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公開日: 2021/4/29(木)

違憲判決は社会を変えるか――裁判を通して「同性婚」を考える(後編)

公開日: 2021/4/29(木)
公開日: 2021/4/29(木)

違憲判決は社会を変えるか――裁判を通して「同性婚」を考える(後編)

公開日: 2021/4/29(木)

札幌地裁が初めて「同性婚を認めないのは違憲」という判断を下した背景には、世論の同性愛に対する肯定的な感情の高まりが一因として挙げられる。

 

後編では、同性愛に対するまなざしがどのように変化してきたのかを示すとともに、今後の裁判の行方について、原告弁護団の一人である須田布美子弁護士に伺った。
 

※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた4/9のライブ勉強会「裁判の判決は社会をどう動かすか〜同性婚訴訟の札幌地裁判決から考える〜」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。

 

<須田布美子弁護士>
2005年10月弁護士登録。札幌弁護士会所属。2010年11月須田布美子法律事務所開設。結婚の自由をすべての人に北海道訴訟弁護団員。NPO法人ゆいネット北海道・理事長。

同性愛への理解が進んだ

須田弁護士によると、同性婚が認められないことの合憲性を正面から問う裁判は今回が初めてだという。「これまでは『裁判をしても勝てない』と言われていたんです」。ところが、ここ数年で独自のパートナーシップ制度を導入する自治体が急増。性的少数者(LGBT)への理解が深まったことから、「今しかない」と、訴訟の提起を決めた。

 

同性愛への意識の変化を、裁判所の判決で認定された事実を元に紐解いてみたい。

 

明治期においては、同性愛は「健康者と精神病者との中間にある異常または先天性の疾病」とされていた。当時制定された民法では、婚姻は当然に男女がするものであることが前提とされており、同性婚については議論された形跡すら見当たらなかった。

 

昭和に入ってからも認識は変わらなかった。1979年に文部省が発行した中高生向けの資料では、同性愛は「性非行」の類型の一つとされ、「現代社会にあっても是認されるものではない」などと示された。

 

そのような扱いは人々に否定的な意識を植え付け、世界保健機関(WHO)が「病気ではない」と宣言した後、1997年の朝日新聞の世論調査でも、「同性愛を理解できる」と回答したのは28%にとどまり、「理解できない」の65%を大きく下回っていた。

 

世界に目を向けてみても、やはり長らく同性愛は精神障害と見られていた。しかし、人権意識の高まりに応じ、1989年には初めてデンマークで同性同士の関係を法的に認める制度が作られ、2001年にはオランダで同性婚が認められた。2021年4月現在、約30の国・地域で同性婚が認められている。

 

世論調査で「同性婚を法律で認めるべき(41%)」と答えた割合が「認めない(37%)」を上回った2015年、日本でも東京都世田谷区が登録パートナーシップ制度を導入した。以来、同様の制度を導入した地方公共団体数は2021年4月時点で103自治体に上る。

 

札幌地裁の裁判では、世論が同性婚に肯定的になってきていること、海外で法制化が進んでいることについて、違憲かどうかを検討する上での「考慮すべき事情」だと指摘した。

 

また、判決後にはさらに同性婚を肯定する人の割合が増加しており、違憲判決が人々の意識に影響を与えた可能性も示唆される。

 

これまでも世論の喚起に注力してきたという須田弁護士はこう話す。

 

「世論が変わらないと違憲判決は出ません。中立な司法機関でさえ『根拠のない差別だ』と言っていることを、世間の人たちにも理解してもらいたいのです。社会はどんどん変わっていますが、勝手には動かないので、私たちが動かしていかなければいけません」
 

(写真 須田布美子弁護士)

「同性婚反対」の主張

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CONTENTS
intro
ホームレス
no.
1
no.
2
若年介護
no.
3
no.
4
奨学金
no.
5
no.
6
差別
no.
7
no.
8
観光
no.
9
no.
10
子どもの臓器提供
no.
11
no.
12
都市とコロナ
no.
13
no.
14
ICT教育
no.
15
no.
16
産後うつ
no.
17
no.
18
宇宙
no.
19
no.
20
戦争
no.
21
no.
22
人工妊娠中絶
no.
23
no.
24
緊急避妊薬
no.
25
no.
26
テロリスト・ギャングの社会復帰
no.
27
no.
28
社会起業家
no.
29
no.
30
海上自衛隊
no.
31
no.
32
プロジェクト
no.
33
ソーシャルビジネス
no.
34
教員の多忙化
no.
35
no.
36
性的マイノリティ
no.
37
no.
38
出所者の社会復帰
no.
39
no.
40
ワクチン
no.
41
no.
42
薬物依存
no.
43
no.
44
性の悩み
no.
45
no.
46
リブランディング
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47
no.
48
少年犯罪
no.
49
no.
50
学校教育
no.
51
no.
52
LGBT
no.
53
no.
54
スロージャーナリズム
no.
55
no.
56
ソーシャルセクター
no.
57
no.
58
教育格差
no.
59
no.
60
メディア
no.
61
大人の学び
no.
62
no.
63
地方創生
no.
64
no.
65
家族のかたち
no.
66
no.
67
他者とのコミュニケーションを考える
no.
68
no.
69
地方創生
no.
70
no.
71
地方創生
no.
72
no.
73
非正規雇用と貧困
no.
74
no.
75
他者とのコミュニケーションを考える
no.
76
no.
77
家族のかたち
no.
78
no.
79
他者とのコミュニケーションを考える
no.
80
no.
81
地球温暖化対策
no.
82
no.
83
就労支援
no.
84
no.
85
1年の振り返り
no.
86
no.
87
動物との共生
no.
88
no.
89
行政のデジタル化
no.
90
no.
91
温暖化対策
no.
92
no.
93
動物との共生
no.
94
no.
95
地方移住
no.
96
no.
97
動物との共生
no.
98
no.
99
温暖化対策
no.
100
no.
101
組織論
no.
102
no.
103
キャリア
no.
104
no.
105
復興
no.
106
no.
107
コミュニティナース
no.
108
no.
109
MaaS
no.
110
no.
111
地球温暖化
no.
112
セックスワーカー
no.
113
no.
114
感染症とワクチン
no.
115
no.
116
大学生の貧困
no.
117
no.
118
温暖化対策
no.
119
no.
120
同性婚
no.
121
no.
122
フェアトレード
no.
123
no.
124
シェアハウス
no.
125
no.
126
飲食業
no.
127
感染症とワクチン
no.
128
no.
129
国際報道
no.
130
no.
131
社会的養護
no.
132
no.
133
認知症
no.
134
no.
135
入管法
no.
136
no.
137
国際問題
no.
138
no.
139
コミュニティ
no.
140
no.
141
コミュニティ
no.
142
no.
143
コミュニティ
no.
144
no.
145
吃音
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146
no.
147
コンサル×社会課題解決
no.
148
no.
149
いじめ
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150
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151
社会課題×事業
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152
no.
153
社会課題×映画
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154
no.
155
感染症とワクチン
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156
no.
157
社会教育士
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158
no.
159
山岳遭難
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160
no.
161
支援者支援
no.
162
no.
163
いじめ
no.
164
no.
165
ゲーム依存
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166
no.
167
トランスジェンダーとスポーツ
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168
no.
169
うつ病患者の家族
no.
170
no.
171
パラスポーツ
no.
172
no.
173
代替肉
no.
174
no.
175
弱いロボット
no.
176
no.
177
戦争継承
no.
178
no.
179
女性の社会参画
no.
180
no.
181
子どもの居場所
no.
182
no.
183
感染症とワクチン
no.
184
no.
185
デジタル社会
no.
186
no.
187
若年女性の生きづらさ
no.
188
no.
189
ゼブラ企業
no.
190
no.
191
多胎児家庭の困難
no.
192
no.
193
ソーシャルイノベーション
no.
194
no.
195
ジェンダー
no.
196
no.
197
毒親
no.
198
no.
199
葬儀
no.
200
no.
201
感染症とワクチン
no.
202
no.
203
子どもの安全
no.
204
no.
205
優生思想
no.
206
no.
207
感染症とワクチン
no.
208
no.
209
障害
no.
210
no.
211
水産資源
no.
212
no.
213
教育格差
no.
214
no.
215
障害と性
no.
216
no.
217
医療
no.
218
no.
219
シングルマザー
no.
220
no.
221
多文化共生
no.
222
no.
223
誹謗中傷
no.
224
no.
225
児童労働
no.
226
no.
227
不登校
no.
228
no.
229
政治
no.
230
no.
231
食料危機
no.
232
no.
233
お金と社会課題
no.
234
no.
235
震災
no.
236
no.
237
まちづくり
no.
238
no.
239
精子提供
no.
240
no.
241
選挙
no.
242
アロマンティンク・アセクシュアル
no.
243
クラウドファンディング
no.
244
レイシャルプロファイリング
no.
245
子育てと科学的根拠
no.
246
高齢者雇用
no.
247
介護
no.
248
no.
249