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構造化特集
無戸籍 第6回
公開日: 2023/3/13(月)

日本人の証明・元夫との接触 堂々巡りの戸籍記載

公開日: 2023/3/13(月)
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日本人の証明・元夫との接触 堂々巡りの戸籍記載

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構造化の視点

日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態

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日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。

日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。

日本に生まれ、日本で暮らすの人の中には、「無戸籍」状態で、身分証明や行政サービスの利用に困難を抱える人たちがいる。実は、世界的にも稀な戸籍制度はどのような制度なのか。そして制度からこぼれ落ちる人たちはどのような課題を抱えるのか。明治から続く戸籍制度の構造を紐解く。


オーディオブック(ベータ版)

リディラバジャーナル構造化特集「無戸籍」。

 

第6回となる本記事では、無戸籍状態を抜け出せない背景(3章)として、無戸籍となった当事者が戸籍に記載されるまでの困難を明らかにする。

 



 





第3回・4回・5回の記事を通して、無戸籍者が生まれる要因を網羅的に紹介してきた。

 

無戸籍状態では、行政サービスの利用など生活上の問題が発生するため、当事者の多くは戸籍記載を望む。

 

戸籍に記載されるためには、自身が無戸籍となった原因に応じて、主に以下3つの方法から適切なプロセスを踏む必要がある。

戸籍規制の方法 1 調停による戸籍記載 2 就籍審判による戸籍記載 3 行政手続きによる戸籍記載

 

「3. 行政手続きに基づく戸籍記載」とは、多くの人たちが一般的に戸籍に記載されるプロセスと同じで、市区町村に出生届を提出して戸籍記載を実現する方法である。

 

災害によって行政が出生届を滅失したケースや、産後の母親の心理的・肉体的状況によって出生届の提出が遅れたケースなどが該当する。

 

しかし、民法772条による「嫡出推定」のケースや、身元不明人のケースなど、行政手続きでは戸籍に記載されない場合が存在する。


今回の記事では、行政手続きでは無戸籍状態を抜け出せない当事者たちに用意された「調停」「就籍許可の審判」という法的プロセスについて解説する。

6-1:「元夫との接触が嫌なのに…」
調停制度の心理的負担

民法には、子どもの法的な父親を推定する「嫡出推定」という制度が定められている。

 

嫡出推定によって、婚姻中もしくは離婚後300日以内に産まれた子どもは、夫あるいは元夫が法的な父親と推定され、夫・元夫以外の男性を父親とした出生届は受理されない。

 

(※詳しくは第3回の記事を参照)


DVなどの理由から、夫あるいは元夫を法的な父親としたくない母親が出生届を提出せず、子どもが無戸籍となる場合がある。

 

この場合、戸籍取得にあたっては法的な「調停」の手続きが必要となる。

 

国によって設立され、無戸籍を含めた法律支援の事業を行う日本司法支援センター(法テラス)本部第一事業部長の生田康介弁護士は、調停制度について次のように解説する。

 

生田康介(いくた・こうすけ)
1998年4月、東京弁護士会に弁護士登録(50期)
2022年4月 現職・日本司法支援センター本部第一事業部長

 

「嫡出推定を原因とする無戸籍の解消にあたっては、推定されている父親(夫・元夫)は、血縁上の父親ではない、と法的に認められる必要があります。

 

この時、大きく2つの選択肢があります。

 

ひとつは、『嫡出否認調停』

夫あるいは元夫の側から、『この子は自分の子ではありません』と申し立てる方法です。

 

もうひとつは、『認知調停』

実の父を相手に『この子は自分の子です』と認めるよう申し立てる方法です

 

調停制度を活用することで、嫡出推定の問題を解消し、無戸籍状態から抜け出すことができる。


しかし、「嫡出否認調停」と「認知調停」いずれの選択肢にも共通する、調停制度の課題があるという。

 

課題1. 心理的負担

 

弁護士として、嫡出推定による無戸籍者の戸籍記載を支援してきた南和行さんは、これらの調停制度について次のように語る。
 

南和行(みなみ・かずゆき)
1976年10月12日、大阪府生まれ。京都大学卒業後、住宅建材メーカーで技術研究職に就くが、同性である恋人と2人で弁護士になることを目指し、一緒に大阪市立大学のロースクールに入学。2008年に司法試験に合格。11年4月には結婚式を挙げ、晴れて夫夫(ふうふ)に。13年、大阪の南森町で「なんもり法律事務所」を開設する(「なんもり」とは「南森町」の愛称)。
弁護士業務としては、離婚や面会交流、民法772条の無戸籍問題など家族に関する業務を多く扱う。また、LGBT、同性婚、結婚・離婚、戸籍など家族と法律についての講演の講師を多数行っている。

 

「調停にあたって、母親は夫・元夫と再び接触をしなければ、という心理的負担を背負うことになります。

 

夫・元夫の方から親子関係を否定する『嫡出否認調停』はもちろん、実の父を相手として申し立てる『認知調停』においても、裁判所が手続きの中で元夫からの事情聴取を必要と判断することもあります。

 

そもそも『元夫が子供の戸籍上の父親になってもいい』と思っている母親は、最初から元夫を父として出生届を提出しますから、子どもは無戸籍になっていません。

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リディラバジャーナル編集部。「社会課題を、みんなのものに」をスローガンに、2018年からリディラバジャーナルを運営。
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CONTENTS
intro
無戸籍者の困難
no.
1
no.
2
無戸籍が生まれる背景
no.
3
無戸籍者が生まれる背景
no.
4
no.
5
無戸籍状態を抜け出せない背景
no.
6
困難を生み出している戸籍制度の姿
no.
7
no.
8