ログイン
特集
不認定率99.8%:日本の中にある「難民問題」
第八回

『そうだ難民しよう!』が支持される日本社会

2015年、一枚の写真が世界に衝撃を与えました。トルコの海岸にうつ伏せ状態で打ち上げられたクルド人の男の子の写真です。

 

彼の名はアラン・クルディくん。クルド系シリア人一家が乗ったボートはギリシャ本土からコス島を目指しましたが、すぐに転覆。兄と母親とともに命を落としました。彼が溺死したエーゲ海では2015年だけで、500人以上の犠牲者が出たと言われています。

 

クルディくんの写真は、翌日のヨーロッパ中の新聞の一面を飾り、その後、世界各国が難民問題により積極的な取り組みを行う大きな契機となりました。

日本で最も売れた難民関連の書籍

その1カ月後、今度は日本発で、難民を取り上げた一枚のイラストが物議を醸しました。イラストには、難民の少女の絵に次のコメントが添えられていました。

 

“ 安全に暮らしたい 清潔な暮らしを送りたい 美味しいものが食べたい 自由に遊びに行きたい おしゃれがしたい 贅沢がしたい 何の苦労もなく 生きたいように生きていきたい 他人の金で。そうだ 難民しよう! ”

 

これに対し、「人種差別主義だ」と国内外から批判が殺到。Facebookに投稿されたイラストは作者によって削除されました

 

しかしその2カ月後に、今度は書籍として『そうだ難民しよう! はすみとしこの世界』が出版されました。その表紙には、物議を醸したイラストに似た女の子が描かれていました。

 

これに他社の出版関係者や人権団体関係者らは再び猛反発。「差別を商業主義と結びつける卑劣な行為」だとして、東京都内で抗議の記者会見が行われるなど、大きな騒動に発展しました。

 

2015年の発売から約2年半。出版当時の抗議の声とは裏腹に、『そうだ難民しよう!』は難民関連では日本で最も売れた書籍となっています。

難民への理解、難民問題への取り組みが世界的な課題として強く求められる中、“ヘイト本”とも称される同書が売れている現実を、わたしたちはどのように受け止めればいいのでしょうか。

『そうだ難民しよう!』の著者、はすみとしこさんを編集長の安部敏樹が直撃しました。

...

有料会員になると続きをお読みいただけます

リディラバジャーナルは有料会員制メディアです。いま登録すると、30日間無料でお読みいただけます。

もっと詳しく

特集 不認定率99.8%:日本の中にある「難民問題」 全10回
0章 はじめに
1章 「難民保護」より優先される「入国管理」
2章 厚くて高すぎる「難民認定」のハードル
3章 難民政策の欠陥が生む弊害と日本社会
4章 安部コラム
不認定率99.8%
全10回
3-2.『そうだ難民しよう!』が支持される日本社会