
更新日: 2022/9/6(火)
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更新日: 2022/9/6(火)
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「双子や三つ子の子育ては大変そう」ーー。この漠然としたイメージの先にある多胎児家庭の「大変」の中身は、広く社会に認知されているとは言い難い。こうした社会の認識不足や無理解は問題を放置するだけなく、ときに対立を生んでしまう原因にもなってしまう。
前編では関東多胎ネット理事・Tokyo Twins Mommy代表の髙濱沙紀さんの話を通し、多胎児の医学的リスクや日常にある困難の一端に触れた。
後編ではさらに社会システムや意識といったソフト面の困難や、単胎児家庭と多胎児家庭の対立、そしてそれらを克服して子育てがしやすい社会をつくるための活動について聞いた。
※本記事の取材は「リディ部〜社会問題を考えるみんなの部活動〜」で行われた2021/9/24のライブ勉強会「なぜ見えない?多胎児家庭の孤立に迫る〜双子や三つ子を育てるということ〜」で行われました。リディラバジャーナルの取材の様子は「リディ部」でご覧いただけます。
<髙濱沙紀さん>
一般社団法人関東多胎ネット理事/都内多胎ファミリーの会Tokyo Twins Mommy代表。
年子で双子を出産し25歳で3児の母となる。双子妊娠中にTokyo Twins Mommyを立ち上げるが、多胎支援の無さ、地域格差を痛感し、関東圏内の多胎サークル代表達と関東多胎ネットを設立。
多胎児の育児をカバーしきれていない社会システム
多胎児家庭の最も大きな困難の一つである「孤立」。この孤立を深める社会側の要因は、前編の最後で触れた公共交通機関のケースだけではない。
たとえばエレベーターやスロープの有無。一人用ベビーカーをなんとか持ち上げられるような場所も、重量がある双子用ベビーカーでは難しい。その際にエレベーターやスロープがあればいいが、都内の駅などでも場所によっては未設置のところがある。
髙濱さん自身も駅での乗り換えの際、最短ルート上にエレベーターがなく、一度駅を出てエレベーターに向かったため一時間遅刻してしまった経験があると話す。
さらに物理的な障壁だけでなく、行政や福祉が多胎児の育児をカバーしきれていないというシステム的な障壁もある。
たとえば、妊婦健診の受診券は単胎でも多胎でも母体に一冊しか交付されない(前編参照)。助産師や保健師も多胎の知識を持っていないことが少なくなく、病院等の両親学級も基本的には単胎児向けの内容だ。
また公共施設や児童館では、一人の親に対して子ども二人までしか利用できないという制限が設けられているところもある。髙濱さんの夫が長女と双子二人の計三人を公共の施設に連れて行ったが、入場を断られて帰ってきたことがあったという。
これらの背景には、多胎児家庭の持つニーズや課題が社会に認知されていないことが要因の一つとしてある。課題の認知が進まない理由としては、当事者に声を上げる余裕がないことが挙げられるが、髙濱さんはさらにもう一つ要因があると指摘する。
「子育て世帯全般に言えることではありますが、『あなたたちが望んで結婚して子どもを授かって、多胎のリスクを知りながら産んでるよね』という空気を感じざるを得ない状況があります。
また、そこまではっきりではなくとも『多胎児でも健康だからいいよね』『幸せでしょ』という雰囲気を感じることもあります。
私自身も結婚・妊娠前は『幸せそうでいいな』と思っていましたが、そのイメージが強く社会に共有されているからこそ、不安な気持ちを打ち明けたり、助けを求める一言が言えない状況が生まれるのではと思います」
(写真 髙濱沙紀さん)
無理解が生む対立と、その克服















































































































































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