の家族にしたいだけなのに、どうしてこんな大変な思いをしなければいけないのか」

 

三田翔子さん(仮名)は、自身の子どもが無戸籍となった当時の思いをこのように振り返る。

 

10年ほど前、DVを原因として婚姻関係にあった男性との離婚を経験した三田さん。様々な状況が重なり、離婚直後に出産した子どもが、生後半年ほど無戸籍状態になったという。

 

なぜ、三田さんの子どもは無戸籍となったのか。


当事者へのインタビューを通して、個人を「家族単位」で管理する戸籍制度のあり方を考える。

もう離婚しているのにー 
子どもは夫の戸籍に


Q:お子さんが無戸籍になった経緯を教えてください。
 


(インタビューに答える三田さん)


三田さん:当時結婚していた男性との間に子どもを授かったのですが、妊娠中にDVを受けるようになりました。

 

自分自身や子どもの安全も考えて離婚を決心し、妊娠8ヶ月の頃に離婚が成立、離婚後に子どもを出産しました。

 

離婚にあたって準備を進める中で、離婚後300日以内に産まれた子どもは、「夫婦の間に産まれた子ども」と扱われる(※)ことを初めて知りました。

 

※民法で定められたこの制度を「嫡出推定」と呼ぶ。詳細は第3回の記事を参照。


離婚後300日以内に子どもが産まれた場合、父親と母親は離婚しているので別の戸籍になっているわけですが、子どもがどちらの戸籍に入るのかは、結婚した時の戸籍の筆頭者によって決まるんです。

 

私の場合は、多くの女性と同様に、結婚する際に、私が夫の名字に変えたため、夫が戸籍の筆頭者になりました。

 

この場合、離婚後300日以内に産まれた子どもは、戸籍の筆頭者である元夫の戸籍に入ることになります。


元夫の戸籍に入ると、子どもは元夫の名字で暮らしていくことになりますし、私の戸籍には子どもが入らなくなります。


確かに元夫との間にできた子どもですが、DVもありましたし、離婚したら私が育てることになっていたので、元夫の戸籍に入るのは抵抗がありました。

 

私の戸籍に入って、私と同じ名字で育つものだと思っていたので、正直どうしてこんな仕組みになっているのだろう、という気持ちがありつつも、子どもを私の戸籍に入れる方法を調べました。

 

出産後、一旦は元夫の戸籍に入ることは避けられないけれど、書類を何枚か書いて裁判所に持っていけば、子どもの戸籍を元夫から私に移せるとわかったので、市役所の担当職員さんとも「子どもが産まれたらこの手続きをしましょうね」と話しつつ準備をしていました。

そして、無事子どもが産まれました。

「お子さんが無戸籍に」 
転籍が生んだ悲劇

私は準備していた通り、父親を元夫と記載した出生届を市役所に提出して、子どもの戸籍が出来上がるのを待ちました。

 

子どもの戸籍は数週間程度で記載され、元夫から私へと戸籍を移動できるようになると聞いていたので、数週間後に市役所を訪れました。

 

すると突然、「お子さんが無戸籍になっています」と告げられたのです。

 

Q:…どういうことでしょうか。

 

三田さん:私も全く意味がわかりませんでした。

※リディラバジャーナルについてもっと知りたい方はコチラ
構造化特集 : 無戸籍
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CONTENTS
intro
無戸籍者の困難
no.
1
no.
2
無戸籍が生まれる背景
no.
3
無戸籍者が生まれる背景
no.
4
no.
5
無戸籍状態を抜け出せない背景
no.
6
困難を生み出している戸籍制度の姿
no.
7
no.
8