日本は「お金を払ってお金を学ぶ」国――金融教育はなぜ必要なのか(前編)
日本は「お金を払ってお金を学ぶ」国――金融教育はなぜ必要なのか(前編)
「ひとつ制度を利用しただけで、こんなにも生活が変化するのかと驚きました」
こう幼少期を振り返るのは、横川楓さん。
「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに、お金にまつわる情報発信や教育活動に取り組んでいる「やさしいお金の専門家」だ。
民法の改正により、今年(2022年)4月から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられ、大人として自らの責任でお金と向き合う時期が早まったことになる。
また、同じく4月より実施される学習指導要領では、高校生向けの金融教育が拡充され、資産形成などが新たに必修化された。
私たちの生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、貧困や医療・福祉など様々な社会課題と密接に関係する「お金」について、横川さんに聞いていく。
前編では、横川さんが金融敎育の専門家を目指すようになった家庭での出来事、そして金融教育がいま社会に求められる理由を聞いていく。
※取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われたライブ勉強会「『お金』を知ると、問題解決の選択肢が増える〜金融教育と社会課題の関係〜」で行われました。
1990年生まれ。明治大学法学部卒。経営学修士(MBA)、AFPなどを取得し、現在は「やさしいお金の専門家/金融教育活動家」として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、また、お金の仕組みを学ぶ機会がない現状を変えるべく、金融教育普及に尽力している。
2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立し、代表理事となる。マネーコンテンツ制作や企業や官公庁のアドバイザー、セミナー講師、雑誌・WEB・テレビなどメディア出演多数。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。
オフィシャルホームページ:やさしいお金の専門家 横川 楓
Twitter:@yokokawakaede
(横川 楓さん)
自分の偶然を社会の当たり前に
お金の専門家として、これまで7年間にわたってお金にまつわる知識を普及させるため、精力的に活動を続けてきた横川さん。その背景には、幼少期の体験があると語る。
「小学生の頃、両親が離婚したことがきっかけで、それまで両親と3人で一般的なマンションに暮らしていたところから引っ越しをすることになりました。
一度は母の実家の広い家に住んだものの、中学生になったタイミングで、母と2人で古いアパートに移り住みました。
ある時、母親と喧嘩をして、玄関のドアを思い切り閉めて家を出た日があって。恐らくドアがちゃんと閉まらなかったのか、帰ってきた時には家の中に知らない猫がいたこともあるくらい、古いアパートでした」
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